1999年 6月 6日 配信
ScreenKiss Vol.027
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Vol.027
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■ 横浜フランス映画祭特集
――監督に注目!
その2.ジャック・ドワイヨン/ベルトラン・タヴェルニエ
第7回横浜フランス映画祭にむけてご紹介するフランス映画監督シリーズその2
はドワイヨンとタヴェルニエです。タイプは違うがどちらもフランス映画らしい
作品を撮る監督ですね。
◇ジャック・ドワイヨン/Jacques Doillon
上映作品 「少年たち」
1944年パリ出身。ドラマ的であるよりは、日常のシーンを切り取ったかのドキ
ュメントっぽいシチュエーションの中で人間の悲劇性や心理、哲学的テーマを
浮き彫りにしていくのが特色。初期の作品は観念的でけっこう独りよがり的だ
が、最近は俄然円熟してきた。余談ながら、現在の私生活でのパートナーはジ
ェーン・バーキン。
おすすめ作品
1.ラ・ピラート(84)
ジェーン・バーキン/マリューシカ・デートメルス/フィリップ・レオタ
ール/ビデオ=無
筆者は未見。しかしドワイヨンといえば必ず挙げられる作品で、ぜひ見た
い。アルマという女性を軸とした、男女入り組んでの複雑な人間関係とか。
まさにフランス映画的
2.家族生活(85)
サミー・フレイ/ジュリエット・ビノシュ/マロ・ゴイエ/ビデオ=廃版
父親と10代の娘の一風変った自動車旅行。互いに嫌ったりすねたりしつつ
も結局互いの愛を求めあう。家族って何だろうという問いへの一つの答え
か。このときのビノシュからはよもや国際女優になるとは予想もつかなか
った
3.女の復讐(89)
イザベル・ユペール/ベアトリス・ダル/ビデオ=廃版
交通事故死した男の妻と愛人の女の戦い。妻が圧倒的に陰湿で強く、愛人
を追いつめていく。「女は怖い」を実感させられる映画。底意地の悪さ、
女の残忍さを演じたら天下一品のユペールがハマリ役だ。原作はドストエ
フスキーの『永遠の夫』
4.15歳、無秩序な妖精(89)
ジュディット・ゴドレーシュ/ジャック・ドワイヨン/メルヴィン・プポ
ー/ビデオ=廃版
15歳の少女、ボーイフレンド、その父親の危うい関係。父親役ドワイヨン
がボブ・ディランをしょぼくれさせたオッサン風で、少女への言い寄り方
もヘンタイなオッサンしてる
5.ピストルと少年(90)
リシャール・アンコニナ/ジェラルド・トマサン/クロチルド・クロー/
ビデオ=廃版
愛情に飢えた少年が生き別れの姉に会うため暴挙に出る。酔いどれの母親
の無責任を責めたくなるぐらい、彼の純情さ、胸の痛みが伝わってくる作
品
6.ポネット(96)
ヴィクトワール・ティヴィソル/デルフィーヌ・シルツ/マリー・トラン
ティニャンャン/ビデオ=日活
母親が交通事故死したのだが、幼いポネットには死というものが分からな
い。で、彼女は素朴に、しかし非常に真剣に考える、死とは何かと。ポネ
ットが本当に可愛いし、演技とは思えないほど真に迫っている。ドワイヨ
ンの監督としての力量もスゴイ
◇ベルトラン・タヴェルニエ/Bertrand tavernier
上映作品 「今日からスタート」
1941年、リヨン出身。ワーナー・ブラザースで広報を担当していたという経歴
をもつ。63年に「キス!キス!キッス!」を撮っているが、正式デビューと言
えるのはやはり84年の「田舎の日曜日」だろう。寡作(全7作)で佳作、比較的
地味ながら、1作ごとに目新しさを盛り込むことも忘れない。その辺に広報のキ
ャリアが生きてるってことか。
おすすめ作品
1.田舎の日曜日(84)
ルイ・デュクリュー/サビーヌ・アゼマ/ビデオ=廃版
老いた画家と、その田舎家に集まって来る子供や孫のある日曜日の風景。
昼間は楽しくても夕方には引き潮のように賑やかさが家から去り、後には
老人の孤独が残る。印象派の絵を彷彿させる映像が美しい
2.ラウンド・ミッドナイト(86)
デクスター・ゴードン/フランソワ・クリューゼ/フィリップ・ノワレ/
ビデオ=WHV
天才サックス奏者デイルと、彼に魅せられ彼のために生きようとする男フ
ランソワの物語。ジャズの世界のけだるさをさらりと描いており、音楽も
映像も心地いい。フランソワ役のクリューゼがダスティン・ホフマンに似
てて、健気さが哀れを誘う
3.愛を求めて 素顔の貴婦人(89)
フィリップ・ノワレ/サビーヌ・アゼマ/ビデオ=廃版
時は第一次大戦後。行方不明の夫を探しに来た貴婦人にノワレ扮する少佐
が心惹かれるが、思いをうまく伝えられず。実は彼女も彼に惹かれていて、
さらに夫には秘密があってと、ひねりを利かせた大人の恋愛物。ノワレは
武骨な軍人よりトロいやもめって感じでイマイチ冴えない
4.ダディ・ノスタルジー(90)
ダーク・ボガード/ジェーン・バーキン/ビデオ=廃版
南仏を舞台に、娘と余命いくばくもない父親とが恋人のように仲むつまじ
く過ごす楽しい日々。これ見てつくづく思ったが、タヴェルニエって絵に
なる風景を選ぶセンスがバツグンにいい。サントラのジャズもなかなかで
すよ
続く(quittan)
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■ 第11回フランス映画祭横浜:スタッフ・キャスト紹介
<女優編>
●カリン・ヴィアール:『ヌーヴェル・イヴ』
1966年生。『ダニエルばあちゃん』でデビュー。『デリカテッセン』等の端役を
経て出演作は20本を超える。『不倫の公式』で来日した時は、割と小柄で可愛い
感じながら、ハイウエストの服のせいか、ちょっぴりマグロちっくなスタイルに
見えた。
この時は監督のクリスティーヌ・パスカルも一緒で仲良し姉妹のようだったのが
印象的だった。(彼女はその後自殺してしまったのが信じられない)
やはり映画祭で上映したニコール・ガルシア監督の『お気に入りの息子』にも出
演していた。また、昨年文化村で開催していた食の映画を集めた作品中『ファー
ストフード』にも黄色い髪の女の子の役で出ているのを発見した。
●カトリーヌ・フロ:『ヌーヴェル・イヴ』
アラン・レネ監督『アメリカの伯父さん』で映画デビュー。最近では映画祭でも
上映された『家族の気分』『変人達の晩餐会』、短篇の『サンマルタン運河』等
でその姿が見られる。丸顔に大きな目の可愛い女優さんだ。
●レテシア・カスタ:『アステリスクとオベリスク』
1978年生。15才でスカウトされ、ゲス、ゴルチエ、シャネル、サンローラン等の
モデルとして成功。この作品が女優デビューとなる。
●エルザ・ジルベルシュタイン:葡萄酒色の人生『ロートレック』
モーリス・ピアラ監督の『VAN GOGH』でセザール賞有望若手女優賞受賞。
『ミナ』『カストラート』『恋人たちのポートレート』等に出演。映画祭では『
正装のご用意を』『ねじれた愛』が上映。後者で来日した。素顔は小柄で笑顔の
可愛い静かな人だった。舞台挨拶では一生懸命に日本語で挨拶しようとする姿も
印象的。
●アネモーヌ:葡萄酒色の人生『ロートレック』
フィリップ・ガレルの映画のタイトルがそのまま芸名になった。
『恋の邪魔者』『夢見るシングルス』等パトリス・ルコントのコメディに出演。
『フランスの思い出』でセザール賞主演女優賞受賞。最近は『女優マルキーズ』
等。映画祭では『ならず者の子どもたち』が印象に新しい。97年より監督業にも
乗り出しているとか。
●サンドリーヌ・キベルラン:『ロベールとは無関係』
『おせっかいな天使』等の端役から映画祭でも上映された、『アパートメント』
『カドリーユ』『ボーマルシェ フィガロの結婚』や『哀しみのスパイ』等に出
演。清楚な感じの美人。
●アレッサンドラ・マルティネス:『幸運と必然』
元バレリーナ。ルルーシュ監督の香水のCM出演をきっかけに、現在は監督夫人。
『レ・ミゼラブル』等に出演。最近は『男と女嘘つきな関係』での女医役が記憶
に新しい。
●ロランス・コート;『父の跡をたどって』
『彼女たちの舞台』で主役に。他に『ヌーヴェル・ヴァーグ』『二十歳の死』等。
『夜の子供たち』ではセザール賞有望若手女優賞、『アンコール』ではジャン・
ヴィゴ賞を受賞している。
●シルヴィ・テスチュ;『カーニバル』
第10回東京国際映画祭でグランプリを受賞した、ドイツ映画『ビヨンド・サイ
レンス』では、最優秀ドイツ女優賞獲得。同作品はアカデミー賞にもノミネート
された。爽やかな演技が印象的だった。
●イザベル・ルノー:『これが人生?』
舞台で活躍の後『恋する女』『ルイ、少年王』等の映画に出演。最近ではカンヌ
映画祭でグランプリ受賞のアンゲロプロス監督作品『永遠と一日』。カトリーヌ
・ブレイヤ『堕ちてゆく女』での年上の女性も恐ろしかった。今年のカンヌ映画
祭オープニングを飾ったミハルコフ監督作品にも出演している。
●カトリーヌ・ドヌーブ:『ベル・ママン』
いわずと知れたフランスの代表的女優。初々しい『シェルブールの雨傘』、『昼
顔』等から最近は『インドシナ』『夜の子供たち』など。来日の折には毎回“女
王様”ぶりが取り沙汰されるが、今年のカンヌ映画祭でもレオス・カラックス監
督作品に出演していた彼女、記者会見を欠席した。ドヌーヴの不在理由を聞かれ
た監督が、何やら苦しい言い訳をしていたのが印象的だった。
彼女が50才位の時に出た『恋路』という作品の中で、若い頃ミスコンで優勝し
た時のドレスを当時の恋人に着てみせるシーンがある。これがなかなか美しいの
で未見の方是非。『私の好きな季節』も併せてお薦め。
●リヌ・ルノー:『ベル・ママン』
レズの老女を演じているというから、多分、昔歌手でならした人だと思う。シラ
ク大統領の親友だとか。
●マティルド・セニエ:『ベル・ママン』
姉は『赤い航海』『フランティック』等のエマニュエル。『オディールの夏』で
姉と共演し、デビュー。他に出演作は『恋人たちのポートレート』『ドライ・ク
リーニング』。今回の映画祭上映作品『ヴィーナス・ビューティ』にも出演。
●エマ・ドゥ・コーヌ:『ボーダーライン』
父は昨年の映画祭に『ねじれた愛』で来日したアントワーヌ・ドゥ・コーヌ。映
画出演は96年。フランスのアイドルとか。
娘のことがわからないので、父親のアントワーヌさんについて一言。ジャーナリ
スト出身の彼はテレビで活躍し、長寿番組の司会で人気。実際の彼はきちんとし
た印象で、英語もOK。パンフには英語で言葉を添えてくれた。なかなかハンサム
な人だったから、娘も美人だろう・・と勝手に想像してる。
●広田レオナ:『ボーダーライン』
現在NHK『元禄撩乱』に出演中の彼女は、78年にモーリス・ベジャール主催のベ
ルギー国立芸術学校、MUDRAに初の日本人として入学した実力派。MUDRA在籍中は
世界中を主役で公演。事故で足を傷めてからバレエを断念。『だいじょうぶマイ
フレンド』で映画デビュー。
●ナタリー・バイ:『ヴィーナス・ビューティ』
トリュフォー『アメリカの夜』で本格的に映画デビュー。彼の作品には『恋愛日
記』『緑色の部屋』にも出演。『勝手に逃げろ/人生』でセザール助演女優賞受
賞。『愛しきは女/ラ・バランス』では主演女優賞受賞。
第4回フランス映画祭で上映された『ならず者の子どもたち』にも出演していた。
その時で50才近かったが、相変わらず美しかった。
鳥野 韻子
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