ScreenKiss Vol.044

1999年 9月 14日 配信
ScreenKiss Vol.044

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Vol.044

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>☆ C O N T E N T S ☆------------------------☆☆------------------------☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆>☆1☆プレゼント・フィルム:マトリックス☆>☆2☆プレゼント・フィルム:ノッティングヒルの恋人☆>☆3☆プレゼント・フィルム:マルクス兄弟特集「マルクス一番乗り」☆>☆4☆シネマノート:Four Fresh! ’99+2 前編☆

□Four Fresh! ’99+2とは?
 97年にスタートした映画美学校(アテネ・フランセ文化センターとユーロスペー
 スの共同プロジェクト)の、初等科から誕生する4本の短編映画が「Four
 Fresh!」。初等科は16mmは初めての人対象で基礎から学ぶ、実践的なコース。そ
 の中のシナリオ課題と、ビデオ課題の総合評価で選ばれ、10日間の撮影と、約1ヶ
 月の編集で完成させたもの。

 選考基準は「完成度の高い作品より、未知の可能性を感じさせる作品」、「観客
 を納得させるのではなく、動揺させるようなもの」。

 このようにして、年令、経歴も様々な生徒達による“劇場公開を前提とした短編
 劇映画”として「Four Fresh! 99+2」が誕生した。今年の「+2」というのは、第
 一期高等科生による、さらなる技術的飛躍を目指した2本の実習作品を講師陣(筒
 井武文、塩田明彦、高橋洋、等)の高い評価のもと、併映される事になったもの。

 今回上映される『意外と死なない』『薄羽の蝶』は今年のPFF(ぴあフィルムフェ
 スティバル)の「特集1・日本映画の未来を観よ!」の中でも公開した。

 なお、昨年の「Four Fresh!」からは『怯える』(古澤健監督)が、クレルモン
 フェラン国際短編映画祭に、『鼻の穴』(稲見一茂監督)がオーバーハウゼン国
 際映画祭に招待されるなど、高い評価を得ている。

□作品紹介
 Aプログラム:9月18日(土)~9月24日(金)

 ◇『意外と死なない』カラー/16mm/42分
   監督・脚本:大九明子
   出演   :億田明子、けーすけ、愛染恭子

  シナリオ、演出力ともに独特のセンスが評価された作品

 ストーリー
 子供の頃から“痛い”事の大嫌いな月子は小学校教師。抜けた歯を見せる子、予
 防注射に泣く子。そんな時必ず頭を過るのが、月子の「痛い思い出」。中学、高
 校での性教育や、初体験。その“痛い”初体験以来ストーカーと化した、嘗ての
 恋人。そして今、“出来ちゃった結婚”しようとしている、同僚マユの日に日に
 目立つお腹を見る度、危険な衝動に駆られる彼女だが・・・。

 コメント
 月子の「イ~テテテ」は女性特有の痛みで再現されている場面が多く、見ている
 側としては、多分女性の方が感覚的に理解出来る気がする。こうして考えると、
 女性は結構「痛い」一生を余儀無くされているようだ。

 渡辺淳一氏が嘗て、『解剖学的女性論』の中で、女性は男性と異なり、「痛くな
 いですよ」と安心感を与えるだけで、実際はかなりの痛みに耐えられると言って
 いた。しかし、月子には通用しなかったわけだ。

 が、彼女の痛みへの怒りは、マユへの暴力的幻想に集約されるが、もっともしぶ
 とく、ある意味で暴力的なのはマユの方かもしれない。

 それにしても、にたついてる癖に存在感のあるストーカー男や、ちゃらんぽらん
 な教師達など、なかなかのキャスティング。月子役はテレビ出演等タレント活動
 もしている監督自身。無理矢理高音をひねり出して「小さい秋みつけた」を熱
 唱?してみたり、途中登場するミニチュアダックスのウエンズ君も堂々配役に名
 を連ねているところなど、茶目っ気のある方とお見受けした。

 ◇『黒アゲハ教授』カラー/16mm/30分
   監督・脚本:福井廣子
   出演   :水谷郷、倉沢愛、山崎剛太郎

  シナリオの独特な世界が高く評価された作品

 ストーリー
 定年を迎えた金森教授の研究室で、本の整理を手伝うマモ君。古本の甘い匂いは、
 幼少時の“物憂げ坂上”を彷佛とさせた。幻聴に悩むカナコは、そこでの幼馴染
 み。

 そこで良く見た黒アゲハと、まるでアゲハ蝶のような美しい肌の金森教授。そし
 て花の蜜の様な古本。カナコはバスで金森教授を補虫網で捕らえる。古本屋でア
 ルバイトするカナコと立ち寄ったマモ君と教授。そこには黒アゲハが舞っていた。

 コメント
 ScreenKissの常連さんはお気付きでしょうか?この作品で金森教授を演じている
 のは、嘗て「バックステージ」にご登場頂いた、字幕翻訳の山崎先生です。(
 バックナンバー20参照)

 まさにぴったりの役処で、これが俳優初仕事と思えないほどはまってました。た
 だ、外出のシーンでは、トレードマークのソフトがなく、何となく普段の魅力が
 出し切れなくて残念だった。

 「古い書物の端っこの甘くなったところだけが、黒アゲハの食べ物なの。活字を
 混ぜてはだめ。教授の寿命を縮めるから」こういった“嗅覚”“味覚”。アゲハ
 が舞い、眩しいようなバスの中の“視覚”。そして蝶の羽のような“触覚”。ま
 さに「感覚的」な美しい作品。

 偶然、試写会で隣に座られた山崎先生は、しきりと照れていらしゃいましたが、
 場内が明るくなり、前の方の席にいた女性達がふと振り返って「あ、あの教授役
 の人だ。すご~い、若いね」と感心していました。先生は「最初で最後の映画出
 演」などと仰っていますが、この分ではオファーが殺到?するかも。

 この作品のロケーションには、先生の御自宅も使われたそうです。実はその辺の
 事情も含め、先生には今、インタビュー第2弾を交渉中です。乞う御期待!

 ◇『よろこび』カラー/16mm/32分
   監督・脚本:松村浩行
   出演   :遠山智子、西山洋一、泉雄一郎

  音、光、構図、キャメラの動き等、徹底した映画表現に対するこだわりが高い
  評価を得た。

 ストーリー
 水辺で笛を吹くグループに献金した為、殴られた父。父を殴ったグループと偶然
 出会ったアオシギ。彼女は昼間、「リズム社」で規則的にドラムを叩く仕事をし
 ている。退職した同僚の後に入社した“自称”ロカビリー崩れが、新米の日給¥
 1,000也を父同様“施し”たため殴られたのだ。が、このグループと共に、退屈な
 毎日を脱却すべく行動を共にするが・・・。

 コメント
 不思議な感覚の映画だ。父と猫のいる家庭の雰囲気も、少しばかり現実味がない
 し、「リズム社」の仕事も怪しい。そこの女社長がそれ以上に怪しい。アオシギ
 が勉強する、天文学ラジオ講座もそれ自体怪しい。不思議なキャラクター達とア
 オシギの生き方に『よろこび』は見いだせるのか。

 主演のアオシギ役は『集い』の監督。視線がなかなか決まっている。ちなみに、
 今回の6作品の内、これが唯一の男性監督作品。

 Bプログラムについては、後編でご紹介します。

                                鳥野 韻子

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