1999年 11月 7日 配信
ScreenKiss Vol.061
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Vol.061
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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆< □エステサロン ヴィーナス・ビューティ □東京国際映画祭:アジア映画賞 □東京国際映画祭:『シュリ』緊急追加上映決定!! >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆エステサロン ヴィーナス・ビューティ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 今年の「第7回フランス横浜映画祭 '99」ではクロージング作品として上映された 今作品。監督のトニー・マーシャル、出演のサミュエル・ル・ビアン、ナタ リー・バイ、マティルド・セニエ等も来日して、作品に関する裏話などを残して いってくれました。以下にプレスシートからまとめたものをお届けします。 また、この作品は'99年カブール映画祭で「今年のとってもロマンティックな映画 賞」を受賞。若手俳優2人にも賞をもたらしました。 ◆トニー・マーシャル監督の話から(インタビュアー:水原文人) 舞台となったエステサロンは、実際彼女が行っていたサロンから題材を得たとい う。そして、巷の喧噪を取り入れるべく、パリにエステサロンを仕立ててしまっ た。「本物」の通行人が外部を行き交っていたわけだ。撮影が進むにつれ、町に 馴染んでしまったこの舞台は、予約を入れようとするお客まで出る始末だったそ うだ。 そして、エステシャン達の話題や、作品中の出来事は監督が本物のサロンに通う 度に取材した「実話」が元になっている。 この作品の構想は、そもそもナタリー・バイを主役に据えるところから始まった。 だから、元々の題は役名の『アンジェル』だった。その他の配役もある程度は構 想通りだったが、サミュエル・ル・ビアンだけは、彼女のイメージではなかった らしい。が、彼に対して堅苦しいイメージを抱いていた彼女も、実際本人に会っ てみるとそんな心配も払拭。彼に決まりとなった。 ◆サミュエル・ル・ビアンの話から(インタビュアー:吉家容子 ) と、次はそんな監督の期待に応えたサミュエル・ル・ビアンのインタビューから です。彼はこの作品で若手の有望な俳優に与えられる「ジャン・ギャバン賞」を 受賞しています。 '94年以来コメディ・フランセーズに在籍していた彼は、この作品への出演をきっ かけに劇団を離れた。マーシャル監督は「俳優にとって人生の選択の時」だとし て、この決断を応援したそうだ。 今回の監督との仕事は、脚本の良さもさることながら、女性監督という事で特に 男性監督にない魅力を感じたという。 彼は俳優になる前は、何と口から火を吹いたりの大道芸人なども経験している。 そうした生活の中から決意して俳優という職業を選んだが、自分自身が演技に よって別人になれるところに大きな喜びを見出しているという。 次回作はエリック・ロシャン監督の刑事もの。今後も様々な役所をこなしていき たいと思っているそうだ。 ◇この作品では、彼の他に20才のマリーを初々しく演じた、オドレイ・トトゥが 「今年のロマンティックな新人賞」を受賞している。 リリースにナタリー・バイのインタビューがなかったのが残念でしたが、来日し ていた彼女は優しい瞳の、美しい人で、アンジェルの芯のある優しさがこの中に 見えました。また、小柄なトニー・マーシャル監督は身体一杯にエネルギーが満 ちているような人で、周りを明るくしてました。 マティルド・セニエは画面からだと、かなり大柄な印象だが、意外とそうでもな い。セニエ家の特徴なのか、太い眉が印象的でした。 サミュエル・ル・ビアンは、作品のアントワーヌのように大柄で鷹揚。少年の雰 囲気を未だに感じさせるフレッシュな人柄でした。初めての来日ながら、日本が とても気に入って、ゲスト全員がサインをしたボードには、「ありがとう」とサ イン。 この作品の上映前には日本語での挨拶も。また、歓迎会のお茶会では結構はしゃ いでいたそうです。筆者が会った時は、何やらスーパーのビニール袋を下げてぶ らぶらしていたのに、カメラをみつけるやすぐにポーズを。撮る気のなかった私 も、その人懐っこい笑顔に、ついシャッターを押してしまいました。 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____ □ >>☆2☆アジア映画賞結果速報!!☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ アジア映画賞:『ダークネス&ライト』(チャン・ツォーチ監督) スペシャルメンション:『DEAD OR ALIVE 犯罪者』(三池崇史監督) ■『ダークネス&ライト』(チャン・ツォーチ監督) 今年度のアジア映画賞受賞作品は『ダークネス&ライト』(チャン・ツォーチ監 督)に決定した。受賞式は午後5時より渋谷公会堂にて行われ、監督不在の為、主 演のリー・カンイが受賞式に臨んだ。監督からは受賞の喜びを綴ったメッセージ が届いた。 審査委員長の映画監督の崔洋一氏からは、この作品について、以下の点が評価さ れた旨の説明があった。 「新しい方法論に驚嘆させられ、また、ラストのどんでん返しが、とても映画的 で面白い。キャラクターのリアリティ感とヒロインの描き方が素晴らしく、ファ ンタジーでありながら、自分達ひとりひとりの物語として捉える事が出来る」 受賞後にリー・カンイは「ヒロインから学んだことは、一種の楽観性でした。彼 女との共通点も、よく笑うという点で、監督からも“地のまま演じて”と言われ ていました」と、よく動く大きな目を輝かしながら語ってくれた。 アート系の高校でドラマコースを選択していたが、主に舞台向けの授業だったそ うで、映画は今回が初めて。今後の出演予定に関しては、具体的には、未定とい う事だった。 ■『DEAD OR ALIVE 犯罪者』(三池崇史監督) スペシャルメンション(特別賞)は、受賞からもれたので選んだ訳ではなく、映 画祭の性格上、トッププライズだけを良しとする固定観念を嫌うから。また、こ の作品については審査員間で、今日の日本映画のとらえ方の点で激論が交わされ たものである。(崔洋一氏) 「人々の好奇心を引き付ける作品」であり、「ジャンルを固定出来なく」「古い 概念より新しい試みを試作した」点を評価された。新しい世代感覚として、世界 へ影響していく事を期待しての特別賞となった。 ■アジア映画賞とは・・・ 今年で3回目となる「アジア映画賞」。アジアにおける映画製作の振興と映画作家 の活動を支援すると共に、アジア映画人との交流を促進する事を目的としている。 アジア映画賞は、東京国際映画祭のコンペティション、シネマプリズム、ニッポ ン・シネマ・ナウで上映される作品のうち、アジア地域で製作された35mm長編映 画を対象としている。 受賞作品には、当映画祭より賞金100万円を贈呈、渋谷区長よりトロフィーが併せ て贈られる。 今年度は審査委員長の映画監督の崔洋一氏他、審査員は映画評論家のトニー・レ インズ氏、映画祭コーディネーターのポール・イー氏、朝日新聞記者の深津純子 氏、キネカ大森支配人の平野博靖氏。 本年度の賞の対象は上記2作品の他13作品。上記以外でノミネートされていた3 作品(◇印)について、審査員の寸評を紹介しておく。なお、括弧内は監督名で ある。 コンペティション部門から 『ナン・ナーク〜ゴースト・イン・ラヴ』(ノンスィー・ニミブット) 『紅鱒』(パク・ジョンウォン) 『マリアの息子』(ハミド・ジェベリ) 『スプリット・ワイド・オープン〜褐色の町〜』(デヴ・ベネガル) 『破線のマリス』(井坂聡) 『真夜中まで』(和田誠) ◇『ルナ・パパ』(バフティヤル・フドイナザーロフ) 物語のスケールが大きく、好むべきホラ話。お伽話のような中にもリアリティを 感じさせる。 シネマプリズム部門から 『サティア』(ラム・ゴパル・ヴァルマ) 『正義の華』(マノップ・ウドムデート) ◇『マラナ・シハサナム』 現代社会を普通に生きようとする主人公を、重い視点でクールに描いているもの の、ケララという場所をモチーフに娯楽性も兼ね備えた作品である。 ◇『フラット・タイヤ』(ホアン・ミンチュエン) 個人の内面を掘り下げ、ドキュメントと虚構の融和がうまくはかられている。ヒ ロインの心境が現代の台湾を反映してる。 ニッポン・シネマ・ナウ部門から 『火星のわが家』(大島拓) 『金髪の少年』(犬童一心) 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____ □ >>☆3☆『シュリ』緊急追加上映決定!!☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 本日上映された『シュリ』は、入場出来なかった観客約1500人程が会場周辺を取 り巻き、緊迫した状態になったため、急遽以下の予定で追加上映が決定した。 シュリ 監督:カン ・ジェギュ 出演:ハン ・ソッキュ、キム・ユンシン 1999年/124 min 11月7日(日)17:30〜(開場:17:00)渋谷公会堂 詳細はホームページwww.tokyo-filmfest.or.jp等でご確認ください) アジア映画賞受賞式に引き続き、『シュリ』の舞台挨拶が行われた。会場には監 督と主役の二名が来場し、満席の場内を沸せていた。(冒頭に記載したように、 確かに外も物凄い人々が溢れていて、ダフ屋も声をかけまくっていた) この作品は韓国では『タイタニック』の動員記録を、その半分の日数で塗り替え たと言われる程の大ヒット。全国民の7人に一人は見たことになるという。タイ トルの「シュリ」とは、朝鮮半島の川にのみ棲息する淡水魚で、映画ではスパイ のコードネーム。南北を往復する自由と統一の象徴。 以下舞台挨拶の模様からのレポート ◇この映画が大ヒットしたのは何故でしょうか? カン ・ジェギュ監督: 理由はおおまかに3つあると思います。「観客の為の映画という試み」「南北問 題を扱っている事」そして「初めて韓国でつくられたスパイ、アクションもの」 という事です。 ◇最近は日本映画も解禁になり始めましたが、日韓の交流の点は如何でしょう か? カン ・ジェギュ監督: 早く全面解禁になるべきだと思います。そして、アジアにおける、韓国と日本と のマーケットが出来ないかと思っています。技術や資本、共同配給という形での 交流や、共通のアイテムの開発などもいいと思います。 ◇主演のハン・ソッキュさんに伺います。貴方の出演作品は全てヒットするとい われていますが、その人気の秘密はなんでしょうか。 ハン・ソッキュ: 『シュリ』の前までは独身だったけど、最近結婚したんで、人気が落ちてしまう かな〜(笑)。観客の方との信頼関係の上での人気だと思います。 出演作は「まず、シナリオを選び」「選び方も視野が狭くならないように、気を 付け」て、「その作品が現在の韓国映画にどのような位置を占めるのか」「その 作品が今の映画界にとってプラスになるのか」を見極め、決定したら「信念を もって仕事をして必ず、その作品がヒットするように最大限の努力をします」 ◇今回の『シュリ』への出演理由を教えてください。 ハン・ソッキュ: 今の作品で私の出演作は7本目になります。それまでは新人監督との仕事が多 かったのですが『銀杏のベッド』という作品で、カン・ジェギュ監督と出会い、 今回で2度めのコンビです。そこで、監督とは既に信頼関係を築いていましたし、 こういったジャンルの映画は韓国にはなかったので。 落ち着いた雰囲気の監督と、ちょぴりお茶目なハン・ソッキュ氏。日本でも『八 月のクリスマス』でお馴染みのせいか、登壇した途端、会場から歓声があがって いた。 なお、この作品は2000年の正月第二弾映画として、渋谷東急、銀座シネ・ラ・ セット等での公開が決定しています。 P.S. 緊急速報ついでに、明日のシネマプリズムのクロージング作品『風が吹くまま』 (キアロスタミ監督)。お約束のジグザグ道と子供の登場、禅問答のような台詞 に、美しい風景が目の保養です。主人公のカメラマン氏が来日しています。昨日 の『キシュ島の物語』を御覧になっていたので、終映後につかまえて話をしまし た。英語が少し苦手のようでしたが、とてもきさくで優しい人でした。 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____ □ ┏━┓ I N F O R M A T I O N ┃F┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇ このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇ このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出 来ます。こちらでの作業は一切しておりません。 まぐまぐ (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm) マッキー! 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