ScreenKiss Vol.083

2000年 2月 3日 配信
ScreenKiss Vol.083

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Vol.083

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □クローズ・アップ   □シュリ   □理想の結婚 >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆0☆おしらせ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ □ホームページ  スクリーンキスのホームページでは、過去のバックナンバーの閲覧やその記事の  検索などが出来ます。また映画祭レポートやインタビュー記事などは写真付きで  ご覧になれます。  メールマガジンだけでは表現できない部分がありますので、こちらも併せてご覧  下さい。 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆1☆クローズ・アップ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛   1990年 90分   監督・編集:キアロスタミ   出演:当事者の皆さん   アッバス・キアロスタミ特集  映画はソルシュ誌の記者ファラズマンドが2人の憲兵と車に乗り込むところから  始まる。マフマルバフ監督と名乗っている詐欺師を捕まえる場面をスクープしよ  うとしているのだった。その後、アハンカ家から憲兵と手錠で結ばれた男が出て  くる。その姿をファラズマンドがしきりにシャッターを押している。  ドライバーと憲兵2人が車に残っている間、車内から外のファラズマンドを写す  シーンと外から車内の3人を写すシーンがあるが、ハリウッド映画にはない色あ  いでちょっと気になる撮影。フロントガラスの色が車内を半分隠している事、車  内の暗さと対象的な車外の明るさをそのまま写している事が目を引く。  この後アハンカ家のリビングルームで撮影が行われている。どうやら本当に彼ら  の家らしい。日本で上映されるイラン映画は貧しい家族という設定ばかりで、こ  んな立派な家の中をお目にかかることはなく、珍しい。しかし、彼らが住んでい  る一画はテヘラン市内に滞在すればそのホテルのすぐ近くでお目にかかれる町並  みで、木々の緑、家の高い塀、道路の標識などありのまま。ただ、この家の庭や  大きなリビングルーム、立派な椅子、カーペットを見ると随分金持ち一家の様  だ。  さて、引き続き詐欺師サブジアンがなぜ「映画監督マフマルバフ」と名乗って、  彼ら一家をだましてしまったのかという理由をこの映画は追求していく。  まずは、投獄されているサブジアンにキアロスタミが面会に行き話しを聞くのだ  が、サブジアンはこの時と後程の裁判の時にキアロスタミ達に向かって映画好き  の心境をいくつかの名言で語る。キアロスタミに向かって「人の苦しみを映画に  してくれ」「映画への愛が事件の原因」「『トラベラー』のあの少年の罪と同じ  です」と。(「トラベラー」はキアロスタミ監督1974年の作品)  判事や裁判所所長の許可の元、裁判シーンの撮影が行われる。サブジアンをク  ローズアップ撮影するカメラと、法廷内をワイドに撮るカメラ2台を使うことを  監督は彼に説明する。こうなってくると、彼が犯罪者なのか、役者なのか境目が  消えてくるようだ。  この映画では当事者が出演している為、次第にこの映画はありのままのドキュメ  ンタリーなのか、演出・脚本に基づいてセリフをしゃべっているに過ぎないのか  が分からなくなってくる。映画を見ている最中はそれでもドキュメンタリーだと  感じるが、サブジアンの語り口からすると練りに練った脚本に基づいているとし  か思えない。あの名言はキアロスタミの言葉だったのだろうか。  また、裁判シーンを割って逮捕劇のいきさつのシーンが挿し込まれている為、よ  りいっそうオリジナルとフィクションの境目が分からなくなってくる。しらじら  しい回想シーンとして挿し込むのではない点にも注意してもらいたい。この時の  編集の巧みさはキアロスタミらしい。すなおで単純な編集にすぎないのだが、そ  の編集テクニックが名作を産む要因になっている事には間違いない。とにかく最  初から最後まで時間的な違和感や、混乱、不自然さを感じる事なく常に自然に映  画が流れていく。だから見ていて心地よく、物語にはまっていく。  法廷でのゆっくりとした動きの非常に長いカット(長まわし)、詐欺の経緯を映  したこぎみよいカメラワーク。意図的にそれらを使い分けていく。  さらにこの映画のエンディングでは、イラン映画を見て感動したときに感じるあ  の独特の感情(私だけかな?)が沸き立つ。えも言われぬ震えを全身に感じる。  本物のマフマルバフ監督が出所するサブジアンを迎え、バイクに2人乗りしてあ  のアハンカ家に謝りにいく。その際、撮影スタッフは隠しマイクをマフマルバフ  に付けてもらって盗撮・盗聴するのだ。しかも、器材がおんぼろだから、盗聴の  音が随分途切れ途切れで、ほとんど何を話しているのか聞こえてこない。しかし  そのおかげで画面に集中させられ、おまけに映画の意味を深く考える時間を与え  られる。効果的な演出。  とちゅうサブジアンが鉢植えの花を買いもとめるが、お金がたりないためマフマ  ルバフがお金を貸す。鉢を抱えた2人乗りでバイクは更に走っていく。元(?)  詐欺師にお金を貸してしまうなんてね。  アハンカ家についた2人。サブジアンはチャイムをならし、インターホンにむ  かってこう言う。「サブジアンです。」「は?!」「サブジアン・・・マフマル  バフです。」そう名のらなければ自分の事を分かってもらえない彼の、その小さ  く悲しそうな声には思わず感傷的になってしまった。  今度は本物の監督がインターホンに向かって「マフマルバフです。」と告げ、玄  関から主人が登場する。サブジアンは主人に許される。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆シュリ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛    ★★★★☆    1999年/韓国/124分/アメリカンビスタサイズ    監督・脚本:カン・ジェギュ    出演:ハン・ソッキュ、キム・ユンジン・チェ・ミンシク    http://www.shuri-movie.com  アジア映画界の誇り!この映画は私の極東アジア映画に対する偏見を消し去っ  た。やればできる!  と、いきなり力んでしまったが、本当にそれだけ満足いく作品に仕上がってい  る。1999年11月の東京国際映画祭ですでに話題沸騰。ようやく22日からロード  ショー公開されたこの映画をまだ見ていないなら次に見る映画としてください。  ハリウッドアクション映画しか見ないという人にもお勧めできるし、「映画は恋  愛映画じゃなくっちゃね」という貴方にもお勧めしたい。仕事や勉強のストレス  解消に、日ごろの憂鬱をはらす為に。  内容はあまり説明する必要もないでしょうが、北朝鮮の特殊部隊が北京に潜入す  るという設定。先に送り込まれていた謎の女性スナイパー(イ・バンヒ)の正体  を軸に、韓国情報部員と北京での攻防戦が繰り広げられる。そして、その戦いに  巻き込まれていく情報部員ジュンウォンとその恋人の運命は…。  さて、イ・バンヒ(スナイパー)が使う銃は「ニキータ」で使っていた銃と同じ  らしい。私は銃に詳しいわけではないので、これ以上説明はできないが、同様に  なにやら運命のようなものを背負った女性という辺り、意識しているのだろう。  アクション、特撮、CG、音響、そして爆発や銃身からほとばしる火花が一体化し  て迫力を出している。たしかに時たま、いかにも体にロープがついていますと  か、大袈裟すぎる表情やミニチュアのビル、壊す為のオンボロ車などが目につく  こともあるが、その程度はハリウッドの大作ですらしばしば見られること。  脚本は密度が濃く、次々に何かが起こって行くから退屈しない。大音響の後は  しっとり、明るいシーンの次には暗いシーンをもってくるなど、つぼを押さえた  演出が見られる。  主人公達の容姿には魅力を感じなかったが、悪い顔ではないから、今後日本で  ファンが増えるのは確実。  こういった映画がついにアジアで作られるようになってきた。日本を含めてアジ  ア各国ではそれぞれ世界的に通用する映画人がいるわけだから、各国の特色・特  徴を融合して映画作りを進めて行けば、さらに大作、名作、迷作が生まれること  だろう。アジア映画に期待したくなる「シュリ」だった。  尚、★を1つ減らした理由は、映画のテンポを重視して強引に話が展開する個所  が数箇所あった為だが、結果的にそうすることで退屈する暇がなかったことも認  めたい。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆理想の結婚☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛    1999年/イギリス/100min    監督・脚本:オリバー・パーカー    出演:ケイト・ブランシェット、ミニー・ドライヴァー、       ジュリアン・ムーア    1999年カンヌ映画祭クロージング作品    1999年シアトル映画祭最優秀男優賞(ルパート・エヴェレット)    2月中旬より 渋谷文化村 ル・シネマにて    http://www.b-lecinema.com/  19世紀末、ロンドンの上流社会が舞台。36歳“にもなって”未だ独身を謳歌して  いるアーサー・ゴーリング卿と親友で将来を期待されている政治家、ロバート・  チルターンとその美しい妻。そしてアーサーとは婚約までした経験のある、今で  はウィーンの花形、チーヴリー夫人。ロバートの「ある過去」を握る彼女は、そ  れをネタに彼に取り引きをもちかけるが・・・。  2000年はオスカー・ワイルドの没後100年目。この作品は、彼の戯曲『理想の夫』  が原作である。英国らしい、皮肉とウィットに富んだ台詞、それぞれがはまり役  のキャスト陣、それらが巧く噛み合って、極上の仕上がりになった。  劇中劇にワイルド本人まで登場し、そのタイトルも『まじめが肝心』。誠に憎い  演出である。「まじめ」で「理想的」な夫であるはずのロバートに、何やら妻も  知らない秘密が・・・。理想の姿がぼやけた途端、彼女にとって夫は許しがたい  存在だ。  そこで、登場するのが、正反対に、極楽とんぼのアーサー。父に言われるまでも  なく、自分の欠点を羅列してみせる彼は、それでも「まだ、半分にもなってない  よ」と言い切るツワモノ。退屈な社交会を適当に泳いでいるような彼だが、実は  一番現実を直視しているキャラクターなのだ。  繰り返し使われる台詞、「見ると、見えるは大違い」が、ここら辺から強烈に立  体化してくる。  ハプニングに見舞われながらも、ロバートの窮地を救おうと、画策するアー  サー。この辺りが舞台を見ているようで、とても面白い。演ずるルパート・エ  ヴェレットが誠にいい味を出している。元祖美少年路線だった彼が、ゲイのカミ  ングアウトと同時に『ベスト・フレンズ・ウェディング』で大ブレイク。その、  横顔なんざ惚れ惚れするような美形ながら、コミカルで、それでいて気品ある  アーサーには、何ともぴったりだ。  ついでに言うと、彼は最近執筆業にも力を入れているとかで、「哀れ、ダーリン  は娼婦?」は翻訳されている(河出書房)。実は、これは半自伝的作品と言われ  ていて、映画と共に読んでおくと楽しさは倍増だ。(新作も今執筆中らしい)  厄介なチーヴリー夫人(典型的な悪女ながら魅力的な存在だ)も去り、やっと独  身生活に終止符を打つアーサーの相手、メイベルはロバートの妹ながら、夫とな  る人物を兄嫁のように決して最初から「理想化」していない。(演ずるミニー・  ドライヴァーは、跳ね返り過ぎの気もするが)よりを戻した兄夫婦と、この先ど  ちらが「理想の結婚」だったか・・・。  まさに伝統の香りと、精緻な演出がマッチした、英国ならではの作品。時代背景  こそ異なるものの、パンチの効いた皮肉とシニカルな笑いは現代に置き換えても  充分効果的。洒落た大人の会話の勉強にも、是非お薦めの、この春一押しの映画  です。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   マッキー! 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QT MAI ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼

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