ScreenKiss Vol.126

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □アシッド・ハウス   □運命   □スーパー・ノバ   □失われた子供たちの海岸   □EUREKA (ユリイカ)   □読者より >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆アシッド・ハウス☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Tha Acid House     ★☆☆☆☆     1998/イギリス/111分     監督:ポール・マクギガン     脚本:アーヴィン・ウェルシュ     出演:ユアン・ブレンナー、ケビン・マクキッド、        スティーブン・マッコール  3話オムニバス  「トレインスポッティング」の作家アーヴィン・ウェルシュが新たに放つケミカ  ル・ジェネレーションを描く脚本。今回のジョークや、ユーモアは全て外してし  まったようだ。結局、この映画の楽しみ方をみいだすことはできなかった。単な  る汚い映画という印象を持つのは、私が大人だからか?  どれもこれも辛辣な現代の現実を真っこうに描きつつ、実際にイギリスにはいそ  うな人物達を軽いコメディータッチで描いているが、とにかく不快感がわき起こ  るばかりでゆっくり落ち着いて見ていられない。  第1話では1日であっという間にすべてを無くし、おちぶれていく男の姿を描  く。最後に「私は神だ」と名乗る男が表れて、彼が起こす神業には面白さを感じ  ない。  衝撃的でもなんでもなく、短篇映画で使い古された落ちがまっている。  第2話は男と女が陥る堕落的な境遇。男の仕事はスーパーの店員。やりマン女の  兄貴は暴力的なヤクザ。男がしっかりしているにもかかわらず、女がだらしない  という点はイギリス映画不況物には珍しい設定。  ただ、皮肉とも捕えられず、気持ちも分からないからちっとも彼らの行動に納得  しない。驚きがあるわけでもないから、あきあき。  第3話は落雷が今時の若者(フーリガン)の人生を変えてしまう。落雷によって  またしてもとんでもないことが起こってしまうのだが、それが全く面白さを感じ  られない。ありふれているということではないのだがとにかく面白い設定ではな  く、単なる思い付きで書かれたストーリーという程度。  これがあの「トレスポ」で渋谷系映画の流行を作った原作者の脚本かと思わずに  いられない。小説と脚本の違いを見せつける結果となったというと大袈裟だが、  毎回ヒット作を産み出すと言うことがどんなに難しい事か。  トレインスポッティングでは「世界一汚いトイレ」にもぐっていく姿が汚さの象  徴だった。この映画にはそんな象徴はなく、終始画面全体が汚れきっている。し  かしそのわりには臭いが感じられないので、撮影があまいということ。  連想して「ニル・バイ・マウス」の映像と比べると、あの映画の画面から伝わっ  てきた湿気はこの映画にはなく、やはり撮影があまいとなる。  汚物的な汚さを鮮明に色付けして見せられると、どうも引いてしまう。ストー  リーに、はまりこめるだけの魅力がないためその汚さだけに目が行ったあげく、  オムニバスだから合間あいまで映画のイメージが固定されてしまった。「ラン・  ローラ・ラン」のように、基軸を固定されたイメージで描きつつ、エンディング  を変えていくという面白さもない。  とにかく、この映画には不快なシーンがつきまとい、どうも冷静に見続けられな  かった。  おまけに館内のマナーも悪く、私の斜め前の男は映画の不快さを映画館で演じて  いるかのような人で、携帯電話はつけっぱなし。電話が鳴れば話しながら席を立  つ。それを3回もくりかえすとくればいいかげん映画に集中できないし、注意し  たくても金髪にしている学生風の2人組に渋谷の中で注意する気は起こらない。  もちろん映画館が悪いわけではない。あくまでもマナーの問題。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆運命☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Mektoub     1997/モロッコ/93分     監督:ナビル・アユーシュ     地中海映画祭 The Mediterranean Film Festival 2000     5月19日〜6月4日まで国際交流基金フォーラムにて  モロッコであった現実の事件をモチーフにした逃亡劇。  アメリカで成功した眼科医の夫婦トフェックとソフィアは、学会で講演するため  に故郷のモロッコにやってきた。そこでホテルのスタッフに陥れられ、妻が誘拐  されてしまう。レイプされるところをビデオで撮影されたあげく、夜明け前には  路上に捨ててしまう。  戻ってきた妻ソフィアの復讐に怒りくるったトフェックは、モロッコで警官をし  ている兄カメルの拳銃を盗み、首謀者ダリフを殺し、彼が撮影したビデオを奪い  とる。ダリフは警察署長だった。  そのビデオに映る町の権力者(マフィア)が証拠を消そうと2人を追いかける。  兄は殺されながらも2人をアトラス山脈の山中の村へ逃がす。  証拠のビデオが効力を発揮するまでの間追手から逃れるために、さらに車やバス  で逃げまわり、最後に行き着いた先で見るものは、兄の葬儀だった。  モロッコは年間1数本の長編映画が作られているとのことだが、その程度の環境  で作られたわりにはしっかりとした脚本、撮影で好感がもてる作品。  家族から見放された兄の心境、レイプ犯罪、モロッコの貧しき山岳民族の麻薬栽  培といったさまざまな問題を浮きだしながら、現在のモロッコを描きつつ、ロー  ドムービーの魅力を借りて逃亡劇を描いている。  いや、モロッコがどうのこうのと考える以上にロードムービーとしての映像の魅  力にあふれる作品。好きじゃない人は我慢ならないのでは。  チラシには「スタイリッシュな画面」という紹介があるが、色合や構図でいくつ  か面白い映像がある程度で全体のイメージはそれほどでもない。しかし、これが  ヨーロッパ映画ではない点を考慮するなら、やはりいい映画。  お勧めできるが、やはりロードショウ公開は難しいだろう。レイトショーでロー  ドムービーとして宣伝すればそこそこ人がきそうだ。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆スーパー・ノバ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Supernova     ★☆☆☆☆     2000年/アメリカ(日本公開未定)     監督:トーマス・リー     出演:ジェームス・スペイダー、アンジェラ・バセット  この作品、危うく『アラン・スミシー監督』の作品になるところだったという曰  くつき。そもそもはウォルター・ヒル監督の作品だったものが監督の降板、映画  会社とのすったもんだという背景のもとに作られたものである。既に色々な映画  雑誌で『駄作』の烙印を押された作品だけに、ある意味興味があったのだ  が・・・  医療救命用の宇宙船ナイチンゲール号にある日、SOSサインが入る。船に奇妙な物  体と共に乗り込んできたセクシーな男(ピーター・ファシネリ)。その時から船  の中では何かが狂い始め・・・  まず、脚本がよろしくない。魅力的な役者を多々使っているにもかかわらず、  キャラそのものの性格が描き切れていないため人間関係が描き切れず、いきなり  恋愛関係に陥ってしまったり、全ての人物の行動が唐突に見える。とくに結婚を  約束した恋人がいながらもセクシーな男に惹かれるという役柄を演じるロビン・  タニーに、隠された欲求や衝動といったものが全く感じられなかった。彼女の演  技が悪いのではない。役柄自体に魅力がないのである。『エンド・オブ・デイ  ズ』で清純な娘を演じたあとだけにイメチェンのチャンスだったのに。『ジャッ  キー・ブラウン』でキラリと光っていたロバート・フォスターなどセリフもロク  にないまま死んでいく始末・・・  後半は、もはやパニック映画なのかエイリアン映画なのかわからない状態なのだ  が、かといって緊張する場面も全くなく、残酷な場面なのに恐怖感も全くない。  セックス、爆発、ハッピーエンドといったハリウッド映画のヒットの法則をきっ  ちり守っていながら軽く楽しむことすら出来ないこの映画、ラジー賞にノミネー  トされる価値すらないのかも・・・だってラジー賞の映画は少なくともインパク  トはあるもの。見所はスレンダーなスペイダーとバセットだけ。                                 MS.QT.MAI __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆失われた子供たちの海岸☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     La Plage des Enfants Perdus     Lost Children's Beach     ★★★★★     1991/85分/モロッコ     監督:ジラーリ・フェルハーティ     地中海映画祭 The Mediterranean Film Festival 2000     5月19日〜6月4日まで国際交流基金フォーラムにて  スクリーンキスの購読者には、エミール・クストリッツァ監督が好きな人も結構  多いと思うが、そんな人には絶対に勧めたい1本。91年とちょっと古い映画だか  ら、この機会にお目にかからないと見るチャンスを失ってしまうかもしれない。  「ルナ・パパ」が東京国際映画祭で賞とったことは記憶に新しいと思うが、この  映画にはその映像センスに似た味がある。あの映画を好きな人にも絶対にお勧め  だ。  しかし、ストーリーはコメディー的な要素のない、非常にまじめな映画。社会的  なテーマがしっかりと保持され、日本人にも分かりやすい問題でありながら、こ  の地域の独自性も感じられる。  撮影は絶品で、絵画でいう「空気遠近法」というような手法に近い方法で、一見  するとごく普通の海岸線を芸術写真のような景色に変えてみせる。逆光も効果て  きめんに使用され、人物の感情やその場の時間的な雰囲気(夕暮れのさみしさな  ど)を上手く表現している。  また、各シーンについて説明しすぎるようなカットやセリフが全くないため、見  る側に想像させる隙間をたくさん与えてくれる。見る人によって娘ミナや、父  親、継母の感情の捉え方が違ってくるだろうし、ストーリーの意味合いすら変  わってくるだろう。  その点では微妙で難しい映画なのかもしれないが、訴えている事は非常に単純な  ので、エンディングまでしっかりと画面を追っていけばおのずと答えは導き出さ  れると思う。  さてストーリーは、モロッコのタンジェ近く、塩田のある海辺の村が舞台。  ちょっととぼけた娘ミナが結婚もしていないのにみごもってしまう。結婚してく  れない男を引き止めようとして思わず殴り殺してしまったが、彼女は錯乱して男  を塩の中に埋めてしまった。  妊娠を知った父親は、子供のできなかった後妻ザイナブの服に屑を詰め、彼女の  子供として産ませることをたくらむ。秋になり人のいなくなったサマーハウス  (別荘)にミナを押し込め、隠れたまま祖母と後妻の介添えで出産するミナ。し  かし、ミナはザイナブから赤ちゃんをとりあげ、逃げるように家をでる。ミナの  異変に気付き追いかける村人。  映画は単調で音楽も少ないが、はっとさせられる場面がいくつかある。どうして  もコメントしておきたいシーンは、後妻がいつのまにか本当にみごもっていると  思ってしまうシーン。脚本のうまさを感じるし、このアイデアには脱帽だ。ま  た、リアルな出産シーンでは、ミナのことを考えて感動してしまった。  漁からもどる船。海岸の岩肌。色とりどりの女達の服。走り回る子供の姿。夕陽  の美しさ。遠景でとらえた小さな集落。光をおさえた撮影。ソフトフォーカス。  映画は奥が深く、まだまだ知らない(知られていない)名監督はいくらでもい  る。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆EUREKA (ユリイカ)☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛    2000年/モノクロ/シネスコ/217分    プロデューサー:仙頭 武則    監督・脚本:青山 真治    撮影:田村 正毅    出演:役所 広司、宮崎 あおい、宮崎 将、斎藤 陽一郎    2000年・第53回カンヌ国際映画祭コンペティション部門    国際批評家連盟賞受賞    今秋、テアトル新宿他にて全国ロードショーの予定  電通・イマジカ・サンセントシネマワークス・東京テアトルによる映画製作プロ  ジェクト「J−WORKS」第1回作品。これ以降の作品も仙頭 直美監督の「火垂(ほ  たる)」や、諏訪敦彦(「M/OTHER」−1999年カンヌ映画祭国際批評家連盟賞)、  利重 剛(「エレファント・ソング」−1995年ベルリン映画祭NET PAC賞)、是枝  裕和(「幻の光」−1995年ベネチア映画祭金のオゼッラ賞)などの作品も控えて  おり、非常に勢いのある若手監督の作品をラインナップし、また欧州最大の有料  テレビ局CANAL+(カナル・プリュス)と世界配給権の販売契約も結んでいる、と  ても期待されるプロジェクトである。  物語は、ある九州の地方都市で、バスの運転手・沢井はバスジャック事件の現場  に遭遇し、危うく命を落としかける。沢井の他に生き残ったのは、中学生の兄・  直樹と小学生の妹・梢の2人だけだった。  事件によって大きなダメージを受けた3人。しかし、彼らの心にそれ以上の深い  傷を負わせたのは、マスコミや周囲の好奇に満ちた視線だった。沢井は家族を捨  て消息を絶ち、兄妹はその事件がきっかけで両親が離婚するなど家庭が崩壊し、  2人きりの生活を強いられていた。  それから2年が過ぎ、再び沢井が姿を現したのと同時期に、周辺で連続殺人事件  が起こる。疑いの目が沢井に向けられ、癒えない傷に苦しみ、傷つく沢井。やが  て、兄妹が2人っきりで生活をしている事を知る沢井は、彼らの家を訪ね共に暮  らし始めるのだが・・・。  「この映画はたぶん 語り得ないこと を語ろうとしているのだと思う(青山監  督)」とのこと。とても独特の世界観を持っている作品で、それを表現するのに  モノクロ(というよりもセピアに近い)、シネスコという幅広い空間を用いて、  今の日本映画を考えると力強い意欲を感じさせ、作品を作りあげている。役者に  関しては、特に梢役の宮崎 あおいには印象的で強い存在性を感じさせてくれた。  期待大です。ただ、どうしても問題になるのが3時間37分という上映時間の長  さ。これも作品の個性ということで考えれば仕方ないのだが、この時間の長さは  観る人それぞれに異なる様々な印象を残すことになるでは。色々な意味で問題作  です。                                   ゆたか __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆6☆読者より☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ アメリカン・ビューティーに関して  記事を読ませていただいて、大変正直なメールマガジンだと感心しています。多  くの映画評論家が、アメリカでの評判に押されて、自分では判っていないのに、  よく判らない誉め方をしています。それに比べると、貴紙の論調は駄目なものは  ダメと、誠実な姿勢が感じられます。  しかし、「アメリカン・ビューティ」は核家族否定の映画で、「アイス・ストー  ム」は核家族擁護の映画と、主題はまったく違います。家族の組み替えに、ほぼ  メドが立ったので、アメリカの映画人たちは安心して「アメリカン・ビュー  ティ」にオスカーを与えることができたと考えます。なぜ、「アメリカン・  ビューティ」がオスカーをとったのか考えないと、貴紙の役目はないんじゃない  でしょうか?  映画に対してどんな見方もありですが、僭越ながら、映画が見れてない評論と感  じます。 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   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QT MAI               吉田 浩二 ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼

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