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Vol.140
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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆< □故郷への旅 □東・西 □愉快なフェリックス □第8回フランス映画祭横浜2000 >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆故郷への旅☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ VOYAGE 1999年 監督・脚本:エマニュエル・ファンキエル 主演:シュラミッド・アダール、エステール・ゴランダン アウシュビッツを訪れるバスツアーに参加した65才のリヴカ、パリで一人暮ら しをするレジーヌ、イスラエルに移民した80才のロシア人ヴェラ・・・一見関 わりのない彼らの人生は、実は戦争という影により不思議に関わりあっていた。 カメラは余分なものを映し出さず、あくまで荒涼とした風景や老人の表情といっ たものを淡々と映し、映像だけでいかに彼らが歩んできた人生が一筋縄ではいか ないものだったかを表現していく。彼らの皺やしみ、瞳は深い悲しみや絶望感で 彩られている。恐らく私たち日本人では到底理解できない感情だろう。とくに2 番目の収容所で無くなったはずの父親とレジーヌのエピソードで、彼が本物では ないと解っていても奇妙な連帯感が生まれるくだりは同じ苦しみを生き抜いたも の者同士ならではだろう。 3つのエピソードが一見何の関わりもなさそうなのに最後の最後でそれが解った ときには思わずはっとさせられ、同時にこみ上げる涙を止めることができなかっ た。 筆者のキャスティングに対する質問に監督は「イディッシュ語を話せる60才以 上の役者が必要だったため、必然的に素人を集めることとなった。」と答えてい たががそれがドキュメンタリーのようなリアリティを出すのに一役買っている。 「ヴェラを演じた女優との出会いがこの作品の一番の喜び」という監督の暖かい 笑顔に心を動かされた。 歴史を知る上でも見て欲しい作品。 MS.QT.MAI __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____ □ >>☆2☆東・西☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ EST-OUEST 1999年 主演:サンドリーヌ・ボネール、オレグ・メンシコフ 物語は1946年国外逃亡していたロシア人アレクセイと妻のフランス人マリーと息 子がスターリンの恩赦を与えるとの発表を信じ、ロシアに帰国する事から始ま る。貧困、スパイ容疑、そして夫とのわだかまり・・なんとかしてフランスに帰 り、自由になりたいマリー。そして彼女を救おうとする青年との愛・・ 「こういう歴史を知れば、日本やフランスのような民主主義の国に生れたことが どんなに幸せかわかるはず。」舞台挨拶での監督の言葉だが、そんなメッセージ が存分に伝わる作品。前記の「故郷への旅」とある意味共通のテーマであるがド キュメンタリー調の「故郷〜」に対し、こちらは逃亡劇あり、恋愛ありとドラマ チック。フランス映画に対し、退屈なイメージを持っている方にもお進めできる 作品だ。アカデミー外国語映画賞にノミネートされたのも頷ける。 主人公マリーを演じるサンドリーヌ・ボネールは強さと弱さを兼ね備えた女性像 をまさに体当たりで演じていて、この人の演技力を改めて認識させられた。監督 曰く「スターになることを望まず、努力して全身全霊で演技する人」とのこと。 彼女を支える女優を演じるカトリーヌ・ドヌーブは存在感大で、この2大女優共 演も見所。 MS.QT.MAI __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____ □ >>☆3☆愉快なフェリックス☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ DROLE DE FELIX 1999年 監督:オリヴィエ・デュカスティル、ジャック・マルティノー 主演:サミ・ブアジラ、ピエール・ル・ラジョ ベルリン国際映画祭審査員賞 タイトル通り主人公フェリックスがとってもチャーミング。思うにHIV患者を主人 公にここまで明るく、爽やかな映画も珍しいだろう。フェリックスが前向きに生 きられるのはきっと恋人ダニエルとの関係が素晴らしいものだからに違いない。 愛のある人生がいかに豊かなものかを改めて教えてくれる。 物語はこのフェリックスが父親を探しにヒッチハイクをしながら旅に出る道中出 会う人々との心の交流が軸になるのだが、一つひとつのエピソードに滲む、笑い と切なさのさじ加減が絶妙。旅の終わり方もさりげなくていい。 主人公を演じたサミ・ブアジラはハリウッド映画にも進出しているが、それに関 して質問したところ「ハリウッド映画は予算など規模が大きいため色々な規則が 大切になるが、今回のような作品では皆が協力しあい一生懸命作品を作ってゆく ので自分自身学んで変わっていくことが出来る」とのこと。でも「自分について は(気持ちの上で)全然違いはない。両方を経験できるのは素晴らしい」とキラ キラした目で語る姿はフェリックスそのもののチャーミングな青年でした。 MS.QT.MAI __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____ □ >>☆4☆第8回フランス映画祭横浜2000☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 24日(土) ■9:30 愛しのシビル(PETITE CHERIE) 1998/106分/本年度カンヌ国際映画祭監督週間出品作 監督:アンヌ・ヴィラッセク 出演:コリーヌ・デボニエール、ジョナサン・ザッカイ、 コーレンス・フェヴリエ 銀行に勤める30才のシビルは両親のやや過剰な愛情を受け、家とオフィスを往復 し、恋愛小説を読むばかりの毎日。25才のヴィクトルはハンサムで自由きままで ミステリアス。そんな2人が偶然出会い、恋におちたシビルは家にヴィクトルを 連れてくる。居着たヴィクトル、理想の恋愛の為にはなんでもするシビル、そし て彼女の両親の奇妙な関係が作られ始める。実際にあった三面記事をヒントにし た映画。監督はこれが長編デビュー作。 ■11:30 とびだした女(UNE FEMME D'EXTERIEUR) 1999/115分 監督:クリストフ・ブランン 出演:アニエス・ジャウイ、セルジュ・リアプキン、 ベルナデット・ランベール 35才のフランソワーズにとってそれまでの人生は幸福であり、3人の子供たちを 誇りに思っている。しかし、夫のジャックは彼女と同じ気持ちではなかった。15 年目の離婚。フランソワーズは子供たちと暮らしながら、看護婦を続けるが、ま もなくその環境から逃げ出してしまう。家をでて夜の街にくりだし、新しい世界 でアヴァンチュールを楽しんでいく——彼女はこれまで唯一幸せだと信じていた 生活とは別の生き方を探さなければならないのだった。監督は男性だが、脚本に も制作にも女性の参加を得て、主人公の女性のリアルな心の変化を見事にすくい とり、胸に響くドラマをつくりあげた。 ■14:30 女がいちばん憧れる職業(MELLEUR ESPOIR FEMININ) 2000/115分 監督:ジェラール・ジュニョ 出演:ジェラール・ジュニョ、ベレニス・ブジョ イヴォンの職業は美容師。彼はエレガントで、彼のかつらは見事によく彼に似 合っている。ブルターニュで彼は顧客のおばちゃま達の崇拝を受け君臨してい る。そんな彼の18才になる愛娘レティシアが映画のオーディションを受け、主役 に抜てきされたから大変!コメディアン、俳優のジェラール・ジュニョが監督・ 出演したコメディ。原題は「最も期待される女性」という意味で、セザール賞の 最優秀新人女優賞をあらわす言葉である。 ■17:00 家族の再会(TOUT VA BIEN, ON S'EN VA) 2000/96分/本年度カンヌ国際映画祭監督週間オープニング作 監督:クロード・ムーリエラス 出演:ミュウ・ミュウ、サンドリーヌ・キベルラン、ナターシャ・レニエ、 ミシェル・ピコリ 全ては万事快調に思えた。長女ロールは家をきりもりしながら、父が残したタン ゴ・スクールを経営している。次女のベアトリスは裕福で、人にも優しく、自分 は必要な人間であると信じている。末妹のクレールは才能豊かだが、まだ無名の ピアニスト。そんな3姉妹の元に15年間行方不明だった父親ルイが突然帰ってき た。この久々の再会が家族の均衡を乱すことになる。 1昨年のフランス映画祭で「夢だと言って」が好評だったクロード監督の最新 作。人気女優3人と、名優ミシェル・ピコリという味わい深いキャスティングで 大きな期待を集めている。ナターシャ・レニエは「天使が見た夢」でエロディ・ ブシェーズと一緒に98年カンヌ国際映画祭主演女優賞を受賞した。 ■19:00 おせっかいな友人(HARRY, UN AMI QUI VOUS VEUT DU BIEN) 2000/112分/カンヌ国際映画祭コンペ部門出品作 監督:ドミニク・モル 出演:ローラン・リュカ、セルジ・ロペーズ、マティルド・セニエ ミシェルとクレールはうんざりするバカンスを迎える。ひどい暑さに3人の騒々 しい娘達。3年間も修復に費やしている別荘。ある日、ミシェルの元に高校時代 の同級生ハリーが現れる。彼はミシェルには大作家の資質があると信じていて、 なぜ彼が日本人相手のフランス語教師をして平凡な家庭生活を送っているのか理 解できない。ハリーはなんとしてもミシェルの才能を花開かせようとするのだが …。ジャン・ポール・サルトルの小説を脚色したデビュー作「INTIMITE」で注目 された監督の長編第2段。「ニノの空」のセルジ・ロペーズ始め、演技派がそろっ たコメディー。 ■21:30 サルサ!(SALSA) 1999/100分/シネスイッチ銀座にて公開予定 監督:ジョイス・シャルマン・ブニュエル 出演:ヴァンサン・ルクール、クリスティアンヌ・グゥ、カトリーヌ・サミー、 ミシェル・オーモン 若き天才クラッシックピアニスト・レミ。彼がショパンを捨てて選んだ音楽はサ ルサ!しかし、白人であることからパリのラテンバンドに門前払いされてしま う。彼はバニラ色の肌をチョコレート色に変え、閉鎖寸前のキューバ・バーでサ ルサのダンスレッスンの仕事を得る。そこでシャイなパリジェンヌ・ナタリーに 出会う。キューバの一流ミュージシャン達の曲は必聞。特に老舗バンド、シエ ラ・マエストラのラテン音楽が全編を通じて心酔わせる。フランス大ヒットの恋 と情熱の物語。 25日(日) ■9:30 短編映画特集(LES COURTS METRAGES) 毎年見逃せないのはこの短篇映画特集。面白さ、驚き、発見ありの選りすぐりの 短篇映画ばかりです。 映画祭で受賞した作品あり、ヴァンサン・カッセル、モニカ・ベルッチ、ギョー ム・カネ出演の作品あり、アニメあり。カトリーヌ・ドヌーブの息子、クリス チャン・ヴァディム主演作品や、マルチェロ・マストロヤンニの娘、キアラ・マ ストロヤンニ(母親はカトリーヌ・ドヌーブ)の主演作品あり。見逃すとなかな か見る機会の少ない短篇映画が7本上映されます。 ■11:30 勇気をだして!(HAUT LES COEURS!) 1999/110分/本年度セザール賞最優秀女優賞(カリン・ヴィアール) 監督:ソルベーグ・アンスパック 出演:カリン・ヴィアール、ローラン・リュカ、ジュリアン・コトロー 初めての出産を控えたエマは、自分が乳癌であることを知る。意志は治療の影響 を考え、中絶をすすめるが、他の医師は治療しながらでも出産は可能であると断 言した。恋人シモンとの長い闘病生活が始まる。「ポーラX」のローラン・リュ カ。カリンは今年セザール賞を受賞し、名実ともにフランス映画界No.1の実力派 女優。監督初めての長編作品。 ■14:00 ふたりの教師(LE PROF) 2000/100分 監督:アレクサンドル・ジャルダン 出演:ジャン=ユーグ・アングラード、イヴァン・アタル、 エレーヌ・ドォ・フジュロール 教育に情熱を燃やす2人の教師の物語。子供のころから仲の良かった2人だが、 教育に対する考え方の違いから少しずつ距離が離れていく。さらに同じ女性に恋 をしてしまい…。ロマンスとともに、現代の教育問題についても考えさせられる 爽やかな感動ストーリー。 日本で人気の高いジャン=ユーグ・アングラード主演。「恋人たちのアパルトマ ン」の監督、アレクサンドル・ジャルダンの第3作目。 ■16:00 パリの確率(PERT-ETRE) 1999/109分 監督:セドリック・クラピッシュ 出演:ジャン=ポール・ベルモンド、ロマン・デュリス 大晦日。アルチュールは友人宅のパーティーで恋人に子供が欲しいと打ち明けら れ動揺する。トイレに駆け込むと天井から砂がこぼれている。あがってみると何 とそこは砂に埋もれた2070年のパリだった。そして目の前に現れた白髪の老人。 彼は信じられないことに「息子」だと名乗り、自分達未来の家族の為に、絶対に 今夜子供をつくってくれと懇願する。 「百貨店大百科」、「猫が行方不明」の大爆笑映画を送り続けるクラピッシュ監 督、待望の最新作。キッチュでポップなSFフォーチュン・ストーリーだ。若手実 力派と、いわずと知れたベルモンドの共演は見逃せないでしょう。 ■18:00 ブッシュ・ド・ノエル(LA BUCHE) 1999/106分/セザール賞助演女優賞(シャルロト・ゲンスブール) 監督:ダニエル・トンプソン 出演:サビーヌ・アゼマ、エマニュエル・ベアール、 シャルロット・ゲンスブール 今年もまたクリスマス・シーズンがやってくる。この日ばかりは町中がお祭り騒 ぎにあるれかえる。けれどもそんなイブの浮かれた雰囲気とはうらはらに、この イヴェット家の娘達は各々胸に秘めた思いを抱えていた。クリスマス・イブに老 若も貧富も問わず全ての人に襲ってくる「憂鬱な状態」が…。 「王妃マルゴ」の人気女流脚本家が初監督。息子クリストファーも主演。親子で 脚本を書いた家族物のヒューマン・コメディー。サビーヌ、エマニュエル、シャ ルロットの豪華3姉妹。 ■20:00 サン・ピエールの未亡人(LA VEUVE DE SAINT-PIERRE) 1999/112分 監督:パトリス・ルコント 出演:ジュリエット・ビノシュ、ダニエル・オートゥイユ、 エミール・クルトリッツア 1850年、フランス領サン・ピエール島に駐留する大尉とその美しく純真な婦夫 人、そして泥酔して人を殺してしまい、死刑を宣告された島の住人ニール。本国 から島にギロチンが送られる愛だにニールは護衛として夫人につき、島人たちと 親交を深めていく。そして、夫人は死刑に疑念を抱き始める。 ルコントの新作がやってきた。しかも今度はあの「アンダーグラウンド」の監督 エミール・クストリッツアを役者にしてしまった。それだけでも必見。 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____ □ ┏━┓ I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇ このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇ このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出 来ます。こちらでの作業は一切しておりません。 まぐまぐ (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm) マッキー! 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QT MAI 吉田 浩二 ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇ 映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・ 論評するメールマガジンです。 Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss 掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼ ┼