ScreenKiss Vol.177

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Vol.177

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □クレイドル・ウィル・ロック   □キューバ・フェリス   □素肌の涙   □DOWN UNDER BOYS   □ウェイティング・ルーム >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆クレイドル・ウィル・ロック☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Cradle will rock     ★☆☆☆☆     1999年/アメリカ/134分/シネスコ     監督・脚本:ティム・ロビンス     撮影:ジャン=イヴ・エスコフィエ     出演:エミリー・ワトソン、スーザン・サランドン、ジョン・タトゥーロ  映画の最後、時代の逆境に負けずに強引に舞台を上演する(映画の中では)冴え  ない役者たち。失業を恐れずに「クレイドル・ウィル・ロック」を演じるシー  ン。その場に立会いたくて、彼らの演じる「クレイドル・ウィル・ロック」を見  てみたくてたまらなかった。アル・パチーノの「リチャードを探して」で感じた  興奮をこのシーンでも感じた。  しかしそれまでのシーンはどうだろう。間延びした意味のない、笑えない陳腐な  セリフ。やたらと切り替えていく不自然で目の回る編集。整理されていないまま  入り乱れる登場人物。その登場人物の性格を照らし出す瞬間に他の役者にカメラ  が移ってしまうため、せっかく個性的で演技のうまい役者がそろっているのに、  彼らの演技すら見ることができない。エミリーだけが十分な長さのカットを与え  られ、最後まで印象に残る。  腹話術士かロックフェラーの話は余分で、欲張りすぎ。カットしましょう。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆キューバ・フェリス☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     CubaFeriz     ★★★★★     2000年/キューバ・仏合作     監督:カリム・ドリディ     出演:エル・ガジョ、ペピン・バイアン     10月21日公開  10月6日に行われた試写会、会場には何と!エル・ガジョ本人が挨拶に来て客  席は歓喜に包まれた。  小柄な体つきにベージュのチノパン、パナマ帽、サングラスといったファッショ  ンで現れた彼、翌日に渋谷のHMVでCDのキャンペーンを兼ねたミニライブをやると  のことで現れたのだが、なんとも人柄の良さそうな笑顔に通訳の青年まで、感極  まっていたようだ。  キューバ音楽、そして老人とくれば『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』の二  番煎じか、と思う方もおられるだろうし、どうしても比較してしまうのが心情だ  が、ブエナ・ビスタがコンサート風ドキュメンタリー映画とすると、こちらはド  キュメンタリー風ミュージカル映画といった感じだろう。  色恋沙汰や、哀しみ喜びはもちろん、食欲や金銭のことまで何でも歌や、リズム  にのせて語ってしまうキューバのミュージシャンたちは、さながら人生そのもの  がミュージカルといった具合。と、いってもワケもなく歌い出す、本当のミュー  ジカルとは全く意味合いが違う。生活そのものに音楽が染みこんでいるのだ。  そういう意味ではこちらのほうがキューバ音楽好きにはグッとくるかも。  また、何と言っても主演のエル・ガジョの歌声とギターが素晴らしい。  乾いた道をギター抱えて歩く彼の姿。「おれの人生は/苦しみばかり/恋をすれ  ば/裏切られ…」そんな切ない歌詞とともに彼の深い色の瞳や、目の周りに刻ま  れた皺の数々を見る。このオープニングから既に熱いものがこみ上げてしまっ  た。  老いることも悪くない、というハッピーな気持ちとはまた違う、切なさが残る映  画。                                 MS.QT.MAI __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆素肌の涙☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     The War Zone     1998年/イギリス/100min/カラー/1:2.35スコープサイズ     監督:ティム ・ロス     出演:ララ ・ベルモント、レイ・ウィンストン、ティルダ・スィントン     1999年エディンバラ国際映画祭        マイケル・パウエルアワード最優秀英国映画賞     www.jvc-victor.co.jp/movie/  ロンドンからデヴォンに引っ越して来た一家。長女ジェシーはロンドンの大学進  学を夢見、弟のトムは友人のいないこの地に馴染めない。そして毋がアリスを出  産。一家は赤ん坊を中心の生活に変わる。そんな折、トムは浴室にいる父と姉の  姿を見、姉に関係を問いただすが否定される。ある日、実際の現場を目撃したト  ムだったが、直後アリスが入院。これを機に父に向き合った彼は・・・  あのティム・ロスの初監督作品・・と鳴りもの入りの宣伝だったが・・・評判以  上の出来映えだ。荒涼とした風景の中の閉ざされた家族。閉ざされたジェシーの  心。父娘の心の闇。家族のそれぞれの心象風景のような光の使い方が秀逸だ。  優しい父の顔と、嘘をついてまでも娘との関係を止めない男の顔。具体的なシー  ンが明らかにされる迄、トムの嫉妬かも・・と観客さえも騙されそうなこの2つ  の顔をレイ・ウィンストンが実に巧く演じている。  『オルランド』や『イヴの秘かな憂鬱』で見せたやや中性的なナイスバディが嘘  のように、弛んだ腹部を晒していたティルダ・スウィントン。実際双子を出産し  た直後の出演だったというから、きっとまんまの出演だったのだろう。女優とし  て凄い勇気だと思った。こうしたベテラン俳優陣の中、堂々の演技は姉弟役の新  人2人。これからの成長が楽しみだ。  それにしても『司祭』を始め、イギリス系の映画には父娘の近親相姦を扱ったも  のをよく見る気がする。が、この作品で衝撃的なのは、父の刃がどうやらアリス  にまで及んでいるらしい事だ。幼児期の虐待は多重人格になりやすいという  し・・。それとジェーンが犯されながら父に言う台詞も怖い・・「ママと同じよ  うにやって」。  唯一「正常な」男として毋を、家族を守ろうとするトムだが、姉と2人きりに  なった時、小屋・・姉が父と関係していた場所・・の扉を閉める。この中での2  人の様子も気になってしまうラストではある。なお、この作品はこの秋オープン  したシアターイメージフォーラムのこけら落としの作品。青山学院近くの閑静な  場所にあるモダンで清潔なアートシアターだ。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆DOWN UNDER BOYS☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     THE BOYS     1998年/オーストラリア/86min/カラー/1:1.85ヴィスタサイズ     監督:ローワン ・ウッズ     出演:ディヴィッド ・ウェンハム、トニ・コレット、リネット・カラン     1998年オーストラリア・アカデミー賞4部門        (監督、助演男優、助演女優、脚色)     1999年オーストラリア映画批評家協会賞3部門(作品、監督、脚色)     http://www.bitters.co.jp/     10月28日(土)〜シアター・イメージフォーラムにてレイトロードショー     *初日9:10pm~トークショー「バイオレンスの誘惑と罠」  それは兄、ブレットの出所から始まった。服役中、家族の誰も彼に面会する者は  なく、帰宅してみると空気は様変わりしていたのだ。隠していたドラッグはなく  なり、毋はアボリジニの愛人と暮らし、すぐ下の弟は結婚、末弟の彼女は妊娠し  て同居中、そして恋人は浮気した様子・・・。が、ブレットの出現で女達は彼等  に愛想をつかす。そして3人兄弟は・・・。  この夏世界で最も賑わった都市、シドニー。ここでユ80年代に起きた事件を舞台  化した作品の映画版だそうだ。いまだに摩擦ある人種問題だが、この時代はもっ  と強かったに違いない。そこ、ここに人種差別用語なども飛び交っている。ブ  レットの出所後、たったの18時間の出来事を画面に時間経過を打ち込む事で(X-  Fileみたいだ)観客も彼等と時間を共に過ごすような錯覚が生じた。  ザラザラした暗い画面、行き詰まるような空間の見せ方。3人兄弟だけの世界へ  と狭まって行った最も閉鎖的な瞬間は、ラストで獲物を狙う彼等の車内かもしれ  ない。事件のあらましは前後の画面から理解出来るものの、事件自体の詳細な映  像は敢えて省略してあるところが、この作品の最大のサスペンスだ。  「男達が私を取り合っているよ」と半ば自慢げに息子達の間を歩く母親。何が  あっても彼等の庇護者だった彼女からも見放された時、兄弟達の中で何かがはず  れた。ブレットと言えども見るからに凶暴でもなく、まして2人の弟はどちらか  と言えば情けない感じさえするのに、ネガティブな絆の力の恐ろしさ・・・。人  間の心の闇に迫る、これはこわ〜い心理劇です。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆ウェイティング・ルーム☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     The Waitingroom     1996/オランダ/28分/カラ−/35mm     監督:ヨス・ステリング     オランダ映画祭2000 Holland Film Festival 2000     10月6日〜10月12日まで草月ホールにて  コーヒーマシーンの扱いに四苦八苦している女性。大きなトランクを2つも抱え  た男性は待ち合い室の椅子に陣取ると、早速人間ウオッチング。若い女性は勿論  の事、豊かな胸の御婦人にもつい熱い視線を送ってしまう彼。と、そこへ目を見  張るような美人がやってきて・・・。  一切の台詞がない分、漫画のように「見て」判る作品。この映画祭に合わせて来  日していた監督は「台詞を通じて見る側が頭で解釈してしまうから基本的には台  詞が多いのは好きでない」のだそうだ。新作長編『ノートレインズ、ノープレイ  ンズ』ではたくさんの台詞があるものの、あまり台詞に重要な意味はない、との  事だった。  しかし、この短篇、気分はユアン・マクレガーの短篇『BONE』にそっくり。憧れ  の、しかも一面識もない女性への空想と妄想がよく似ているのだ。手が届かない  美女からのお誘いには、どうしても抗えない・・・という男性の都合のいいセク  シャルな妄想・・これは世界共通の男の夢なんでしょうね。  現実に戻れば美女はポスターで笑いかけ、コーヒーを手にした妻が横にいる・・  という粋なオチ。この男性を演じる俳優が濃い顔に、大袈裟な表情を浮かべて見  ているだけで笑える。この人も、また美女役の人もステリング組らしく?新作長  編にも登場している。  今年は日蘭修好400年。オランダ映画祭も今年で3回目を迎え、この3年間で35本  の映画がこの映画祭で紹介された事になるそうだ。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   マッキー!  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QT MAI               吉田 浩二 ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼

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