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Vol.208
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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆< □Movies-High! NCWセレクション Aプログラム □ハリウッド映画新作情報:リトル・ニッキー □レンブラントの贈り物 □私が愛したギャングスター □ルアンの歌 >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆Movies-High! NCWセレクション Aプログラム☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 第207号でお知らせした、「Movies-High! NCWセレクション」が、13日(土)から BOX 東中野で始まるにあたり、上映作品の紹介をしたいと思う。選りすぐりの短 編8作品が公開されるが、お知らせしたように、AプログラムとBプログラムとに 分かれている。 先ずは、13日(土)〜19日(金)まで上映される、Aプログラムの作品をご紹介し ようと思う。以下、上映順。 ■一番列車が出る前に 1998/26分/カラー 監督・脚本:斎藤理香 出演:坪井妙子、岡和則、上田章裕 1998年水戸短編映像祭審査員奨励賞 夏の隅田川。カメラを手にした1人の女が、ゆっくり静かに流れる川に誘われる かのように、おもむろにシャッターを切るが、そのファインダーの中に、ひたむ きに走る2人の男の姿を見つける。2人の姿をフィルムに収める中、彼女の心に も、彼等の姿が焼き付いていく。 静止画である写真。静止してシャッターを切る女。静止する事なく、走り続ける 男たち。流れやむことなく、静かに流れる川。そして、女と男の心情。動と静の 対比を垣間見る事が出来る作品。また、ラスト3人の関係や時間の経過が、止ま る事のない川に形容されているようにも感じた。 全体的に、女性監督らしい静かな語り口だが、走る男たちを捉える映像は力強 い。電車を使っての移動撮影やロケーションが抜群な作品。 ■午前六時のゴムボート 1998/20分/カラー 監督・脚本:原正之 出演:税所伊久磨、野口美鈴、原正之 カラオケ店で真面目に働くウェイターの明。しかし、彼の周りにいる人間は、不 真面目で邪魔ばかりする。働かず酒ばかり飲んでるアル中のマスターや、明に色 目を使うその妻ひろみ、明の昔の悪友ヨージ達。そんな彼等に構わず1人働く明 だが、ヨージ達が暴れだし、店は大混乱に陥る。 画面の色調と店の雰囲気が妙にマッチした作品。また、場違いにも思える、1人 浮いた服を着ているひろみも、店の雰囲気とのアンバランスさが、かえって効果 を挙げていた。 ラストの海上で漂うゴムボート、寂しいシーンだが、非常に印象に残る映像だっ た。浜辺に打ち上げられたゴムボート、アラン・ドロンの『太陽がいっぱい』と ダブらせて観てしまった。 ■こたつむり 1999/22分/カラー 監督・脚本:三橋寿美代 出演:降屋地歩、橘義 単調な日々を繰り返すケンジが、ある日ジャングルジムのペンキ塗りをするはめ になる。真夏のペンキ塗りが面倒に感じたケンジは、友達に手伝ってもらう事に する。やる気のなかったケンジだが、彼等の手伝う姿を見るうちに、ペンキ塗り にはまっていく。 人間の心理を巧く利用した、ケンジの言動が面白い。ペンキを塗りながらの会話 は、日常的で他愛もないが、その自然さが非常に良い。塗り終えた後、1人ジャ ングルジムの前で一服するケンジの姿が印象的だった。ケンジを演じた、降屋地 歩も良かった。 今作は、8作品の中で、観客受けする作品に相違ない。 ■ninoude-monkey 1999/17分/カラー 監督・脚本:泊貴洋 出演:泊貴洋、佐藤和恵 手のひらと足の裏を除き、体毛が生えない場所「二の腕」。この二の腕フェチの 男が、最高の二の腕を求め彷徨する。最高の二の腕を持つ女性と巡り逢えたが、 その後、彼の中で二の腕フェチの概念が崩れる。 ナレーションによる構成の為、説明的になってしまったのは否めないが、そのナ レーションの声がなんとも言えず作風に合っていた。 フェティシズムという偏執的な題材でありながら、その意図が巧く組み込まれて いた点は面白い。独創的な発想は特筆すべき。 吉田 浩二 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____ □ >>☆2☆ハリウッド映画新作情報:リトル・ニッキー☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ Little Nicky ★★★★☆ 2000年/アメリカ(日本公開未定) 監督:スティーブン・ブリル 出演:アダム・サンドラー、ハーベイ・カイテル パトリシア・アークエット、クエンティン・タランティーノ アダム・サンドラーが脚本も手がけたコメディ。 悪魔の息子であるニッキー(サンドラー)は、ヘビメタおたくの気弱な青年。あ る日、悪魔の王である父親(カイテル)が、なかなか王の座を譲らないことに腹 を立てた兄(リズ・エヴァンス)が下界に下りて自分のための地獄を作ろうと大 暴れ。父を助けるために下界へ送られたニッキーだったが…。 はっきり言ってかなりB級。SFXだって超インチキ臭いし一歩間違えば『ビルと テッドの地獄旅行』並に下らない映画である。 しかし!さすがは今一番の売れっ子サンドラー、鬼太郎ふうのすだれ頭に曲がっ た口で犬!と話す姿は、アホらしいと思いつつも抱腹絶倒なのである。(個人的 には彼の映画の中では一番笑えた。) また、他のキャストも凄い。カイテルほか若手演技派ナンバー1と言われるリー ス・ウィーザースプーンや、『ノッティングヒルの恋人』でも散々笑わせてくれ たリズ・エヴァンスらがこぞってオバカ演技に徹しているのがおかしい。カイテ ルなんてまるでサリーちゃんのパパ状態。 蚤の市で出会ったアーティスト、バレリーを演じるパトリシア・アークエットの 雑貨やさん風の衣装などもカワイイ。 そしてなんといっても笑えるのが盲目の牧師に扮したタランティーノ。黒ずくめ の衣装に白目を向いて十字架を振りかざす姿はまさにエクソシスト風!彼ってホ ントおたく・・・。 地獄の住人たちや、悪魔のいたずらの内容などもホントに一つ一つが笑える。 (政治家に取りついて10歳から飲酒できる法律を作るとか。) 小難しいことは考えず、とにかく笑いたい、という方にお勧め。 MS.QT.MAI __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____ □ >>☆3☆レンブラントの贈り物☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ Rembrandt ★★☆☆☆ 1999/フランス・ドイツ・オラダ/103分 監督:シャルル・マトン 出演:クラウス・マリア・ブランダウアー、ロマーヌ・ボーランジェ、 ヨハンナ・テール・ステーヘ、ジャン・ロシュフォール 2000年セザール賞美術賞 レンブラントが好きだから、ついつい見てしまったが、「きっとつまらないのだ ろうな」という想像そのままの映画。 彼の代表作(現存する全てが代表作なのだが)を制作する過程を絡めてみたり、 モデルとの関係や、絵が好きな人には知られている彼の破産の経緯を交えて物語 は彼の晩年までを追っていく。 よほど研究された事実に基づく波乱万丈な人生か、脚色しまくった人生でなくて は、映画としては面白くないものです。その点ではレンブラントの生涯は不十 分。 彼の破産劇もなんとも感じないし、観客が感情移入をするように作られていない 映画。レンブラント自身の悔しさや、悲しみの気持ちが伝わらないところが失敗 の原因か。 だし、セットは細部までレンブラントの絵画(17世紀に描かれた絵画)の雰囲気 を再現していて美しい。思わず見とれる雲の色相にはうっとりします。また、劇 中でレンブラントが描く肖像画は、その顔をキャストに似せていて面白い。特に 「屠殺された牛」のシーンにはつまらない映画の中で不覚にもうっとりしてし まった。 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____ □ >>☆4☆私が愛したギャングスター☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ORDINARY DECENT CRIMINAL ★★★☆☆ 1999/イギリス・アイルランド/95分 監督:サディウス・オサリヴァン(「ナッシング・パーソナル」) 出演:ケビン・スペイシー、ピーター・ミュラン、 デイビッド・ハイマン、リンダ・フィオレンディーノ K・スペイシーの落ち着いた演技は好印象。P・ミュランやD・ハイマンといった定 番U.K.俳優の共演はうれしい。若手の役者達も適材適所で配置され、期待を裏切 らない配役が逆に驚きをなくす。 L・リオレンティーノの声は低く、こもって聞き苦しいが黒髪の美しい女優。声を 別に録音しないと、マイクに入らないのではないかな。 マイケルが乗るカワサキのバイクや、ヘルメット、革ジャンと決して派手な衣装 ではないがCOSTUME DESIGNERジェーン・ロビンソン(「月下の恋」)の巧さは印 象的だ。 映画としては冴えない犯罪が繰り広げられたあげく、ちょっとしたアイデアのト リックを用いるエンディングが準備されているが、奥深い考察はしないほうがい い。ボーと眺めていれば楽しめるかも。 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____ □ >>☆5☆ルアンの歌☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ SO CLOSE TO PARADISE ★★☆☆☆ 1998/中国/90分 監督:ワン・シャオシュアイ 出演:ワン・トン(ルアンホン役)、シー・ユー(トンツー役)、 グォ・タオ(ガオピン役) 船から波止場へ荷物を天秤で運ぶ仕事を「てんびん屋」と呼ぶ。つまり、ちょっ とした力仕事で小銭を稼ぐ仕事だ。ぎりぎりの生活ができる稼ぎで、暮らす主人 公トンツーは、冴えない兄貴分ガオピンと暮らしている。 そんな設定の中国映画が検閲を通るなんて、少しずつ時代が変わりつつあるの か、検閲担当者には退屈すぎSてろくすっぽ見ていなかったのか? この映画に対して星2つの評価をした私ですが、決して退屈ではなかった。た だ、映画として全体を見たときにまだまだ盛り込みすぎる荒削りなストーリや、 長すぎるカットが気になった。90分と比較的短めの映画ではあるが、さらに編集 して短くすれば、星4つになっただろう作品。後の祭りで、いまさら本当に編集 しなおしてくれたとしても困ってしまいますが。 喧嘩のシーンでは撮影と編集のちょっとしたテクニックで臨場感を出し、まるで 我々がその喧嘩を仲裁しようとしているような位置で眺めることができる。1つ 1つ眺めればいい箇所はいくらでもある映画です。 一方撮影の気になる点としては夜も昼も、昼間の薄暗い場所やカラオケバーの中 も全て同じ色相で、前のシーンとそれに続くシーンで過ぎ去ったであろう時間の 感覚が薄い為、一体何時なのか、何日たったのかがつかみにくい。その為、撮影 の臨場感とは逆に日常的な生活味がなくなった。単純に「脚本を演じている」、 「脚本を撮影している」という印象が生まれた。 検閲をパスしているということは、中国での上映が許可されている作品だが、検 閲ぎりぎりの表現という規制の中でも、彼らの危ない仕事や生活が薄っぺらにな ることなく、かと言って綺麗すぎることもなく、反面現実的な臭みが不快感をた だよわせる訳でもなかった。 湿気のあふれる演技と言おうか、シー・ユーの表情を変えない演技と同時に対称 的なワン・トンの感情豊かな表情の演技。評価したい点は本当に多いが、まとま りとして見たときの評価は低い。 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____ □ ┏━┓ I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇ このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇ このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出 来ます。こちらでの作業は一切しておりません。 まぐまぐ (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm) Pubzine (http://www.pubzine.com/detail.asp?id=1547) Melma (http://www.melma.com/mag/31/m00000031/) マッキー! 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