ScreenKiss Vol.227

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
  ,.`☆
  .;^☆ S C R E E N K I S S
.’
Vol.227
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □小説家を見つけたら   □もういちど   □火垂(ほたる)   □日本の黒い夏[冤罪] >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆小説家を見つけたら☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Finding Forrester     ★★★★★     2000年/アメリカ     監督:ガス ・ヴァン・サント     出演:ショーン ・コネリー、ボブ・ブラウン、アンナ・パキン     http://www.sony.com/findingforrester  バスケの才能に長けた16歳の少年ジャマールは、密かに小説を書いていた。ひょ  んなことから知り合った怪しげな老人が、実は一冊のピューリッツア賞受賞小説  だけを残した伝説の小説家、フォレスターだと知り、彼の手ほどきを受けること  になるのだが・・・。  同監督の『グッド・ウィル・ハンティング』も同じく隠れた才能を持つ青年と、  トラウマを抱えた中年男の心の交流を描いていたが、くどい演技のウィリアムス  と、不器用な男を演じながらもエリート臭さの抜けないマット・デイモンの演技  ですっかり白けてしまった。  しかし、本作はそういう白々しさ、しつこさを拭いとり、良い部分だけを残した  仕上がりとなっている。  アル中気味で変わり者の小説家という嫌味になりそうな役も、コネリーが演じる  とどこかチャーミング。中年になっても色気を残す役が多かった彼が、こういう  枯れた役をやるからこそ、二番煎じにならなかったのでは。  また主人公、ジャマールに抜擢された新人のボブ・ブラウンの清清しさも印象  的。そのへんにいる少年というルックスなのに、曇りのない瞳でフォレスターを  見据え、『fxxk you』なんて台詞まで吐いて渡り合う堂々とした姿には圧巻。こ  の作品の勝因は彼の力に拠るところが大きいかも。  また、小説家の家に忍び込むシーンや、バスケの試合など、緊迫したシーンをバ  ランスよく取り入れているため、2時間を越える長さを全く感じさせなかった。  シーンを盛り上げるジャズやスタンダードナンバーも効果的。  小説がテーマなだけに本好きを唸らせる演出も見逃せない。主人公の部屋にある  本の数々も興味深いし、好きな女の子にサイン本をプレゼントしたり、本からの  引用を次々と言い当てて教師を負かすシーンにはニヤリ。まさに、ペンは剣より  強し、という感じ。  欲を言えば、ジャマールの書いた文章をもっと聞かせて欲しかったが、彼の文章  がどれほど素晴らしいのか想像するのもまた楽しいというもの。                                 MS.QT.MAI __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆小説家を見つけたら☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ Finding Forrester ★★★☆☆ 2000年/アメリカ/136min/カラー/シネマスコープ 監督:ガス・ヴァン・サント 出演:ショーン ・コネリー、アンナ・パキン、ボブ・ブラウン バスケの得意な16歳の少年。家庭問題から悩みを詩的な文章でノートに書き留 めていた。そのノートがある悪戯から謎の老人の手に渡る。老人は勝手に添削 して彼にノートを返すが、それ以来不思議な友情も芽生え、謎の老人の生活に も変化が生まれる。 ショーン・コネリー演じる謎の作家フォレスター。彼の若かりし頃の肖像画を 見ると、誰かさんにそっくりでした。さて、その秘密は映画を見れば分かるこ と。分からない人にとっては全く意味のないことですから、説明はしません。 文学好きな人には1人くらい心当たりがあるでしょうね。本ばかり読んでない で、たまには映画館で映画を見てください。 さて、映画はガス・ヴァン・サント監督の「グッド・ウィル・ハンティング」 にそっくり。 だから、あの映画を嫌いな人には勧められません。反対にあの映画が好きだか らといっても、文学ネタだから、ウケるとも限らないでしょう。95年のディカ プリオ主演「バスケットボール・ダイアリーズ」とあわせて比べて見てはどう でしょう。 でも脚本はマイク・リッチという新人。次回作を期待するほどの器ではないの ですが、来年公開の作品(「The Rookie」)も決まっているようです。 あえて批判すれば、マット・デイモンを弁護士役で出演させたのは間違い。弁 護士事務所とは古い付き合いなはずで、老人弁護士の方が適切では。・・・と 言いつつも、出演は思いがけない形で、楽しめます。 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆もういちど☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Innocence     2000年/オーストラリア/95min/カラー/ヴィスタ     監督・脚本:ポール ・コックス     出演:ジュリア ・ブレイク、チャールズ・ティングウェル、        テリー・ノリス     www.comstock.co.jp     モントリオール国際映画祭グランプリ、観客賞     オーストラリア・インディペンデント映画賞      (作品、監督、主演女優、編集、録音)     3月24日(土)よりシネスイッチ銀座他にて公開  70を迎えようとするクレアの元に若い頃愛しあったアンドレアスから手紙が来  る。彼の父親の反対で居場所もわからないままだったが、今は近くの町に住んで  いた。50年ぶりの再会はこの20年夫婦生活のない彼女の、女としての情熱を甦ら  せた。戸惑う夫、理解する子供達。が、アンドレアスは癌に侵されていた・・。  時々若く、美しい2人の姿が現在の彼等にオーバーラップされる。年をとるとは  何と残酷なことか・・。「年をとると愛はより本物になる」。残された時間が少  ない事、外見の美しさに頼らなくなる事・・原題のInnocenceの意味がここにあ  る。  「ハムレット」の台詞に「40も過ぎて何と分別のない」と彼が再婚した毋を罵る  箇所がある。肉体を伴う愛は若者の専売特許と考えがちだが、人間には最期まで  人間として、女性として、男性として生きる権利がある。それと共に身体的な老  化が即ち精神的老化とイコールでない事を教えてくれる映画だ。  クレア役のジュリア ・ブレイクが美しい(あの『マッシュルーム』で人肉料理を  作っていたお婆ちゃんです!)。特にアンドレアスと再会してから後、夫の元を  離れて彼と余生を過ごそうと決心する過程の戸惑いや、意思の強さの表情が実に  巧い。  長年連れ添いながら、妻のそうした頑なまでの強い意思に完全に圧倒されてしま  う夫。日本の昔の男達に似て「言わなくたって判ってるだろう」的な曖昧な態度  が許されないとやっと自覚した彼が、結婚以来初めて口にする言葉・・「I do  love you」。オーストラリアの男性って意外と日本的だったんだ・・。この2  人、実生活でも夫婦だそうで道理でイキがぴったり。  ここでは2人の恋愛を軸に実は、様々な重いテーマを織り込んでいる。「死」  「癌の宣告」「宗教」。既に「死」をそう遠いものとしてはいない彼等の気掛か  りは死による自我の滅却。肉体的な消失の他に個人の持つ思い出や愛着といった  ものの行方。劇中でクレアの見ているTVに監督の以前の作品『ある老女の物語』  が使われて、クレアの運命を暗示している。何度も「私達、大人なんだから」と  言う時 grown upという言葉が使われていたが、これは本当に大人のラブストー  リーだ。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆火垂(ほたる)☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     2000年/日本/164min/カラー/ヨーロピアンヴィスタ     監督・脚本・撮影・音楽:河瀬直美     出演:中村優子 、永澤俊矢、山口美也子、光石研、北見敏之     ロカルノ映画祭国際批評家連盟賞、ヨーロッパ国際芸術映画連盟賞     3月24日(土)よりテアトル新宿にて公開  3月。東大寺二月堂のお水とりの映像・・。夏。中絶をし、自暴自棄のあやこが出  会った陶芸家の大司。彼も祖父を亡くし孤独だった。ストリッパーの自分を心か  ら愛してくれる大司に徐々に心を開いていくあやこ。そんな2人を優しく見つめ  る、姉的存在の踊り子、恭子。久しぶりの故郷、香川ではただ一人の身内である  祖母が亡くなったばかり。あやこは再び心を閉ざす。そして暮れ、恭子が倒れ帰  らぬ人に。  子供の頃の思い出、大司との出会い、香川の小学校、楽屋・・とあやこの節目と  なる時に必ず流れる「ミカンの花咲く丘」の歌。これはいつも途中で終わってい  る。が、恭子の死に際して初めて全曲が歌われる。大事な存在を亡くし、しかし  ここから初めてあやこの再生がスタートするのを暗示しているのだろう。  冒頭と最後に出る東大寺二月堂の修二会。「お母ちゃん、白い雫が降って来る。  暗いとこに何もないねん。全部がひとつになって溶けていくねん」・・火の粉が  ぱらぱらと降る様に重なる台詞。この業を中心に、万灯供養、窯や夕焼けの  色・・そこここで赤が象徴的に登場する。全てを焼き付くし、そこから再生され  る・・連綿と続く人間の営みのようだ。  また、楔、地蔵といった言葉の中に「家族」や集合体としての人間という意識が  込められ、生きることの素晴らしさと苦しさを暗示している。物語の途中経過は  極力排され、ミニマムな映像と台詞で進行していくところにシンプルな力強さが  感じられる作品だ。そして風になびく稲穂や船から見える波頭などの映像に日本  本来の原風景を見たようで印象的だった。  河瀬監督は「3年振りの作品で期待と不安で一杯」だったそうだが、俳優への要  求はかなり厳しかった模様。「凄い体験でした」と大司役の永澤氏も口を揃え  る。特に恭子役、山口美也子氏には「ヌード劇場で、カメラが回っていない時に  観客の前で演じて下さい」などと注文。受けてたった?山口氏も「悔しいから1  週間頑張った」のだとか。駅前で突然ストリップになる場面もあって、彼女の役  者根性もただものではない。あやこ役、中村優子氏も初主演とは思えない程大胆  且つ繊細な難しい役をこなしている。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆日本の黒い夏[冤罪]☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Darkness in the Light     2000年/日本/119min/カラー/ヴィスタ     監督・脚本:熊井啓     出演:中井貴一、寺尾聡、細川直美、遠野凪子、北村有起哉、加藤隆之     http://www.kuroinatsu.com     3月24日(土)より渋谷東急3他にて公開  松本サリン事件から11ヶ月後。高校の放送部員であるエミとヒロは事件のドキュ  メンタリー製作の為、地元TV局を訪れる。中でも当初、警察へ最初の通報をした  神部氏が、事件の被害者であるにも関わらず警察からも犯人扱いされていた点に  焦点が向けられた。彼が犯人である事を濃厚に漂わせる記事が全国を飛び交う  中、このTV局だけは事件を慎重に扱ってきていたのだが・・・。  この事件については知らない日本人はまずいないと思うが、事件の詳細について  語ろうとする時やはり記憶を支配するのは、当時の報道だろう。翌年の地下鉄で  の事件の時でさえ、サリンという毒ガスについて国民は正確な知識を得ていな  かった。ましてその数カ月前の事件だ。曖昧な情報と知識で報道していたマスコ  ミが「推定」した点を視聴者が「真実」と誤解するのは当たり前の事だ。  マスコミの報道の怖さを描いたものでは『破線のマリス』が記憶に新しいが、そ  こでは明確な悪意が見られた。が、この作品では誰も悪意ではない点が実はもっ  と怖いところなのである。悪意ではないが、視聴率やクライアント、警察の実績  といったそれぞれの立場でのプレッシャーから出来あがった「皆に都合のいい」  報道という罠が仕組まれていくのだ(そう言えばスクープ〜悪意の不在』という  同様の設定の米映画があった。勿論フィクションだけど)。  こうして第3者として事件をなぞるのは気楽だが、実際にこの悪意なき罠には  まってしまった人間の恐怖ははかりしれない。最近は「冤罪」事件が増加してい  る事を考えれば、過去にどれだけこの恐怖を味わい人生を棒に振った人々がいた  事か。そう考えれば犯人扱いされ続けたにも拘わらず、謝罪を受け入れるという  態度に出た河野氏(ここでは神部氏)の行動がどれほど寛大なものであるかがわ  かる。  ここでは敢えてドキュメンタリー的手法だけで片付けず、高校生の意見や目を通  して事件の検証をしていく、ディベート形式を採用している点がいい。彼等の目  は時に一般の目であり、時に何者にも束縛されない意見として重要だからだ。今  後の報道を背負う事になるかもしれない彼等に未来を託したような気もする。  監督は、その第1回作品『帝銀事件・死刑囚』でも捜査や報道のあり方を問い掛  けながら、世論の「犯人」である事への「期待」の怖さをも取り上げている。余  裕のある方はこちらも対比して御覧になる事をお薦めします。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   Pubzine (http://www.pubzine.com/detail.asp?id=1547)   Melma     (http://www.melma.com/mag/31/m00000031/)   マッキー!  (http://macky.nifty.ne.jp/servlet/FreeMailServlet/           mail_backnum?freemail_id=412)   メルポット  (http://melpot.net-planning.co.jp/) ID:0000000008   ココデメール (http://mail.cocode.ne.jp/) ID:0200300007   emaga (http://www.emaga.com/music/intro/film.html) ◇◇広告募集______________________________◇ ◇   ScreenKissでは、広告を募集しております。   詳しくは、in[email protected]へ ◇◇お問い合わせ____________________________◇ ◇   色々な情報やアイディアや感想などありましたら下記のアドレスまで投稿をお   願いします。そのほか編集に協力して下さる方も募集しています。   [email protected] ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   ホームページでは過去に記事を参照できるようになっています。   http://www.ScreenKiss.com/   Copyrights(C), 1998-2001 ScreenKiss Entertainment  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。  発行人・編集長 中津川 昌弘 ┼                                   ┼

タイトルとURLをコピーしました