ScreenKiss Vol.234

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □ハリウッド映画新作情報:シュガー・アンド・スパイス   □シリアル・ラヴァー   □キャンディ・ラヴァー・ガール   □Lies/嘘   □キッド >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆ハリウッド映画新作情報:シュガー・アンド・スパイス☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     シュガー・アンド・スパイス     Sugar and Spice     ★★★★☆     (2001年/アメリカ・日本公開未定)     監督:フランシス・マクドーガル     出演:マーリー・シェルトン、ミーナ・スバーリ  学校でカリスマ的人気を誇る、美女5人のチアガール達。そのリーダーが、これ  また学校イチ爽やかなアメフトのクォーターバックと恋に落ち、妊娠してしま  う。どんなに人気者で美しくても、高校生である彼らにはお金も無く、彼女達は  友達のため、そして自分の夢のために強盗を企てるのだが・・・。  主人公を演じるマーリー・シェルトンはヘザー・グラハム的な、金髪青い目のお  人形顔で、お洋服やお部屋はいつもピンク色。髪にはいつもリボンを付けてい  て、まるでバービー人形のよう。方やボーイ・フレンドは金髪にいつも青いシャ  ツ。  この極端なまでの可愛らしさが逆に彼らの内面の空虚さを示しているようだ。物  質的には恵まれ、苦労も知らない。そして気にするのはおしゃればかり。でも頼  れるのは親ではなく友達や彼氏・・・。なんとなく今の日本の若者にも通じる気  がする。  強盗を企てるきっかけもキアヌ・リーブス主演の『ハート・ブルー』の強盗シー  ンがクールだからという理由のみ。作戦を練るために『レザボア・ドックス』な  ど犯罪映画を手分けして見るシーンには苦笑してしまう。  『アメリカン・ビューティ』でもアメリカの闇の部分が巧みに表現されていた  が、本作はコメディーでティーン映画、一見可愛いのにそのへんの毒を見事に表  現していて脱帽してしまった。ちなみに『アメリカン・ビューティ』で美の象徴  となったミーナ・スバーリが今回はブルネットの髪で母親が刑務所にいるはすっ  ぱな少女を演じている。  強盗のシーンのスタイリッシュ?な映像や思わずア然としてしまうオチなど退屈  せずに楽しめる。ハリウッド映画やティーン映画なんて!という人にこそお勧  め。  付け加えると、最近では珍しい1時間30分程度の短さもあっさりしていて小気味よ  い。                                MS.QT.MAI __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆シリアル・ラヴァー☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Serial Lover     1998年/フランス/85min/カラー/1:2.35     監督・脚本:ジェームズ ・ユット     出演:ミシェル ・ラロック、アルベール・デュポンテル     www.crest-inter.jp     4月28日(土)よりシブヤ・シネマ・ソサエティにて公開  ミステリーの出版社の編集者、クレール。彼女は35歳の誕生日に3人のボーイフレ  ンド(実際は同居人を入れて4人)を招待して、夫選びを決意。が、ディナーが始  まると同時にその悪夢は始まった。次々と「偶然」彼等は事故死していくのだ。  丁度その日、二人組の泥棒を追跡するセリエ刑事も附近を捜索しており、怖く  なったクレールは妹に助けを求めるが・・・。  『バットマン』かと見まごう程の奇怪なカメラワーク。お約束の不穏な音楽。全  て昔の怪奇もの路線を踏襲しながら、漫画を地で行くおふざけな映像。不愉快な  人を血祭りにあげていくブラックコメディ『シリアルママ』と異なり、我らがヒ  ロインに殺意は皆無。「そんなバカな!」と思いつつスクリューボールコメディ  のようなスピーディな展開に気が付くとエンド・マークが。  冷蔵庫、ナイフ、電話線、そして何故かスケート靴等、家の中に転がってるもの  が凶器。危険なのは観客だけが知っていて「あっ!そこに居ては危ない!後ろも  見ろ後ろ」と叫びたくなるようなそんな感じが何とも言えず計算されたチープな  トリック。こうなったら観客は完全に監督にしてやられているわけだ。  極め付けは繰り返し歌われる「Only You」。お間抜け泥棒の人間ミュージック  ボックスも変だけど、カッコマンなのにずれてるセリエ刑事が「君は一人でも勇  敢だった。自分の強さが分かったね」とクレールを慰める台詞とこの歌、そして  彼のラストシーンを重ね合わせると効果は数倍!つまり彼女は誰にも頼らず(と  いうか頼れず)生きていく運命なのだ。変人に囲まれて一人、美しく冷静に対処  するクレールが逆に浮いて見えるのも可笑しい。  さて、この作品は実は3年前のフランス映画祭で1度見ている。それで今回は余  裕の鑑賞。すると実に細かいところまで行き届いた「お遊び」に気が付く。「ま  ずい選択」「クリームの殺人」等のふざけた本のタイトル。家の中のポスターも  悲劇の展開を暗示し監督に半分流れるイギリスの血のせいか、ご丁寧に落ちて来  る写真はヒッチコック。監督の来日時のノリノリの雰囲気は早々に死んでしま  う、サシャそっくり。実は監督の分身と確信している私です。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆キャンディ・ラヴァー・ガール☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Lover Girl     1997年/アメリカ/88min/カラー/ヴィスタ     監督・脚本:リサ&ジョー     出演:タラ ・サブコフ、サンドラ・バーンハート、        クリスティ・スワンソン     http://www.cinemacafe.net/theater/css     4月14日(土)よりシネセゾン渋谷にてレイト公開  毋は彼と行ったバカンスから戻らない、仕方なく長年音信普通の姉を尋ねたら門  前払い・・16歳のジェイクの夏休み。そんな彼女に手を差し伸べたのは、マッ  サージパーラーで、姉さん株のマーシー。ひょんな事からジェイクはオーナーに  内緒でここで働き出すが・・・。  いわゆる風俗営業が舞台のこの映画。でも全然淫ぴなイメージがなく、働く女性  も健康的で逞しい。それに対して常連客はなんだか情けない奴ばかり。女の武器  を最大限利用するこの商売、「バナナと思えば平気よ」というたキャンディ  (ジェイクの源氏名)のあっけらかんとした発言も笑える。  16歳のジェイクを演じるタラ ・サブコフ、実は製作当時は24歳!20歳の時にも何  と14歳の男の子の役でデビューしたのだそうだ。小柄で童顔の彼女だが、実際は  デザイナーとしてレーベルも立ち上げている。その彼女の作中でのファッション  も見物。TシャツGパンのガキんちょ姿から、どうみても学芸会的お仕事服まで。  それにジェイクのキャンディ好きも半端じゃない。舌を緑に染めて人工甘味料の  固まりみたいなキャンディは、どぎつい甘さなのにそれぞれ主張していてアメリ  カ社会のようだ。  「固い殻の下に甘いものが隠れている」とはマーシーの事。「始めは刺激的だが  食べ過ぎると口内炎になるし、お腹をこわす」とは、この商売の事。彼女なりの  キャンディ哲学が結構鋭いところを突いたりしてなかなかだ。ポップな音楽も楽  しい。  本当、アメリカのキャンディの甘味は凄い。舌は痛くなるし飽きるし。でもこの  甘さ、しゃっくりが出た時にそっとなめると意外と止まるんですよ。1度試して  みて。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆Lies/嘘☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     1999年/韓国/108min/カラー/アメリカンヴィスタ     監督・脚本:チャン ・ソヌ     出演:イ ・サンヒョン、キム・テヨン、チョン・ヘジン     http://www.imageforum.co..jp     4月28日(土)よりシアター・イメージフォーラムにて公開  芸術家Jに憧れる同級生ウリの代わりに彼とコンタクトを取った女子高校生のY。  卒業目前に初めて会った2人はその日から深い仲に。それは処女を捨てる相手を  自分で選びたい、という彼女の選択でもあった。デートを重ねるうちにJのS的な  性癖が露になる。それに耐える事が愛と思うY。仕事で別居中の妻に会いにパリに  行った彼の帰国を待ちわびるY。大学生になった彼女はひょんな事でS側になる  が・・。  さて、原作は猥褻文書で有罪にされ、ローマ法皇からは「よろしくない映画」の  お言葉を頂き、海外マスコミにも「芸術かポルノか?」と物議を醸し出したお騒  がせ映画である。確かに女学生らしい好奇心で始まったJとの初体験にどこか田舎  臭さが抜け切れていなかったYが、彼との行為を通して段々と大胆に、積極的に、  そして男に優位に立つ事を自然に身に付けていく樣は、同性ながら恐ろしいばか  りの変身ぶりだ。そんなYにのめり込んでいくJ。韓国版『倦怠』SMヴァージョン  といったところか。  家出したYと点々と居場所を移動するJ。Yが彼女の監視役だった兄の死で、この逃  避行にピリオドを打ちたいと言った時に彼は思わず怒鳴る。「俺はどうな  る!」。完全に立場が逆転。こうなると分別もなくしたただの単細胞な男。男の  弱さと女のしたたかさ。  物語の大半が密室のセックス&SM(&スカトロ)。貧弱な身体をアクロバッティ  ングに駆使して頑張る姿は、痛ましくもあり辛く苦しくさえある。しかもモザイ  クもボカシもない潔さは凄い(よく映倫を通過したものだ)。美しいセックスは  幻想の様に思えてくる位だ。  「お道具満載」アタッシェケースや、殴る為の棒作りに真剣に励む様は妙に可笑  しい。そもそもセックスは非常に個人的な事柄だが、こうして見ると第三者的に  は案外滑稽な営みなのかもしれない。JのS的性癖がその生い立ちにあるように、  一歩間違えばドメスティックバイオレンスになりかねない。しかし、これを愛と  勘違いしてしまう事でこれらの区別が曖昧になっている事もあるだろう。  この作品の面白いところは、最初の方で時折映画の撮影風景を入れている点だ。  これを全編「つくりもの」のドキュメンタリー風ととるか、映画そのものととる  かで受け取り方が違ってくるだろう。見る側の自己投影の目安になるかもしれな  い。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆キッド☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     The Kid     ★★★★★     1921/アメリカ/53分/白黒     製作・監督・脚本・作曲・出演:チャールズ・チャップリン     出演:ジャック・クーガン、エドナ・パーヴィアンス  映画館でのリバイバル上映、またビデオ、DVDや衛星テレビ等で観る事が可能な過  去の作品群。現在に至っても影響を及ぼし続けているそれらの作品を、邦洋の東  西を問わずご紹介しているが、今回から、映画界最高の天才チャールズ・チャッ  プリンの長篇作品をご紹介していく。  山高帽にちょび髭、丈の短い上着にダブダブのズボン、そしてドタ靴にステッキ  という独特のスタイルでお馴染みの放浪者チャーリー。数多くの作品で、チャッ  プリン演じるこのチャーリーが、人間の悲喜を体現し笑いと涙を誘ってきた。弱  者に優しく、富や権力を有する者には痛烈に風刺し笑い飛ばす。そして人間の在  り方を問い、我々に数多くの事柄を投げ掛けて来る。それを完璧に計算しつくさ  れたパントマイムで演じ切る。  彼は監督としても優れた才能を発揮し、同時代のサイレントの大スター、ストー  ン・フェイスのバスター・キートンやロイド眼鏡でお馴染みのハロルド・ロイド  が後年活躍の場を失ったのに対し、チャップリンが映画界最大の巨人としてその  地位を保ち続けたのも、チャップリンという偉大な監督の存在があった為と言わ  れるほど。  演出家としてのチャップリンは、鋭い洞察力を持ってして笑いの中に人間の醜さ  や愚かさ、また悲劇性をも表現している。彼の作品を観ると、人間の良心につい  て深く考えさせられる。映画監督は、作品の中に自伝的内容や自身の思想を反映  させるという。チャップリンもまた、人はどうあるべきかどう生きるべきかと  いった事を常に作品に提示している。彼ほど思い遣り、心の平和への願いを描い  た監督はいないと思う。まさに尊敬に値する人物だ。  さて、そろそろ作品紹介に入ろうと思うがその前にもう1つ。今回ご紹介する  『キッド』はチャップリン初の長篇作品である。ただしセリフがない。これはサ  イレント(無声映画)といって、映画誕生から約30年セリフがなかった時代に作  られた作品の特徴。  フィルムは、ビデオと違って絵は写せても音は録音出来ない。セリフの登場は、  録音機材の技術革新を待たなければならなかった。しかしチャップリンは、トー  キーと言って映画に音が登場した後も、「パントマイムには声は要らない」とセ  リフを頑なに拒否。この事は、映画は視覚に訴える芸術という基本的概念と共通  する。だがそんな彼も、後年『独裁者』においてセリフを用いる。これは、絵で  表現出来ない部分はセリフで補い表現するという映画理論につながるものだ。  今回の『キッド』は述べたようにサイレント。チャップリンの声を聞く事は出来  ないが、彼の動きの全てがセリフとなって聞こえて来る。セリフのある作品は  後々ご紹介する。それでは『キッド』の内容について述べる事にする。  男に捨てられた女(E・パーヴィアンス)が、生んだ赤ん坊を育てる自信がな  く、捨てる決意をし金持ちの車に置き去りにする。しかしその車が泥棒に盗ま  れ、赤ん坊は路上に捨てられる。そこへ通りかかった放浪紳士チャーリー(C・  チャップリン)が拾い上げ育てる事となる。5年後、成長したキッド(J・クー  ガン)のもとに、有名なオペラ歌手になった母である女がやって来る・・・・。  全篇において、冒頭部分の有名な「微笑みと一粒の涙の物語」という字幕が示す  通りの内容。笑いのシーンで特に印象的なのは、チャーリーが子供を拾う場面。  赤ん坊を抱き上げた後、元に戻そうとしたら警察に見られていて、捨てたと誤解  されたので仕方なく拾わざるを得ないという展開は最高だ。感動的な場面では、  施設に入れられそうになるキッドを助け抱き合うシーンが挙げられる。このシー  ンは涙抜きには見られないが、今作の最も感動的な場面だけでなく映画史上の名  場面でもある。  今作でキッドを演じたJ・クーガンが素晴らしい。彼の名演技が作品の感動をよ  り一層高めた言っても異議はないと思う。彼の演技は語り草になってるほどだ。  映画史を彩った数々の子役の中でもナンバーワンと言って良い。  『キッド』は、タイトル通り子供を軸に展開する作品だが、微笑みと一粒の涙の  裏には子供を捨てたという人間の暗い部分が描かれている。映画では、男に捨て  られた女という悲劇的設定ではあるが、子捨てという設定は、自分勝手な気持ち  だけで安易に子供をもうけ、養育に関して無責任な親が目立つ現代人にも通じる  メッセージとして受け取る事が出来る。それとは逆に、育て親のチャップリンの  姿を見て、子育ての意義というものも同時に教えてくれている。また、子供を捨  てた母親が罪悪感から慈善活動に精を出すという点について、人間の心の内を見  事な洞察力を持って描いているのはさすが。  チャップリンの作品は、社会的メッセージが強く表れたものが多い。今作を含め  全部で8作品取り上げるが、『キッド』でもそうだったように、それらのメッ  セージを現代の状況と照らし合わせてご紹介出来ればと思う。全世界において、  ミッキーマウスと同じくらい知らない人はいないといっていいほどの超有名人  チャップリン。名前は知ってても、意外と作品を観てない人が多いのに驚く。今  回からご紹介するのにあたり、1人でも多くの人が彼の偉大さを知るきっかけに  なればという思いがある。                                 吉田 浩二 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   Pubzine (http://www.pubzine.com/detail.asp?id=1547)   Melma     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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □ハード・デイズ・ナイト   □ドッグ・ショウ   □山の郵便配達   □いのちの海   □スターリングラード >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆ハード・デイズ・ナイト☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     A Hard Day's Night     1964年/イギリス/88min/モノクロ(デジタル・リマスター・バージョン)     監督:リチャード ・レスター     出演:ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン        リンゴ・スター、ウィルフレッド・ブランビル     http://www.shochiku.co.jp/aharddaysnight/     3月31日(土)よりシネマライズにて公開  熱狂的な追っ掛けファンから逃れて、列車に飛び乗ったビートルズ。そこには何  故かマネージャーの他にポールの祖父が。実はこの爺さん、カジノですってんて  んになりかかるわ、4人のサイン入りブロマイドをコンサートの列に売り付ける  わ、と行く先々でトラブルメーカー。爺さんの差し金で町をふらついていて警察  に拘束されたリンゴ。刻々とコンサートの時間は迫って来て・・・。  昨年は「ビートルズ大全」が出版され、米英でナンバー1になった作品集「The  Beatles 1」CDが発売、日本ではジョン・レノン記念館もオープンした程、世界中  がビートルズで涌いた。そんな彼等の一番ノリノリの時代を目のあたりに出来る  作品だ。しかもライブシーンの中に子役時代のフィル・コリンズがいたりするそ  うだから、ファンは気を付けて目を凝らしていると色々な発見が出来るに違いな  い。  日本では1964年公開当時『ビートルズがやってくる ヤァ!ヤァ!ヤァ!』という  邦題だった。これはいわばファンサイドのタイトルだが、原題はビートルズサイ  ドのネーミング。この後4本の映画に出ているが、「ビートルズを見たかったら映  画で」「聞きたかったらレコードで」という後の彼等の発言にも納得出来る位、  まさに「犬みたいに」働いていた時代だ。  彼等の発言、ファッションが当時のモードに影響してい点も興味深い。独特のあ  のヘアスタイルは勿論だが、映画でも彼等の英国特有の固い英語の響きながら  ちょっとした言葉遣いが新語的に遣われている。伝統を引き摺る反面、非常に  尖った部分を持つ英国の2面性が表れているようだ。典型的な紳士然としたポー  ルの祖父が一番変わっている設定も同様かもしれない。  日本で初公開の際は何でも前夜から列が出来て警官まで出動。当日はとうとう  2000人にまで膨れ上がって打止めになったそうだ。映画館の中ではファンが絶叫  してパニックになったというし、凄まじい迄のファンの様子は何処でも、何時の  時代も同じようだ。しかし、今の時代にこれだけカリスマ性のあるミュージシャ  ンっているのだろうか?                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆ドッグ・ショウ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Best in Show     2000年/アメリカ/90min/カラー/35mm/ヴィスタ     監督・脚本・出演:クリストファー ・ゲスト     出演:ジェニファー ・クーリッジ、ユージーン・レビー、        マイケル・ヒギンズ     www.dogushow-cinema.com     ボストン批評家協会賞エクセレント・フィルム・メーキング選出     3月31日(土)よりシネマライズにて公開  愛犬ワイナマラとセラピーを受けるヤンエグ夫妻。派手な男性遍歴を持つ妻とテ  リアを溺愛する左足が2本あるジュリー。趣味の腹話術でハウンドドッグと心通  わせる?釣り具店主のハーラン。プロハンドラーとヘアサロン経営のゲイカップ  ルの愛でるシーズー。チャンピオン歴を持つスタンダード・プードルのオー  ナー。皆、権威ある?ドッグショーに挑戦する5組。果たして今年の栄冠は誰に?  たっくさんの犬が登場して、ドッグショーの裏側まで見学出来る、犬派には嬉し  い限りの映画。でも、ここで「可愛い」わんちゃんを期待してはダメ。アニマト  ロニクスはもっての他、彼等はあくまで気品高く、どこまでも犬らしい。対して  飼い主達は皆一様にどこか変。ショーの司会者もどうしようもなく変。  昨年アメリカで、「ペットのネーミングブック」というのを見かけた。犬猫は勿  論、鳥や兔、果てはカメレオンに至る迄「ボディの色に由来する」「有名人にあ  やかる」何ていう方法や「好まれる名前ランキング」の紹介まで書いてあった。  映画でも「この子は絶対に黄色と黒の蜜蜂の玩具でないとダメなの!」と言って  喚く飼い主が出てくるが、本の隣には人間の子供のかと思われるような人形がず  らりと並んでいた。  日本のペットショップでも結構圧倒されていたのに、アメリカのこの凄さには負  ける。ペットフードに至っては何をかいわんや、である。だが、この作品で謎が  解ける。ペットを通じて自分達の自己表現を実現させるべく、彼等は日夜努力?  しているのだ。チャンピオン決定後の彼等のその後を見ればよく判る。  テリア中毒?夫妻は本格的にテリアソングでデビューし、チャンピオン犬オー  ナーはレズに目覚めてその分野で成功。ハーランは腹話術に本腰を入れ、ワイナ  マラーを返品してパグにした夫婦は円満になった。それにしてもナチュラルな犬  の前に人間の何と愚かしい事か。子供と動物とは共演するな、とよく言うけれど  動物ってやっぱり、その存在だけで人間をいとも簡単に越えてしまうんですね。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆山の郵便配達☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Postmen in themountain     1999年/中国/93min/カラー/ヴィスタ     監督:フォ・ジェンチイ     出演:トン ・ルゥジュン、リィウ・イェ、ジャオ・シィウリ     http://www.iwanami -hall.com 又はhttp://www.eigafan.com/     1999年中国金鶏賞、モントリオール映画祭観客大賞     4月7日(土)より岩波ホールにて公開  足の故障でやむなく長年務めた郵便配達を引退する事になった父。息子に引き継  ぐ日、彼は息子に同行する。犬を連れ、険しい山道を数日かけて歩き通す2人。  今迄になく親密な時を過ごす父と子は、それまで知らなかった相手を見い出し、  初めて互いを深く理解しあう。そして次の配達の日。息子を見送る父の姿があっ  た。  これと言ったハイライトがあるわけでもなく、淡々と続く父子の旅。だが、ここ  に家族の絆や、忘れかけている人間の持つ優しさ等が嫌味なく綴られ、清清しい  感動を呼ぶ。そして、この父子をサポートする忠犬、次男坊の存在。うーん、不  覚にも目頭が熱くなってしまった。  郵便物を背負って山道を歩き通す・・これだけで何やら戦前の中国の墨絵のよう  な風景が浮かぶかもしれないが、1980年代のお話である。親の背中を見て育つと  いうが、年中不在の父はまるで現代のサラリーマン家庭と変わらない。父は説教  がましい事は、何一つ言わないが、息子の知らない「郵便配達人」としての姿を  見せる。初めて素直に「父さん」と呼ぶ息子。「郵便物より軽いね」・・父を背  負った彼の台詞も泣かせる。  「ある男が毎日彼女にラブレターを書きました。そして彼女は郵便屋さんと結婚  しました」という笑い話があるが、ここでの父の存在のようだ。必要とあらば盲  目の老人に手紙を読む。それが例え白紙だとしても・・。「考えることなしに人  生はない」という父の思いはこんなところにも出ている。  息子の知らなかった両親の出会い。また同じように美しい山里の娘に心惹かれる  息子。血統?と思いきやここで彼は考える。「山里の娘は毋さんのように、いつ  も故郷を思い出すから(結婚しない)」。毋の寂しさ・・。そう言えば登場する  女性達が、皆驚く程美しい。しかし、息子役のリイゥ・イェとその毋役ジャオ・  シィウリが同年齢とは吃驚だ。中国的なスローテンポと現代風のポップスを上手  に使った音楽も耳に心地よい。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆いのちの海☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Closed Ward     1999年/日本/102min/カラー/35mm     監督:福原進     出演:上良早紀、頭師佳孝、林泰文、安岡力也、芦屋小雁、有馬稲子  かささぎ病院の入院患者には、知的障害の昭八、幻聴だったチュウさん、死刑か  らの生還者である秀丸等がいた。不登校の島崎由紀も通院を始め、治療の一環と  して陶芸を学ぶ傍ら彼等と交流を持つようになる。入所者の一人、ヤクザの重宗  はしょっちゅう乱暴を働いていたが、ある日、由紀に目をつける。それが殺人事  件にまで発展するが・・。  久しぶりに見るかっちりとした、日本映画だ。有明の美しい海。そしてかささぎ  病院の患者の憩いの場である稲荷神社の眩しいばかりの緑。美しい自然をバック  に、それと呼応するかのように澄んだ心を持つ昭八や、全てを受け入れて生きて  いる秀丸・・・。とかく世間からは「特別視」されがちな人々の精一杯の生きざ  まが、干潟に代表される人間の身勝手さと対を成して「原罪」をも考えさせられ  る作品だ。  医務室でチュウさんが覗き見てしまった患者の記録には、画一的に「精神分裂」  「精神遅滞」と記載され、ここでは彼等の個性がまったく無視されている。管理  社会に共通するやり方だ。しかし演じる役者陣は芸達者が揃っている。  ここで唯一病名が書かれていない男・・麻薬中毒のヤクザ、重宗・・がいる。警  察から逃れるために病院を利用した『カッコウの巣の上で』のJ・ニコルソンと同  様な立場ながら、彼はどこまでも凶暴(演じる安岡力也の猛獣のような力み過ぎ  のアクションが、ちょっと浮いていた?!)だ。病名の付いている患者と付いて  いない重宗・・実際はどちらが狂っているのか・・・。  秀丸の印した「無事」の二文字。自分の命がけの最後の殺人を「無事」に終える  事で自分自身の魂の救済を祈った言葉に違いない。そして、その彼の犠牲を全身  で受け止め、生きる意欲を甦らせた由紀。退院の決心をしたチュウさん。その辺  りに、どうしても秀丸の行為にキリスト教的な隣人愛を感じてしまう。  原作は帚木蓬生の「閉鎖病棟」。興味ある方は一読をお薦めする。なお、この作  品は昨夏モントリオール映画祭で上映されているが(Vol.180)今回4/3と4/5に  MXTVで8:00PM前後、映画番組終了後に紹介される予定。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆スターリングラード☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Enemy at the Gate     2001年/アメリカ・ドイツ・英国・アイルランド/132min/カラー     監督・製作・脚本:ジャン=ジャック ・アノー     出演:ジュード ・ロウ、ジョセフ・ファインズ、レイチェル・ワイズ     www.stalingrad-movie.com     4月14日(土)より日比谷スカラ座他にて公開  ドイツの侵攻で苦戦を強いられていたスターリングラードに送り込まれた25歳の  スナイパー、ヴァシリ。一撃必殺の腕は、将校ダニロフに認められ戦線のプロパ  ガンダとして利用される。意思と裏腹に英雄に祭り上げられた彼の噂に、ナチス  から名狙撃手のケーニッヒ少佐がやって来る。その頃女性兵士、ターニャを愛し  たダニロフが彼女の愛するヴァシリを遠ざけようと、より苛酷な戦線に配置する  が・・。  これが実在の人物というのがにわかに信じがたいようなお話である。冒頭のヴァ  シリがスターリングラードで体験する凄まじい激戦の様子は息がつけないほどの  緊張感。殺されに行くような激戦地。敵弾より弱腰な味方に向けられる銃口の怖  さ。このシーンでヴァシリが初めて発する言葉I need a lifeの重み。  「森の狼は3年、ロバは6年生きる。役にたつ者程長生きするのさ」・・ヴァシリ  が恋人ターニャに言う台詞だ。幸運の女神の力も借りて生き延びた彼だが、その  背後に数え切れない程の若者が「同志スターリン」の名のもとに命を散らしてい  る。こうした犠牲の上に生き延びたスターリンが今度は、戦後にあの「粛清」の  恐怖政治を敢行する。何とも言えない虚しさを感じてしまった。  そして、共産主義そのものの嘘くささ。ダニロフが今際の際にこんな事を言う。  「皆が平等な社会を実現すると思った。でも人間の持つ本性までは平等ではな  い。愛に恵まれる人とそうでない人、才能ある人とない人。そうした差への妬み  や欲望にソ連は勝てない」背景には勿論、ターニャを巡るヴァシリとの確執があ  るが。  一方やはり狂人のヒトラーを掲げたドイツ。颯爽と登場する切れ者エド・ハリス  の少佐(複雑な心境の演技は素晴らしい)はドイツの狡猾さを知り尽くした上で  なおも闘う。これは愛国心というより、戦死した息子の為だけだったのかもしれ  ない。  400人殺して英雄になったヴァシリ。どうしてもチャップリンの『独裁者』の有名  な台詞・・一人殺せば犯罪者、沢山殺せば英雄・・を思い出してしまう。間違え  ば凶暴な男。が、正確な仕事ぶりと内面のナイーブな優しさを持つヴァシリをJ・  ロウが愛おしい程に丁寧に演じている。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   Pubzine (http://www.pubzine.com/detail.asp?id=1547)   Melma     (http://www.melma.com/mag/31/m00000031/)   マッキー!  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ScreenKiss Vol.230

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □映画からフィルムがなくなる! フル・デジタル・シネマの時代2   □ハリウッド映画新作情報:タイタンズを忘れない   □スナッチ   □ベルリン国際映画祭情報7   □Retrospective:アメリカン・グラフィティ >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆映画からフィルムがなくなる! フル・デジタル・シネマの時代2☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  「一体どんな鏡が使われているの?」  テキサス・インスツルメンツ社が開発したDMD(Digital Micromirror Device)光変  調半導体チップの中に鏡があります。ちょっと想像しにくいのですが、この2〜  3cm角の半導体にはなんと50万〜131万枚の極小サイズの鏡がついていて(つまり  髪の毛の断面に4枚の鏡がある!)それぞれが角度を変えることができます。し  かもそれが最大6,500回/秒という超高速で角度を変える。想像を絶する世界です  ね。  この極小サイズの鏡1つ1つが角度を変える度に反射する光をスクリーンに向け  たり、光を吸収してしまう方に向けたり。つまりその光が色を表現し、動画を再  生し、映画になるわけです。『DLP CINEMA』で使われる映写機にはこのDMDが3枚  あり、それぞれ赤、青、緑(光の3原色)を投影して、スクリーン上で合成しま  す。  日本テキサス・インスツルメンツ社のDLPデモセンターには稼動中のDMDを拡大鏡  で見られる見本があるのですが、パソコン画面の映像が小さなDMDの、さらに小さ  な鏡に映し出されている(反射している)ところを眺めることができます。この実  物を目にして、初めて理解できた気がしました。  「なんとなく、ぎこちない動きを想像しますが?」  普通の映画フィルムは24コマ/秒ですね。単純に考えると、それぞれの鏡が1秒間  につくる映像は6,500コマ/秒です。決してぎこちない動きにはなりません。  「どんな映写機でスクリーンに映すの?」  『DLP CINEMA』では「DLPシネマ映写機」と呼ばれる、映写機が使われます。今あ  る映画館の映写室のスペースに設置できるように設計されています。映画館とし  ても、映写室の改造が必要であればかなりの予算が必要ですが、そのままのス  ペースに設置できる点は嬉しいですね。  「そんなに大きいのなら、家庭では無理かな?」  DLPプロジェクターの小型の物はすでに会社の会議室などで見かけます。プレゼン  テーションを行うときにパソコンにつないで使うあれです。PLUS製の最新型はな  んと1.3kgと世界最小・最軽量。B5パソコンより小さく軽い。値段は30 万円以上  とまだまだ高額商品ですが、すぐに値下がりしそうですよ。こんなに小さくても  2m程度離せば60インチの大画面、最大200インチですから、同じサイズのテレビ  と比べれば安い。部屋を真っ暗にするのがベストですが、家庭用のカーテンでも  なんとかなるでしょう。夜なら電気を消せば問題ないですしね。  今はパソコンにDVDが付いていますから、そこにDLPプロジェクターをつなげれ  ば、ホームシアターですね。さらに、数年のうちに手のひらに乗るワイヤレスの  小型プロジェクターが実現します。その内、6畳1間にも関わらず壁一面をスク  リーンにしてしまうような貧乏学生も現れることでしょうね。(今でもいる  か?)  「フル・デジタル映画は誰にでも違いが分かるの?」  技術的な説明をしてもピンとこないでしょう。違いを説明する方法としては、実  際にDLPシネマを導入している映画館で映画を見ていただくしかないのですが、映  画館どころか、東京と広島(7月には大阪でも導入されます)と場所が限られる  現在はなかなか難しい。簡単に言えば、ビデオテープとDVDを比べた時に感じる色  の違い、鮮明さなどをDLPでも感じるようです。  第3話に続く                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆ハリウッド映画新作情報:タイタンズを忘れない☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Remember The Titans     ★★★★☆     2000年/アメリカ     監督:ボアズ・イェーキン     出演:デンゼル・ワシントン、ウィル・パットン、        キップ・パルデュー     製作:ジェリー・ブラッカイマー     http://www.disney.co.jp/movies/titans/     2001年G.W公開予定  1971年、人種差別の根強い保守的な町、ヴァージニア州アレキサンドリアで初の  白人、黒人の統合校が誕生した。そのフットボールチームを監督することとなっ  た黒人コーチを軸に、チームメート達が確執を乗り越え成長していく様を描く実  話。  お気に入りの俳優だとついつい贔屓目で見てしまう部分もあるが、デンゼル・ワ  シントンはほんと、ポリシーを持った俳優だ。  たとえアカデミー賞に見放されても、『遠い夜明け』『グローリー』の頃から一  貫して人種偏見をテーマにした作品にこだわり続け、俳優である彼に出来ること  を精一杯やりとげているように思える。  あれだけのルックスだから、もっとセクシーな役とかも、もっと演って貰いたい  気もするが、本作ではコーチとして生徒達の精神的な成長をも支える硬派な役ど  ころを清々しく演じている。  一見『ヴァーシティ・ブルース』のような青春映画で、アメフトのシーンも迫力  があり娯楽映画としても充分楽しめるのはさすがブラッカイマー製作の映画と  いった感じ。重々しくなりがちな人種差別ものプラス実話を見事にエンターテイ  メント作品に仕上げている。  チームメートたちの人種を超えた友情の描き方も、音楽やスポーツを通じてさり  げなく描いているので押しつけがましくない。交通事故で入院したチームメート  に送った親友の言葉は落涙必至の名ゼリフだ。  それにしても今回のめっけものは何と言っても転校生サンシャインを演じたキッ  プ・パルデュー。ポスト・ブラピとも言われるキュートな笑顔がたまらず、現在  ファンクラブに入ろうかと検討中。彼の情報は上記公式サイトに載ってますが、  次回作はスタローン共演のカーレースものとか。こういう楽しみがあるから映画  ファンはやめられません!                                 MS.QT.MAI __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆スナッチ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     snatch     ★★☆☆☆     2000/アメリカ/102min     監督:ガイ・リッチー     出演:ベネチオ・デル・トロ、ビニー・ジョーンズ、        デニス・ファリーナ、ブラッド・ピット  巨大なダイヤモンドと賭けボクシングの八百長試合が交差しながら、低脳な奴ら  が巻き起こす間抜けな事件を描くコメディー・タッチの群像劇。  幻の映画「Hard Case」に続く、G・リッチー監督作品第2段「ロック、ストック  &トゥー・スモーキング・バレルズ」については、各誌においても評価は概して  高かった。その反面、一般的に十分認識されている映画でもなく、そのギャップ  がイギリス映画としての限界を感じるものだった。スター不在、子役や動物の魅  力がある訳でもなし、さらに決してシンプルではないストーリーの映画はどんな  に上出来であれ、万人うけが難しいのだろう。さらに群像劇になっているだけ  で、話についていけないという人も多いだろうし、『おっさん』の泥臭い魅力を  目当てに映画を選ぶ人も少ないという事だ。  その点、今回ブラッド・ピットという世界的に人気のある超有名人を出演させて  いる事で、宣伝効果による観客の引きつけは十分に思えた。しかし、この映画の  中でもっとも重要な役柄、かつ個性的であるが為に演じやすく存在がキーマンと  なっている為に目立ちやすいこの役柄をB・ピットが演じてしまった為、新人俳優  へのチャンスが1つなくなってしまったような気もするのは考えすぎだろうか?  もし若手が演じていれば、その彼にとっては役者として認められるチャンスに違  いない役柄。ところが「B・ピットだから当然」という雰囲気も漂ってしまい、彼  を意識して見入ってしまうことでストーリーの魅力や役柄の魅力が希薄になって  しまった。複雑な思いだ。  前作の一級品からはちょっとトーン・ダウンしてしまった点を否定できないので  すが、終盤一気に畳み込むような展開は目を話せない。そこまで寝ないで起きて  いれば、面白さを感じるはず。つまり眠くなる映画でした。  前作では若者グループを主役に置き、彼らを中心に取り囲むような設定でした  が、今回は4つか5つのグループが常に入り乱れている。その分、笑いも1/4に  なった。それぞれがコミカルな動きをするのは確かだが、どれも使い古しのコメ  ディアンという感じ。  あの前評判はいったいなんだったのかとがっかり。配給会社が開くマスコミ向け  試写会でも大爆笑、大絶賛だったとか。でも、館内で笑っている人いたかな?い  た、いた、数人いたのは確かですが、館内全員の大爆笑は1、2度で、明らかに  シラケていたぞ。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆ベルリン国際映画祭情報7☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  パトリス・シェロー監督の「Intimacy」が金熊賞を受賞し、2月18日、第51回ベル  リン国際映画祭は閉幕した。  下馬評では、映画祭2日目に上映された「トラフィック」が金獅子賞を受賞すると  言われていた。観客、プレス共に人気は抜群であり、「他に敵はないくらい」と  思われていたほどだったが、蓋を開けてみると、ベニチオ・デル・トロが主演男  優賞を獲ったものの、作品そのものは銀熊賞さえも受賞しなかった。  反対に「Intimacy」はそれほど支持された作品ではなかった。自然光を使った映  像とセックス・シーンの洪水のなかに確かに美しさはあるのだが、金熊賞を獲る  作品、という印象はもてなかった。斬新さは認めるものの、通好みすぎる作品だ  けに、「この作品を退屈せずに理解できる崇高さ」を誰もが持っていなくてはな  らいとは思えない。賞の発表が行われた記者会見で「Intimacy」とアナウンスさ  れると、会場はざわめき、ブーイングがもれた。  昨年の50回記念開催に比べると、少々地味な印象のあった今回であったが、昨年  からメイン会場となったポツダム広場の設備はより行き届き、厚い雲が垂れ込め  たベルリンの空に暖かくざわめくお祭りの雰囲気はそのままであった。  20年以上この映画祭のトップであったモーリッツ氏が今回で退任するため、来  年、映画祭はまた大きな変化を迎えるはずである。ベルリンの壁崩壊前の冷戦時  代の映画祭の歴史は、政治史そのものだったとの彼のコメントがベルリナーレ  (映画祭の相性)日報に載っていたのが印象深い。東側からの出品を促すため、  多くの国に訪れたいきさつは「映画祭史」としてだけでなく、「歴史」としての  重みがある。(しかし実際のところ、東側に作品出品を要請すると断られ、翌年  東側が参加したいと申し出ると映画祭側が断り、の攻防戦が長く続いたとのこと  である。)  映画祭開催の前週に大雪が降ったベルリンであったが、映画祭期間中は晴れた日  こそ少なかったものの、昼間は比較的暖かく過ごしやすかった。夜は凍れるほど  に寒いが、週末は夜通し地下鉄が運行し、遅くまで営業しているカフェやバーが  体を暖めてくれる。この街に文化の香りが漂うのは当然なのかもしれない。映画  を見た後、ゆっくりおしゃべりに花を咲かせる場所がそこここにあふれている。  今回も沢山の人達に支えられて映画祭を終えることが出来ました。ハードな日々  ではあるが、映画祭独特の「喜びを共有するあたたかな雰囲気」は本当に素晴ら  しく、最終日に感じた物悲しさは、私だけのものではなかったはずだ。  映画祭期間中の全てを支えてくれたClaudia Krammへの感謝とともに、今回のベル  リン国際映画祭レポートを終了する。来年もベルリンに戻って行けるようにと祈  りつつ、、、。  主な賞の結果は以下の通り。  グランプリ金熊賞  『Intimacy』(フランス)  パトリス・シェロー監督  監督賞 林正盛(リン・チェンシェン)監督『Betelnut Beauty』(台湾)  主演男優賞 ベニシオ・デル・トロ『トラフィック』(アメリカ)  主演女優賞 ケリー・フォックス『Intimacy』(フランス)  審査員グランプリ 『Beijing Bicycle』(中国)王小帥(ワン・シャオシュアイ)監督  審査員賞 『Italian for Beginners(初級者のためのイタリア語)』  (デンマーク)ルーネ・シェルフィグ監督  アルフレート・バウアー賞 『La Cienega(沼地という名の町)』  (アルゼンチン)ルクレシア・マルテル監督  特別功労賞  熊井 啓 カーク・ダグラス  ウォルフガング・シュタウテ賞 『LOVE/JUICE』(日本)新藤風監督  ドイツ児童映画グランプリ 『NAGISA/なぎさ』(日本)小沼勝監督 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆Retrospective:アメリカン・グラフィティ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     American Graffiti     1973/アメリカ/112分/カラー     製作:フランシス・フォード・コッポラ     監督・脚本:ジョージ・ルーカス     出演:ロン・ハワード、リチャード・ドレイファス、        チャールズ・マーティン・スミス、ポール・ルマット、        キャンディ・クラーク、シンディ・ウィリアムズ、        ウルフマン・ジャック、ハリソン・フォード  映画館でのリバイバル上映、またビデオ、DVDや衛星テレビ等で観る事が可能な過  去の作品群。現在に至っても影響を及ぼし続けているそれらの作品を、邦洋の東  西を問わずご紹介しているが、今回は、ジョージ・ルーカスが『スター・ウォー  ズ』製作以前に撮り、彼の出世作となった自伝的作品『アメリカン・グラフィ  ティ』(略称『アメグラ』)をお伝えする。  1962年カリフォルニアの地方都市。東部の大学進学の為、旅立ちを明日に控えた  スティーヴ(R・ハワード)とカート(R・ドレイファス)。彼等の仲間テリー  (C・M・スミス)とジョン(P・ルマット)も加わり、最後の夜を過ごす。カー・  レースにガール・ハント、そして音楽に明け暮れる中、やがて夜が明け旅立ちの  時がやって来る。  新たな旅立ちを前に、仲間や恋人との別離において、去る者の戸惑い、悩みと  いったものや、残される者の寂しさや苛立ちといった感情が、全篇若者の視点で  描かれていて共感出来る作りになっている。  今作は、カー・レース、ガール・ハント、恋人との一夜、ケンカ、それにダン  ス・パーティーや音楽が全篇に溢れているが、中でも車と音楽は出色。カー・マ  ニアにはたまらいないほど様々なモデルやデザイン豊かな車が続々出て来る。ま  た、音楽もDJウルフマン・ジャック発するラジオから、オールディーズの名曲が  絶える事なく流れ、映画音楽として全篇を彩っている。ちなみに『アメグラ』の  サウンドトラックには、41曲に及ぶ名曲が収録されている。どの曲が、どの場面  に使用されているかという見方をしてみるのも楽しみ方の1つと思う。  ここで、多彩な出演陣をご紹介しようと思う。スティーヴを演じたR・ハワード  は、後に監督に転向し『コクーン』、『バックドラフト』、『アポロ13』などを  監督。カート役のR・ドレイファスは、『グッバイガール』でアカデミー主演男優  賞を受賞。他にスピルバーグの『未知との遭遇』や『陽のあたる教室』に出演。  テリー役のC・M・スミスは、ケビン・コスナー主演の『アンタッチャブル』に出  演していた。それと、ジョンのレース相手として、若き日のハリソン・フォード  が端役出演している。  この映画の舞台は1962年であるが、この年はアメリカ史において良き時代の面影  を残す最後の年でもある。翌年の63年、ケネディ大統領暗殺という大事件が起こ  る。この暗殺は、日本で言う戦前、戦後と同じような分岐点としての意味合いを  持つと言う。暗殺事件後のアメリカは、ベトナム戦争やドラッグというものが表  出してくる時代へと突き進んで行く。映画で描かれた62年には、戦争の影も見え  ず、ドラッグもなく、若者は車と恋人にうつつを抜かすだけという平和な時代で  ある。その事をもっとも明確に思わせてくれるのがラストシーン。そこでは、4  人の“その後”を示しているが、4人の中で一番ドジなテリーがベトナムで行方  不明となっている。この事は、良き時代、平和の終焉というものを強烈に感じさ  せる描き方だ。また、カートが憧れる白のT-バードに乗る女性が繰り返し出て来  るが、これは、手に入れたいが入らないという若者の夢と被る。これらの事か  ら、単なる青春映画としてだけでなく、現実を知らぬ無邪気な若者を通じて、終  わりゆく夢と平和の時代を描いた奥の深い作品である事が分かる。  最後に、今作は1973年度アカデミー作品賞、監督賞、助演女優賞(C・クラー  ク)、オリジナル脚本賞、編集賞の5部門のノミネートを受けている。                                 吉田 浩二 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   Pubzine (http://www.pubzine.com/detail.asp?id=1547)   Melma     (http://www.melma.com/mag/31/m00000031/)   マッキー!  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ScreenKiss Vol.231

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □映画からフィルムがなくなる! フル・デジタル・シネマの時代3   □連弾   □花樣年華   □ミート・ザ・ペアレンツ   □ビートニク >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆映画からフィルムがなくなる! フル・デジタル・シネマの時代3☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  さて、このDLPを用いたフル・デジタル・シネマはどんなメリットを生むのでしょ  うか?  撮影する側にとってみれば、フィルムを現像するまで確認できなかった事が、モ  ニターを見るだけでチェックできます。撮影したデータをすぐに再生して確認で  きます。高価なフィルムを大切に使用するより、書き換え可能なハードディスク  (記憶媒体)がいかに便利なものかは想像しなくても分かります。  配給側にとっても、公開初日までにフィルムを大量にプリントして、それぞれの  映画館に輸送し同時公開にこぎつける為の無駄な費用を節約できるメリットがあ  ります。ちなみに1,000館同時公開の為には約8億円かかるとも言われますが、フ  ル・デジタルであれば衛星通信やケーブル配給が可能になりますし、配給面での  コストセーブが考えられます。  しかもフィルムは上映回数に比例して劣化(ゴミの付着や傷)しますから、初日  とロングラン後の画質が明らかに異なってしまう弱点もありますね。デジタルの  場合、データが守られればいつも封切りの画質が維持されます。これは大好きな  映画をビデオテープで何度も見た後とDVDを比べても実感できることです。  もちろん、インフラ(基盤となる設備)はあらかじめ必要ですが、今後フィルム  とその上映の為の維持費を考えていけば、フル・デジタル・シネマの設備投資が  中期的には利益を生むでしょう。さらに、映画館は映画だけではなく、さまざま  な映像を映し出すシアターとして機能することで、映画だけでは十分な観客を得  られない場合でも、さまざまな用途に活用できる。フィルム上映ではないデジタ  ルの世界がそれを用意に実現します。  昨年渋谷で上映されていた「ストップ・メイキング・センス」 映画館で見た人  はその音響の迫力に驚愕したことでしょうが、映画館の最高の音響設備でクラッ  シックを聴くのもよし、ゲーム大会の会場になるのもよし!(つまらないアイデ  アですいません)。アイデアはこれからでしょう。  さらには、コストが安い為に結果的に映画料金も安くなる! 日本で1,000円以下  で新作が見られる時代も近いですね。日本の映画料金が高いとお嘆きの方には朗  報です。デジタル方式だけの映画館も来年には作られるかもしれません。そこで  はパンフレットにCD-ROM、いやDVD-ROMがついてくるなんて事になるでしょう。  さて、『DLP CINEMA』は今後1、2年で日本の主要都市に設置され、世界中の映  画界に浸透することは間違いない。フィルムを上映するという100年間の手法がほ  とんど消えてしまう日も近いということだろう。映画は芸術でもあるが、普段目  にする作品は娯楽的な要素が強く、撮影や上映がアナログであろうとデジタルで  あろうと観客側にこだわりが少ない。  芸術的な要素の面では70年程度思考錯誤されただけで、いささか研究不足ではあ  るが、機械に頼る面が大きい映画は機械の進化を巻き込んで、総合的な芸術手法  として進化し続けるものと考えたい。その為には機材や設備に投資が必要であ  り、投資の為には会社としての利益が必要で、最終的には我々が映画館やDVD、オ  ンラインのパソコン上でもどんな方法でもいいから、お金を払って、つまり違法  コピーではない手段で映画を楽しんでいくことが大切だろう。  最近、電車の中吊り広告でも「映画は、映画館でみよう」といった、スクリーン  キスでも何度も訴えている言葉を目にする。  もちろん、それぞれの会社は十分すぎる利益をとるべきではなく、料金は納得い  く設定にしてもらわないと困る。ほとんどの誌面で言っているように今の『映画  館1作品 2時間 1,800円』が安いとは思えないのも事実だし、現在の映画館の動  員人数を見ると、経営も苦しそうだと予想できる。  先日初日に行った「スナッチ」と「小説家を見つけたら」では日比谷で集客力の  ある映画館にもかかわらず、館内が半分もうまっていない。この現状がどういう  ことか、想像は容易だろう。見る側にとってすれば、空いている方が快適だが、  館内がいっぱいになってこそ、ライブ感覚の盛り上がりが生まれるものだ。  テレビのコメディー番組でわざとらしい笑い声をつけるように、コメディー映画  にも他人の笑い声が重要だし、アクション大作では館内の驚きやざわめきが自分  に与える興奮も無視できない。  写真はフィルムからデジタルに変化することで、プリントの段階でのテクニック  はデジタル処理の技術に変わり、コピーとマスターの境目あいまいにした。デジ  タルの世界ではマスターという概念が情報の保護という名目に変わる。余談だ  が、イランではハリウッド映画がアメリカでの公開初日から3日後には違法コ  ピーでビデオが出回るらしい。  絵画、音楽の世界では、演奏している道具や絵の具の進化は目立ったものではな  いし、デジタルとアナログ、古い絵の具と新しい素材がそれぞれ個別の手法とし  て確立されている。しかし映画の場合、あえてデジタルを排除してフィルム戻る  事にメリットを感じ、フィルムで作品製作をつづける人がどれほどいるのだろう  か?  絵画や音楽の場合、昔同様の楽器や道具が安価で入手可能であり、かつ使用に  至っても不便さはない。映画においてフィルムは、撮影、現像から映写までの作  業を完結する為には多くの技術が必要であり、その為のコストが莫大だ。機材が  作られ続けるとも考えにくい。すでにベータ方式のビデオテープを再生するデッ  キはなくなりつつあり、8mmフィルムに至っては8mmビデオと勘違いされる。  かつてレコード針メーカーが倒産したように、需要が少ないものを製造し続ける  のは至難だ。もちろん少しでも需要があれば、価格に跳ね返るとしても手作りと  いう方法が残るが、一般的ではなかろう。将来必要になった時点で、1個単位で  製造できるたぐいの簡単な構造ではない点も問題だ。  この記事を書き始めて数週間の間に、東宝が大阪でデジタル配信方式の映画配給  を実験的に始めるという新聞記事が載った。今回の私の記事が掲載終了されるこ  ろには、さらに新しい方式が生まれているかもしれないくらい、めまぐるしく変  化するデジタルの世界で、実験的な試みは数年間続けるものではなく、同時に本  格的な導入と見ても問題なかろう。  私にとって映画館は重要な場所で、映画館で快適に過ごせることがストレス発散  を担っている。混み込みになることを希望するわけではないにしても、破れた椅  子を張り替える程度の利益を映画館にもたらす事は切望する。もしかしたらこの  技術によって、日本の映画産業全体が活況を呈するかもしれない。  最後に、日本テキサス・インスツルメンツ社広報部にはセミナー参加の機会を頂  き、質問をさせていただきました事お礼申し上げます。  技術的な面を詳しく知りたい方は下のURLにアクセスしてみてください。テキサ  ス・インスツルメンツ社ホームページ http://www.tij.co.jp/dlp/*DLP  CINEMA、DLP、DMDはTexas Instruments, Inc.の商標です。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆連弾☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     2000年/日本/106min/カラー/ヴィスタ     監督・出演:竹中直人     出演:天海祐希、冨貴塚桂香、箕輪裕太、鈴木砂羽、片桐はいり     http://www.shochiku. co.jp/rendan/     3月31日(土)より渋谷シネパレスにて公開  親の代からの8件の借家持ちで、専業主夫の正太郎。ゼネコンの設計課長をしてい  る妻、美奈子。ある日逆上した不倫相手の妻に証拠写真をつきつけられて妻の不  実を知り、口論の末美奈子は家を出る。が、娘のピアノ発表会の為に2人で連弾  する「ハンガリア舞曲」の為には家に戻る。複雑な気持ちの弟。子供へサービス  しても空振りになってしまう正太郎。そして発表会の日はやってきた。  弾みで離婚を口にした夫と勢いで別居した妻。予期せぬ展開に居場所を見失って  しまった子供達・・父を非難し、クールに装いつつ毋との連弾が楽しみな長女、  強がりを言っても毋の温もりが懐かしい弟。本来の父毋の姿が逆転したような家  族だが、これからはこういう夫婦も沢山出来そうで、面白い設定だ。  黒を基調にした天海祐希のドレスだが、発表会のドレスと車の赤が強烈な印象を  残して、その気性の激しさを表していた。そして怒鳴り声はまさにタカラヅカ!  口論の元となる彼女が購入したグランドピアノの室内での存在が妻の存在のよう  だ。対して竹中直人はいつもラフで、ダランとしたエプロンが似合っていたりす  る。更に御丁寧に背景の掛け軸には「私は力がなかった」。 彼らしいふざけた演  出だ。父似の不細工息子!と毋似の美形娘の設定にも笑える。  そもそもこの水と油のような2人が結婚した事自体笑える。が、以前ある女優が  「互いに互いの中の普通の人に欠点と見える事が、それ程欠点に見えないと思え  るのが最高の愛」と言っていたが、この2人も元々はそうだったのかもしれな  い。でも、ここで互いに欠点がやっぱり欠点に見えてしまったようだ。  しかし、それでも心のどこかで相手を思い遣っている・・それが家族という不思  議な集団なのかもしれない。華やかでいて所々穏やか、スローでいて軽快なテン  ポ・・そんなたくさんの面を持つブラームスの「ハンガリア舞曲」は家族の複雑  な表情を巧く表現しているようだ。  客席中が毋の顔・・という長女の夢はまさしく『マルコヴィッチの穴』だし、タ  イミングよく御挨拶するシロイルカもいれば各所に挿入される鼻歌としか思えな  い歌・・そして発表会までの時の流れを月の満ち欠けで表し、事件には必ず  雨・・竹中監督お得意のシチュエーションも健在だ。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆花樣年華☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     In the mood for love     2000年/香港/98min/カラー/ヨーロピアンヴィスタ     監督・脚本:ウォン ・カーウァイ     出演:トニー ・レオン、マギー・チャン、ライ・チン、        レベッカ・パン     http:www.chochiku.co.jp/kayounenka/     2000年カンヌ国際映画祭主演男優賞、高等技術賞     2000年モントリオール映画祭最優秀作品賞     3月31日(土)よりBunkamuraル・シネマ、銀座テアトルシネマにて公開  1962年、香港。新聞社で働くチャウと商社で秘書をこなすチャンは、同じ日にア  パートに引っ越してきて隣人となる。が、互いの妻と夫が不倫している事が判明  する。それぞれの孤独な時間を共有しているうちに2人は強烈に惹かれ合う。だ  が、最後まで一線は越えないままチャウは旅立つ。そして・・。  主人公達が出会うとすぐに「出来てしまう」今どきの物語に比べて、ここには真  の大人の男女がいる。『エイジ・オブ・イノセンス』にも似た、秘めたる情熱が  胸を打つ。2人の言外の愛情。こんな恋愛があった60年代が素敵に思える。一方  で日本製の炊飯器が貴重品だったり大家の間借人への干渉(香港では当然の事な  のか?)といった処にもこの時代が反映している。ドキュメンタリーフィルムの  取り入れ方も見事だ。  チャンとチャウの互いの伴侶を正面から撮らない、鏡やローアングルを多様す  る、といったテクニックが更に独特のムードを醸し出している。加えてここで  は、2人の親密さの加速を食事を通して表現しているのも面白い。最初はレスト  ランのステーキ、そしてテイクアウトの屋台物やちまき。雑炊を食する時のぐ  ちゃぐちゃ、ラストに飲み干すズズーという音・・徐々に食べ物を囲む彼等の距  離が縮んでいく。  マギー・チャンの次々に変わるチャイナドレスが実に美しい。『イルマ・ヴェッ  プ』で証明済みのスレンダーなボディと長い首にぴったりと張付くドレス。サイ  ドからのぞく細く美しい脚。一方、雨に打たれるトニー・レオンは文字通り「水  も滴るいい男」だ。こんな美男美女と結婚しながら不倫する双方の伴侶の気が知  れない。  一見ミスマッチな「キサス・キサス」や物憂気な「夢二のテーマ」、そしてタイ  トルにもなっている「花樣年華」(満開の花の様に成熟した女性が一番輝いてい  る時の事、だそうだ)などの音楽が物語をよりミステリアスに仕上げている。  が、この辺は少し欧米向けにアジアンテイストを意識したのかな?とも思えた。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆ミート・ザ・ペアレンツ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Meet the Parents     2000年/アメリカ/108min/カラー     監督:ジェイ ・ローチ     出演:ロバート・デ・ニーロ、ベン・スティラー、テリー・ポロ     www.meettheparents.com     3月31日(土)より日比谷映画他にて公開  看護士グレッグは、いよいよパムにプロポーズをしようとしていた矢先・・「パ  パがOKしたらね」。大事なリングを入れたバッグが空港で紛失されてからが彼の  悪夢の始まりだった。パパは元CIAの人間嘘発見器と言われた人物。彼とその家族  に好印象を持たれようとすればする程、何故か結果は裏目に。グレッグの運命  は・・?  娘のボーイフレンドにいちゃもんをつけるパパの話は『招かれざる客』『花嫁の  パパ』など昔から数多くあるが、この作品のパパはその中でも超ド級のこわもて  である。私の知り合いに孫と飼い犬の名前をよく間違える人がいるが、猫のジン  クスと娘のパムと同じに猫可愛がりするこの親父も同類と見た。  さて、この猫が意外とキーになっている。行方不明となってグレッグの身を危険  に晒し、戻ってきて愛のキューピッドとなるのだ。猫がリングの運び役になるア  イデアは結構使えるかも。しかし、これ以外はドミノ式の笑いをとろうとするあ  まり、ほとんどが先の読めるコメディになってしまったのが惜しい。  昨年、友人歴が長いアメリカ人の自宅に初めて訪れた時、彼が開口一番「Mi  casa, su casa」と言って出迎えてくれたのにほっとしたのを覚えている。この映  画でも初めて訪問したグレッグをパパはこの言葉で迎えていた。が、やってる事  は正反対。まるでスクラム組んで敵にお尻を向けたシマウマみたいに、一家の輪  に彼を入れまいとしているかのようだ。ファミリア的雰囲気がデ・ニーロのイタ  リア人気質を生かしているのか、などとつい深読みしてみたくなる。  それにしても不幸の始まりはアトランティック・エアラインによる荷物の手違  い。「僕の人生を滅茶苦茶にしたこのエアラインには絶対預けない」と叫ぶ彼の  気持ちよく判ります。『キャスト・アウェイ』のFedexといい、今回の作品とい  い、マイナスのイメージでも最近の企業は映画に協賛してくれるんですね。  蛇足ながら私は海外でも必ず機内持ち込荷物だけで行きます。単に大荷物が嫌い  というだけだったのですが、この映画を見てからは絶対この習慣を続けようと  思ってしまいました。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆ビートニク☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     The Source     1999年/アメリカ/90min/カラー&モノクロ     監督・製作・脚本・編集:チャック ・ワークマン     出演:アレン ・ギンズバーグ、ジャック・ケルレアック、        ウイリアム・バロウズ、ジョン・タトゥーロ、デニス・ホッパー、        ジョニー・デップ他     3月31日(土)より大阪扇町ミュージアムスクエア、     4月7日(土)よりシネ・アミューズにてレイト公開  1994年、コロラドにあるナロパ・インスティテュート(禅、ビート文学等の研究  機関)では記念式典が始まろうとしている。そこにはいわゆる「ビート世代」と  呼ばれる人々・・アレン・ギンズバーグ、ゲイリー・スナイダー等・・の顔を見  える。  そんな映像からフィルムが始まる。これは1950年代以ポップカルチャーに多大な  影響を及ぼした人々・・ビート世代・・の記録映画だ。昨夏コロラドの友人宅で  過ごしていた私は、のんびりした州の印象があっただけに、嘗て西に向かった  ビート族がこんなところに居たのを知って吃驚した。  代表的人物としてウイリアム・バロウズ、アレン・ギンズバーグ、ジャック・ケ  ルアックを中心にその時代が語られる。と言っても同時代に若者で彼等の影響を  受けた人々は、ほとんどがいまや老境に差し掛かっているに違いない。もっと  も、当時を知らない我々の世代からは、フィルムの本人達(ケルアックは早くに  他界してしまったが)自身、ちょっと頑固そうなアメリカのお爺ちゃんでしかな  い。だが、フィルムで語られる彼等のその頃の生活を見ると、よくぞここまで長  生きしたものだと感心してしまった。  彼等に関する知識と言えば、私の場合はやはり映画だ。昔、某映画図鑑をめくっ  ていたら『バロウズ』(1984)という作品を見付けた。作品の撮影当時は多分70  歳位だろうか。飄々としたお爺さんの写真。その後『裸のランチ』(1991)が話  題になり、バロウズと再び出会った。そして今回のフィルムで漸く「本人」を見  たのだ。  今や品のいいお爺さんとなった彼が淡々とドラッグや、ラリっていた彼が起こし  た妻射殺事件を語るのは興味深かった。また、『裸のランチ』の一節をデニス・  ホッパーが暗唱してみせるシーンはあまりにハマっていて聞き入ってしまった。  挿入される映画も『イージー・ライダー』『カッコウの巣の上で』等1度は目に  した作品が多く、彼等との距離が少し縮まる気もしたが未公開作品も含まれてい  て正直、よくわからないところもあった。  ここでは出されなかったが、ニール・キャサディ(ケルアックの友人)の若き日  を描いた『死にたいほどの夜』(1996)。キアヌ・リーヴスが『スピード2』の  オファーを蹴ってまで出演したと話題になったが、彼等の親の世代が丁度ビー  ト・ジェネレーションであった事を考えると妙に納得してしまった。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   Pubzine (http://www.pubzine.com/detail.asp?id=1547)   Melma     (http://www.melma.com/mag/31/m00000031/)   マッキー!  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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   ■過去の名作アカデミー賞受賞作特集   □レベッカ   □わが命つきるとも   □スティング   □炎のランナー   □西部戦線異状なし >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆レベッカ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Rebecca     ★★★★★     1940/アメリカ/131分/白黒     製作:デイビッド・オリバー・セルズニック     監督:アルフレッド・ヒッチコック     原作:ダフネ・デュ・モーリア     音楽:フランツ・ワックスマン     出演:ローレンス・オリヴィエ、ジョーン・フォンティーン、        ジョージ・サンダース、ジュディス・アンダーソン     1940年アカデミー作品賞、撮影賞  映画館でのリバイバル上映、またビデオ、DVDや衛星テレビ等で観る事が可能な過  去の作品群。現在に至っても影響を及ぼし続けているそれらの作品を、邦洋の東  西を問わずご紹介しているが、今回は、アカデミー作品賞特集の2回目として、  『風と共に去りぬ』の大プロデューサー、セルズニックとヒッチコックが組んだ  『レベッカ』を取り上げる。  モンテカルロでイギリスの富豪紳士マクシム・ド・ウィンター(L・オリヴィエ)  と知り合ったアメリカ娘(J・フォンティーン)は、彼の2度目の妻となり大邸宅  マンダレーへやって来る。しかし、家事いっさいを取り仕切る先妻レベッカに仕  えた召使のダンバース夫人に冷たくされる日々が続く。そんな中、レベッカの死  に対して疑問を起こさせる事件が起き、マクシムともに窮地に立たされる事とな  る。  ダフネ・デュ・モーリアのベスト・セラー小説、プロデューサーのセルズニック  に監督のヒッチコック、そして出演者に名優オリヴィエと美人女優フォンティー  ンという、これ以上ないほどの豪華な顔合わせ。  それに付け加えるかのように、霧の中に幽玄にそびえるマンダレー、名女優J・ア  ンダーソンの不気味な演技、レベッカを偲ばせる“R”の文字の引用、また、レ  ベッカの嘆きを象徴するかのように繰り返し使用される岩肌に叩きつける波の映  像、そして、映画ならではの技法を存分に駆使したヒッチコックの演出など見所  十分。  今作で、ミステリアスなマクシムを見事に演じ切った名優オリヴィエは、当時名  女優ヴィヴィアン・リーと結婚したばかりにあり、公私ともに波に乗っていた時  期。彼の妻を演じたJ・フォンティーンは、姉に名女優オリヴィア・デ・ハヴィラ  ンドを持つ。姉妹ともアカデミー賞を受賞したが、妹のジョーンが先に受賞した  事に姉オリヴィアが嫉妬した事により、姉妹の仲が裂かれてしまった話は有名。  今作が渡米第1作となった監督ヒッチコック。アメリカに渡ってからの彼の活躍  は目覚しく、続く『断崖』や実験的作品『ロープ』、『見知らぬ乗客』、『裏  窓』、『ダイヤルMを廻せ!』、『めまい』、第220号でご紹介した『北北西に進  路を取れ』、『サイコ』、『鳥』とサスペンスの傑作を作り続け、世界中の監督  たちに影響を与えた偉大な監督。その影響力は現在も衰えていない。  最後に、今作は1940年度アカデミー作品賞、撮影賞を受賞したが、監督賞、主演  男優賞(L・オリヴィエ)、主演女優賞(J・フォンティーン)、助演女優賞  (J・アンダーソン)、脚色賞、編集賞、美術監督賞、作曲賞、視覚効果賞の全  11部門ものノミネートを果たしていた。                                 吉田 浩二 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆わが命つきるとも☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     A Man for All Seasons     ★★★★☆     1966/アメリカ=イギリス/119分/カラー     製作・監督:フレッド・ジンネマン     音楽:ジョルジュ・ドルリュー     出演:ポール・スコフィールド、ロバート・ショー、        ウェンディ・ヒラー、スザンナ・ヨーク、オーソン・ウェルズ、        ジョン・ハート、ヴァネッサ・レッドグレイヴ     1966年アカデミー作品賞、監督賞、主演男優賞(P・スコフィールド)、     脚色賞、撮影賞、衣装デザイン賞  映画館でのリバイバル上映、またビデオ、DVDや衛星テレビ等で観る事が可能な過  去の作品群。現在に至っても影響を及ぼし続けているそれらの作品を、邦洋の東  西を問わずご紹介しているが、今回は、アカデミー作品賞特集の3回目として、  16世紀初頭のイギリスを舞台にした『わが命つきるとも』をお伝えする。  16世紀初頭のイギリス。国王ヘンリー8世(R・ショー)の統治のもと大法官に任  命されたトマス・モア(P・スコフィールド)は、妻キャサリンとの離婚問題に手  をこまねいていた国王から離婚を承認するよう下達されるが、カトリックの信仰  厚いモアにとっては、カトリック教会からの分離を謀る「国王至上法」を推進  し、離婚を承認する事は出来なかった。解決策として、大法官を辞職し沈黙した  モアだが、クロムウェルの策略にあい反逆罪としてロンドン塔に幽閉される。猶  予を与えられながらも頑なに沈黙を続けたモアは、刑場へと送られる事となる。  失業しても、家族と会えなくても、また死を前にしても自らの信念を貫いたトマ  ス・モアの生き方は、私利私欲に走り、自己責任に欠け、平気で嘘をつき、友人  や恋人をやすやすと裏切る世の中に生きる我々に様々な事を教えてくれる。  トマス・モアを演じた名優ポール・スコフィールドが素晴らしい。的確に人物を  理解し表現した完璧な演技だ。また、彼の妻を演じたウェンディ・ヒラーも素晴  らしい。わずかな出番ながら、ヘンリー8世と結婚するアン・ブーリン(エリザ  ベス1世の母)を演じた名女優ヴァネッサ・レッドグレイヴも印象に残った。  監督は、今作と『地上より永遠に』で2度アカデミー監督賞に輝いた名監督フ  レッド・ジンネマン。彼の作品に出演する俳優は、揃って名演技を披露する。監  督とは、俳優が演技し易い環境を作り、最大限の力を引き出す事にあると思う。  その事から考えると、ジンネマンほど俳優の魅力を引き出す能力に長けた監督は  いないと思う。  最後に、今作は1966年度のアカデミー作品賞をはじめ6部門受賞したが、助演男  優賞(R・ショー)と助演女優賞(W・ヒラー)も含めた計8部門のノミネートを  受けた。                                 吉田 浩二 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆スティング☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     The Sting     ★★★★★     1973/アメリカ/129分/カラー     監督:ジョージ・ロイ・ヒル     脚本:デイビッド・S・ウォード     衣装:イディス・ヘッド     音楽:マービン・ハムリッシュ     出演:ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、        ロバート・ショー、チャールズ・ダーニング     1973年アカデミー作品賞、監督賞、オリジナル脚本賞、編集賞、     美術監督賞、衣装デザイン賞、編曲賞  映画館でのリバイバル上映、またビデオ、DVDや衛星テレビ等で観る事が可能な過  去の作品群。現在に至っても影響を及ぼし続けているそれらの作品を、邦洋の東  西を問わずご紹介しているが、今回は、アカデミー作品賞特集4回目として、  『明日に向かって撃て!』の監督と主演コンビによる、娯楽映画の傑作『スティ  ング』を取り上げる。  1936年アメリカのシカゴ。組織の金とは知らずにカモって大金を手にするフッ  カー(R・レッドフォード)。しかし、怒った組織がフッカーの仲間を殺す。追い  詰められたフッカーは、大物詐欺師ゴンドーフ(P・ニューマン)の助けを借りて  仲間の仇を討つ決心をする。だが、相手は大組織のボスのロネガン(R・  ショー)。失敗すれば命の保証がないにも関わらず、ゴンドーフとフッカーは一  世一代の大イカサマを企てる。  アメリカン・ニューシネマの傑作『明日に向かって撃て!』(第175号参照)の監  督ヒル、主演のニューマンとレッドフォードの黄金トリオが再び顔を揃えた作  品。  主演コンビの魅力は勿論の事、脇を固める彼等の仲間も魅力的。特にJJ(レイ・  ウォルストン)とキッド・ツイスト(ハロルド・グールド)は、フッカーとゴン  ドーフの重要なサポート役として印象に残る役柄。  そんな魅力溢れる登場人物と先の読めない二転三転する展開を、時折笑いを交え  て構成したのは、当時UCLAの映画学科の学生だったデイビッド・S・ウォード。今  作の成功後、しばらく低迷が続いたが、後に監督となり『メジャーリーグ』を  作った。  劇中流れる印象的な音楽はスコット・ジョップリンのラグ。ジャズ・ピアノの  ルーツとも言われる彼は、繰り返し使用された大名曲『エンターテイナー』を作  曲。封切当時、映画だけでなく音楽も話題になりジョップリン・ブームが起きた  と言う。  今作では音楽だけでなく衣装も見所の1つ。担当したのは名デザイナーのイディ  ス・ヘッド。彼女はなんとアカデミー賞を8回も受賞、ノミネートに至っては30  回以上も候補に挙がった。また、衣装に規制のあった時代のアカデミー賞授賞式  において、衣装担当をした経歴の持ち主でもある。  最後に、今作は1973年度のアカデミー作品賞以下7部門も受賞したが、主演男優  賞(R・レッドフォード)、撮影賞、録音賞を含めた計10部門のノミネートを果た  した。                                 吉田 浩二 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆炎のランナー☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Chariots of Fire     ★★★★★     1981/イギリス/118分/カラー     製作:デイビッド・パットナム     監督:ヒュー・ハドソン     音楽:ヴァンゲリス     出演:ベン・クロス、イアン・チャールソン、イアン・ホルム、        ナイジェル・ダベンポート、ジョン・ギールグッド     1981年アカデミー作品賞、オリジナル脚本賞、衣装デザイン賞、作曲賞  映画館でのリバイバル上映、またビデオ、DVDや衛星テレビ等で観る事が可能な過  去の作品群。現在に至っても影響を及ぼし続けているそれらの作品を、邦洋の東  西を問わずご紹介しているが、今回は、アカデミー作品賞特集の5回目として、  1924年パリ・オリンピックを舞台にした感動の名作『炎のランナー』を取り上げ  る。  名門ケンブリッジ大学に入学を果たしたユダヤ系イギリス人ハロルド(B・クロ  ス)は入学早々、過去700年達成者の出ていないカレッジ・ダッシュに挑み見事成  功する。ズバ抜けた俊足を持ちながらもユダヤ人であるがゆえの偏見に悩むハロ  ルド。オリンピックで勝利し名声を得て、全ての偏見に打ち勝つという思いを抱  いていた。  かたやスコットランド人の敬虔なクリスチャンのエリック(I・チャールストン)  は、伝道活動をしながらラグビー選手としても活躍。その俊足は誰もが認めるも  のだった。しかし、オリンピック出場を後押しする周囲とは裏腹に、エリックの  活動を助ける妹の賛同を得られずにいた。だが、神のために走る喜びを感じるエ  リックは、神の与えた才能を通して、神の教えを広める事を決意する。  パリ・オリンピック100m金メダリストのハロルド・エイブラハムズと400m金メダ  リストのエリック・リデルの2人が、生きる意義を見出しオリンピックを目指す  姿を同時進行で描いた作品。オリンピックの公式記録にも名前が残る実在の人物  に焦点をあてたストーリーは、実話という事もあるが様々な感動を呼ぶ作りに  なっている。  今作では、自らの夢、希望に向かって行動する2人を通じ、生きる目的や生きる  事の意義というものを教えてくれる。生きる目的は人それぞれ異なる。今作で描  かれたハロルドとエリックでさえ、同じイギリス人であり同じオリンピックの舞  台に立ちながらも目的が違ったほどだ。目的なく生きる人が多い現在、何の為に  生きるかを考えさせてくれる。  今作は、宗教に馴染みの薄い日本人にとって解釈に困る箇所が描かれている。ハ  ロルドがシビルとレストランで食事するシーンで、注文した料理が「豚の足」  だった事に笑う場面。これは、ユダヤの世界では豚を口にしてはいけない食物で  あるという事の表れ。他にも、安息日には走らないとかユダヤ人だから偏見にあ  うという箇所もあるが、これらの事はヨーロッパやアメリカでは誰もが知ってい  る事柄。馴染みの薄い日本では知らずとも仕方のないことだが、知ると知らない  とでは理解や感じ方が大きく異なる作品であるという事を付け加えておく。  最後に、今作は1981年度アカデミー作品賞を含む4部門受賞したが、監督賞(H・  ハドソン)、助演男優賞(I・ホルム)、編集賞もノミネートされていた。                                 吉田 浩二 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆西部戦線異状なし☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     All Quiet on the Western Front     ★★★★★     1930/アメリカ/130分/白黒     監督・脚本:ルイス・マイルストン     原作:エリッヒ・マリア・レマルク     出演:ルー・エアーズ、ルイ・ウォルハイム、ベン・アレキサンダー     1930年アカデミー作品賞、監督賞  映画館でのリバイバル上映、またビデオ、DVDや衛星テレビ等で観る事が可能な過  去の作品群。現在に至っても影響を及ぼし続けているそれらの作品を、邦洋の東  西を問わずご紹介しているが、今回から、アカデミー作品賞を受賞した歴代の名  作を取り上げていく。先ずは、第一次世界大戦の戦場を舞台に描いた反戦映画の  大傑作『西部戦線異状なし』。  ドイツの小さな村の学校では、教師が生徒に愛国心を説くなか、演説を聞いた生  徒たちが意気揚々と軍隊へ志願する。しかし、待ち受けていた戦場は、四六時中  砲弾の音が鳴り響き食糧にも困る最悪の環境だった。理性を失ったり戦死する友  人が多くなる中、生き残ったポール(L・エアーズ)は休暇のため故郷に帰る。  だが故郷の人々は、戦争の無意味さを語るポールに耳を貸さず、彼の意見に反論  する。自分の居場所が故郷にない事を悟り再び戦地に赴くポール。久しぶりに再  会した戦友との一時は、ポールに落ち着きと安らぎを与えてくれたが、それも長  くは続かなかった。  第一次世界大戦を舞台に描かれた映画は多いが、反戦をテーマに静かながら説得  力ある語り口で描いたものは今作を含め少ない。  観終わってから脳裏に焼き付いている場面が多いが、数多くのリアリズムをもっ  て描かれている戦場シーンが特に強烈な印象的を残す。鉄条網にぶらさがる両腕  や、カメラを機関銃に見たてて突進してくる兵士を写すなど、観る者に実際の戦  場にいる錯覚を起こさせる作りは見事。また、鳴り止まない砲弾や敵国の兵士を  殺し、死にゆくものを見届けたり、死体と一緒に一夜を迎えるという戦場の生々  しさを描いた点も見逃せない。  劇中、何度も戦争による死というものの無意味さを言っている。何百万、何千万  という途方もない数の人々が命を落とす戦争。今作は、戦争の無意味さというも  のを教えてくれるだけでなく、生きてる事の素晴らしさや平和な世の中のありが  たみも同時に感じさせてくれる。生きているから明日がある。平和であるから不  自由なく暮らせていける。旨い食べ物を口にでき、酒も飲め、恋人と一緒にいる  事もできる。涙に濡れて暮らすより、笑いの絶えない日々を送りたいと思うのが  人間。平和な世の中ならそれが可能だ。  今作は、初めて反戦を題材にした映画というだけでなく、我々に数多くの事柄を  学ばせてくれる映画として重要な地位を占める。  最後に、今作は1930年度アカデミー作品賞、監督賞の受賞の他に、脚本賞と撮影  賞のノミネートも果たした。                                 吉田 浩二 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   Pubzine (http://www.pubzine.com/detail.asp?id=1547)   Melma     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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □映画からフィルムがなくなる! フル・デジタル・シネマの時代   □ハリウッド映画新作情報:アンチトラスト(原題)   □ベルリン国際映画祭情報6   □あなたのために   □アタック・ナンバーハーフ >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆映画からフィルムがなくなる! フル・デジタル・シネマの時代1☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  ミニ・シアターに行くとフィルム缶が椅子の下に置いてあることがあります。映  写室から漏れるフィルムの回る音。気持ちが高ぶる瞬間といったら大げさでしょ  うか? この100年間、映画とえばカラカラ回るフィルムでしたが、ようやくこの  フィルムが無くなる時代に近づいてきました。  レコードやテープレコーダーがCDやMDに変わり、さらにデジタルでダウンロード  するだけの時代向かう昨今、フィルムで撮影した映像を現像し、焼き増しして、  フィルムを映画館で映し出すという手順も、CGやデジタル・ビデオで撮影し、コ  ンピューター上で編集し、衛星通信で映画館のハードディスクにダウンロード、  それをデジタル映写機で映し出すという流れに代わりつつあります。映写技師は  ビデオデッキを操作する感覚です。そんな時代がもうすぐそこまで来ています。  今回スクリーンキスでは、今までに日本で導入されている3スクリーン(東京・  広島)でDLP技術のデジタル映画を見る機会のあった人ばかりにではなく、まだ  『DLP CINEMA』という言葉を聞いたことのない人にとっても分かりやすいよう  に、映画の未来形としてこの最新技術をレポートしてみました。  「もちろんDLPとは何か? から始めなければならないでしょうね。DLPってなんで  すか?新しい映画会社?」  DLP(Digital Light Processing)とは、簡単に言えばコンピューターのハード  ディスクから直接画像をスクリーンに映写する技術のこと。今まではせっかくデ  ジタル・ビデオで撮影してパソコンで映像編集した自作ムービーも、フィルムに  プリントしなければ映画館での上映ができなかったわけです。液晶プロジェク  ターを使用する事はできますが、画質が物足りない。最近新発売された機種では  かなり画質の向上を図っているようですが、構造的な問題があります。  この技術を用いて、ードディスクを接続すれば、フィルムにプリントすることな  く巨大スクリーンに投影されるという事が可能になる訳ですよ。液晶プロジェク  ターより明るくコントラストもはっきりしていますから、画質に不満を感じな  い。  ちなみに今どこの映画館にもある映写機は、光の前で色付きのフィルムを回し  て、光に色をつけてスクリーンに投影しています。液晶プロジェクターの場合、  フィルムの代わりに光源の前に液晶のフィルムを置き、コンピューターの信号が  液晶を変化させ、光に色を付けるということになります。つまり光を遮るのです  が、一方DLPの場合光を極小の鏡を用いて光を反射させているのです。この点で  まったく異なる技術ということが分かりますね。  続く                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆ハリウッド映画新作情報:アンチトラスト(原題)☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     AntiTrust     ★★★★☆     2000年/アメリカ     監督:ジョン・ヘイリー     出演:ティム・ロビンス、ライアン・フィリップ、クレア・フォラーニ、        レイチェル・リー・クック     日本年内公開予定  コンピュータ・エンジニアのマイロ(フィリップ)は、友人達と一緒に新しいプ  ログラムの開発に燃えていた。そんな折、大手コンピュータ会社『シナプス』の  社長、ゲイリー(ロビンス)から引きぬかれ、成功への道を約束される。しかし  その後、彼の親友が殺される事件が起き、彼は言い知れぬ陰の力を感じ始めるの  だが・・・。  ロビンス演じるゲイリーの、眼鏡に白髪混じりの坊ちゃん刈りスタイルが何とな  くビル・ゲイツを思わせ、この大手企業のモデルはもしや・・・、なんて思って  しまう。  盗聴の恐怖を描いた『エネミー・オブ・アメリカ』を思わせるストーリーではあ  るが、爆発や銃乱戦などアクション要素の強いこちらに比べ、コンピュータのみ  が武器となる本作の方が、現代的であり、心理的恐怖感は強い。  なかでも、社員の生まれてから現在までのあらゆる情報が全てコンピュータ登録  されているくだりには、ゾーっとするものがある。  タイトル通り、誰を信じたら良いのか解らない究極の状況に、コンピュータ一つ  を武器に立ち向かうオタク青年のか弱そうなキャラが、線の細い美青年のフィ  リップにはまっている。最後まで白か黒か解らない2大美女の共演は『ワイル  ド・シングス』を思わせるが・・・。  また、シナプス社の内装や、社長の超豪邸、和風のデコレーションなど舞台美術  がなかなかユニーク。デザインやインテリアに興味のある方にもお薦めデス。                                 MS.QT.MAI __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆ベルリン国際映画祭情報6☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ □ニュー・ジャーマン・フィルムズ  2000/2001年にすでに公開済みのドイツ映画を集めたNew German Films部門で上映  された、日本公開の可能性の高い2本を紹介する。 □No Place To Go (Oskar Roehler監督)  オスカー外国語映画賞ノミネートを期待された、ドイツ国内でのレビューがすご  ぶる良かった作品である。ベルリンの壁の崩壊、という政治的背景をバックに、  かつて一世を風靡した実在の女流作家を描いた実話であり、実の息子が監督して  いる。  「No Place To Go (行き場がない)」というタイトルが突き刺さるストーリー  だ。Hanna Flandersは西ドイツ出身でありながら、共産主義的思想ゆえ東ドイツ  でより名声を博していた。しかしドイツは統一し、彼女の小説を出版してくれる  会社は最早ない。家族からも見放され、金もなく、身を寄せる場所を探してさま  よう。プライドと現実の板挟みの中で何とか生きようとする主人公と、あまりに  も冷たい現実の有り様が、白黒の映像で美しくも悲しく描かれている。  「孤独」の恐ろしさ、苦しさが身に迫る作品だ。日本の配給会社も興味を持って  いる気配あり。日本公開も遠くないはず。 □Der Krieger und die Kaiserin (The Princess And The Warrior)   (Tom Tykwer監督、ドイツ)  「ラン・ローラ・ラン」のTom Tykwer監督の新作。ローラ役の主演女優フラン  カ・ポテンテを再起用しての今作は、監督の「運命の廻り」についての深い興味  を前作以上に感じる作品である。  ある海辺の町に住む女性のもとに手紙が届く。手紙を読んだ彼女は看護婦のSissi  に手紙を書く。そこが廻りゆくストーリーのスタート地点だ。  手紙を受け取ったSissiは銀行に向かうが、その途中、絶体絶命の事故にあう。彼  女を助けたBonoのとの運命を一途に信じた彼女は、居所も分からない彼を探し当  てる。そしてSissiとBonoの運命が絡みあってゆく、、、。  「カン・カン・カン」とリズムよく鳴り響く音で始まるオープニングがまず高揚  感をそそる。話の途中まで「一体何が言いたい映画なのか?」と疑問に思いつ  つ、見せられてしまうぐいぐい引き込む映像は力強い。様々な要素を含んだス  トーリーが、ばらばらな状態から少しづつ全容が見えてくるようになるのだが、  話の構造の大胆さに監督のただならぬ才気を感じる作品だ。  信じたものをどんなに拒否されても信じつづけるSissiを演じるフランカの魅力  は、この作品の見所のひとつ。そして監督の「運命」についての執拗なまでのこ  だわりは、この作品により哲学的な意味を与えている。一発屋ではなかった監督  の底深さを見せつけられた、見応えある129分だ。                                   hana __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆あなたのために☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Where The Heart Is     ★★★★☆     2000年/アメリカ     監督:マット・ウィリアムス     出演:ナタリー・ポートマン、アシュレー・ジャッド     http://www.foxjapan.com/movies/wthi/  17歳の妊婦ノヴァリー(ポートマン)は、恋人と一緒に車で町を出る途中、オク  ラホマのウォルマート(注:米国の大手スーパー)に置き去りにされ、そこで出  産するハメに。やがてそんな彼女を町の人々は暖かく迎え・・・。  原題の『Where The heart is/ハートはどこに』は主人公が恋人にお腹を触らせて  赤ちゃんの心音を聞かせたときに言う台詞。このエピソードがラストで生きてく  る。彼女の見知らぬ場所での自分さがしという物語とも重なる言葉で非常に意味  深い。(のに、変えるなって思いません?)  私は何故かナタリー・ポートマンの作品って全部見ているのだけど、感心するの  は一作ごとに確実に綺麗になっていき、演技も磨かれていること。優等生で知ら  れる彼女だけど、その裏にはただならぬ努力があることでしょう。  そんな彼女の成長振りが、世間知らずでおバカなノヴァリーが、精神的にも外見  的にも成長して行く5年間の過程と上手くシンクロしている。  子だくさんの肝っ玉かあさんを演じたアシュレー・ジャッドや、信心深い植木や  さんを演じるストッカード・チャニングなど、とにかく女性キャラの魅力全開の  映画で、男は女を殴ったり、酔っ払ったりロクなもんじゃない奴ばっか。故に、  監督は女性か?と思ったら意外にも新人の男性でした。  女は強し!という物語は『オール・アバウト・マイ・マザー』的なんだけど、結  局それぞれ愛する男を見つけて行くあたりはいかにもハリウッド的。そのへんを  すんなり受け入れられないと楽しめないかも・・・。ラブシーンの度に流れるク  サイ音楽はちと興ざめ。  とはいえ、どんなにヒドイ目にあっても人生捨てたもんじゃない!と思わせてく  れる説得力があり、今落ちこんでます、って人にはとりわけお薦めの癒し系の作  品である。  ところで日経新聞によると、ウォルマートは来年にも日本に進出の予定とか。映  画のように上手く行くわけはないのでくれぐれも住みついたりしないように!                                 MS.QT.MAI __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆アタック・ナンバーハーフ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Satree-Lex     2000/タイ/104分/カラー     監督・脚本:ヨンユット・トンコントーン     出演:チャイチャーン・ニムブーンサワット、        サハーパープ・ウィーラカミーン、ジョージョー・マイオークチィ、        ゴッゴーン・ベンジャーティグーン  今回は、4月に渋谷の「シネクイント」で公開が決定している、タイ発信のエン  ターテイメント・ムービー『アタック・ナンバーハーフ』をご紹介する。タイ映  画と言えば、1995年に岩波ホールで上映された『ムアンとリット』があるが、そ  れ以降、お目にかかる機会が全く無かった。タイ映画には、インド映画のように  歌と踊りという絶対的要素がないが、今作の『アタック・ナンバーハーフ』は、  娯楽映画であるのでストーリーが分かり易い。今作は、“カトゥーイ”、いわゆ  るタイのゲイが主人公となっている。  あらすじを簡単に述べると、オカマによるバレーボール・チームが、オナベの監  督と共に、国体のバレーボール大会を目指し優勝するというもの。単純かつ出来  過ぎの内容に、100%作り物と思うが、これがなんと実話というから驚き。観てる  時は実話とは信じ難いが、観終わったら納得させられる作りになっている。  今作で描かれたカトゥーイは、タイでは数多くいるという。しかしながら、社会  的なレベルは低かった。だが、今作により、タイの人々の意識を改革させたとい  う。タイの若者の間では、登場人物の真似をし女装した“サトリーレック族”な  るものが街に溢れたという。また、カトゥーイに対する肯定派、否定派に別れ賛  否両論を繰り広げるなど、メディアを巻き込む社会現象にまでなったという。そ  れらの効果もあってか、結果、映画は大ヒットとなり、タイ映画界歴代興収第2  位(1位は『タイタニック』)を記録しただけでなく、香港でも大ヒットを記録  した。  最後に、今作の出演者の中に本物のカトゥーイがいるという。あまりにも堂に  入ってるので、演技とは思えない俳優もいるが、本物は意外や意外、劇中最も美  しく、画面栄えする人。誰の事を言ってるのか、観て、ご自分の目で確認してみ  て下さい。ある意味、実話以上の驚きです。                                 吉田 浩二 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   Pubzine (http://www.pubzine.com/detail.asp?id=1547)   Melma     (http://www.melma.com/mag/31/m00000031/)   マッキー!  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ScreenKiss Vol.227

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □小説家を見つけたら   □もういちど   □火垂(ほたる)   □日本の黒い夏[冤罪] >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆小説家を見つけたら☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Finding Forrester     ★★★★★     2000年/アメリカ     監督:ガス ・ヴァン・サント     出演:ショーン ・コネリー、ボブ・ブラウン、アンナ・パキン     http://www.sony.com/findingforrester  バスケの才能に長けた16歳の少年ジャマールは、密かに小説を書いていた。ひょ  んなことから知り合った怪しげな老人が、実は一冊のピューリッツア賞受賞小説  だけを残した伝説の小説家、フォレスターだと知り、彼の手ほどきを受けること  になるのだが・・・。  同監督の『グッド・ウィル・ハンティング』も同じく隠れた才能を持つ青年と、  トラウマを抱えた中年男の心の交流を描いていたが、くどい演技のウィリアムス  と、不器用な男を演じながらもエリート臭さの抜けないマット・デイモンの演技  ですっかり白けてしまった。  しかし、本作はそういう白々しさ、しつこさを拭いとり、良い部分だけを残した  仕上がりとなっている。  アル中気味で変わり者の小説家という嫌味になりそうな役も、コネリーが演じる  とどこかチャーミング。中年になっても色気を残す役が多かった彼が、こういう  枯れた役をやるからこそ、二番煎じにならなかったのでは。  また主人公、ジャマールに抜擢された新人のボブ・ブラウンの清清しさも印象  的。そのへんにいる少年というルックスなのに、曇りのない瞳でフォレスターを  見据え、『fxxk you』なんて台詞まで吐いて渡り合う堂々とした姿には圧巻。こ  の作品の勝因は彼の力に拠るところが大きいかも。  また、小説家の家に忍び込むシーンや、バスケの試合など、緊迫したシーンをバ  ランスよく取り入れているため、2時間を越える長さを全く感じさせなかった。  シーンを盛り上げるジャズやスタンダードナンバーも効果的。  小説がテーマなだけに本好きを唸らせる演出も見逃せない。主人公の部屋にある  本の数々も興味深いし、好きな女の子にサイン本をプレゼントしたり、本からの  引用を次々と言い当てて教師を負かすシーンにはニヤリ。まさに、ペンは剣より  強し、という感じ。  欲を言えば、ジャマールの書いた文章をもっと聞かせて欲しかったが、彼の文章  がどれほど素晴らしいのか想像するのもまた楽しいというもの。                                 MS.QT.MAI __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆小説家を見つけたら☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ Finding Forrester ★★★☆☆ 2000年/アメリカ/136min/カラー/シネマスコープ 監督:ガス・ヴァン・サント 出演:ショーン ・コネリー、アンナ・パキン、ボブ・ブラウン バスケの得意な16歳の少年。家庭問題から悩みを詩的な文章でノートに書き留 めていた。そのノートがある悪戯から謎の老人の手に渡る。老人は勝手に添削 して彼にノートを返すが、それ以来不思議な友情も芽生え、謎の老人の生活に も変化が生まれる。 ショーン・コネリー演じる謎の作家フォレスター。彼の若かりし頃の肖像画を 見ると、誰かさんにそっくりでした。さて、その秘密は映画を見れば分かるこ と。分からない人にとっては全く意味のないことですから、説明はしません。 文学好きな人には1人くらい心当たりがあるでしょうね。本ばかり読んでない で、たまには映画館で映画を見てください。 さて、映画はガス・ヴァン・サント監督の「グッド・ウィル・ハンティング」 にそっくり。 だから、あの映画を嫌いな人には勧められません。反対にあの映画が好きだか らといっても、文学ネタだから、ウケるとも限らないでしょう。95年のディカ プリオ主演「バスケットボール・ダイアリーズ」とあわせて比べて見てはどう でしょう。 でも脚本はマイク・リッチという新人。次回作を期待するほどの器ではないの ですが、来年公開の作品(「The Rookie」)も決まっているようです。 あえて批判すれば、マット・デイモンを弁護士役で出演させたのは間違い。弁 護士事務所とは古い付き合いなはずで、老人弁護士の方が適切では。・・・と 言いつつも、出演は思いがけない形で、楽しめます。 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆もういちど☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Innocence     2000年/オーストラリア/95min/カラー/ヴィスタ     監督・脚本:ポール ・コックス     出演:ジュリア ・ブレイク、チャールズ・ティングウェル、        テリー・ノリス     www.comstock.co.jp     モントリオール国際映画祭グランプリ、観客賞     オーストラリア・インディペンデント映画賞      (作品、監督、主演女優、編集、録音)     3月24日(土)よりシネスイッチ銀座他にて公開  70を迎えようとするクレアの元に若い頃愛しあったアンドレアスから手紙が来  る。彼の父親の反対で居場所もわからないままだったが、今は近くの町に住んで  いた。50年ぶりの再会はこの20年夫婦生活のない彼女の、女としての情熱を甦ら  せた。戸惑う夫、理解する子供達。が、アンドレアスは癌に侵されていた・・。  時々若く、美しい2人の姿が現在の彼等にオーバーラップされる。年をとるとは  何と残酷なことか・・。「年をとると愛はより本物になる」。残された時間が少  ない事、外見の美しさに頼らなくなる事・・原題のInnocenceの意味がここにあ  る。  「ハムレット」の台詞に「40も過ぎて何と分別のない」と彼が再婚した毋を罵る  箇所がある。肉体を伴う愛は若者の専売特許と考えがちだが、人間には最期まで  人間として、女性として、男性として生きる権利がある。それと共に身体的な老  化が即ち精神的老化とイコールでない事を教えてくれる映画だ。  クレア役のジュリア ・ブレイクが美しい(あの『マッシュルーム』で人肉料理を  作っていたお婆ちゃんです!)。特にアンドレアスと再会してから後、夫の元を  離れて彼と余生を過ごそうと決心する過程の戸惑いや、意思の強さの表情が実に  巧い。  長年連れ添いながら、妻のそうした頑なまでの強い意思に完全に圧倒されてしま  う夫。日本の昔の男達に似て「言わなくたって判ってるだろう」的な曖昧な態度  が許されないとやっと自覚した彼が、結婚以来初めて口にする言葉・・「I do  love you」。オーストラリアの男性って意外と日本的だったんだ・・。この2  人、実生活でも夫婦だそうで道理でイキがぴったり。  ここでは2人の恋愛を軸に実は、様々な重いテーマを織り込んでいる。「死」  「癌の宣告」「宗教」。既に「死」をそう遠いものとしてはいない彼等の気掛か  りは死による自我の滅却。肉体的な消失の他に個人の持つ思い出や愛着といった  ものの行方。劇中でクレアの見ているTVに監督の以前の作品『ある老女の物語』  が使われて、クレアの運命を暗示している。何度も「私達、大人なんだから」と  言う時 grown upという言葉が使われていたが、これは本当に大人のラブストー  リーだ。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆火垂(ほたる)☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     2000年/日本/164min/カラー/ヨーロピアンヴィスタ     監督・脚本・撮影・音楽:河瀬直美     出演:中村優子 、永澤俊矢、山口美也子、光石研、北見敏之     ロカルノ映画祭国際批評家連盟賞、ヨーロッパ国際芸術映画連盟賞     3月24日(土)よりテアトル新宿にて公開  3月。東大寺二月堂のお水とりの映像・・。夏。中絶をし、自暴自棄のあやこが出  会った陶芸家の大司。彼も祖父を亡くし孤独だった。ストリッパーの自分を心か  ら愛してくれる大司に徐々に心を開いていくあやこ。そんな2人を優しく見つめ  る、姉的存在の踊り子、恭子。久しぶりの故郷、香川ではただ一人の身内である  祖母が亡くなったばかり。あやこは再び心を閉ざす。そして暮れ、恭子が倒れ帰  らぬ人に。  子供の頃の思い出、大司との出会い、香川の小学校、楽屋・・とあやこの節目と  なる時に必ず流れる「ミカンの花咲く丘」の歌。これはいつも途中で終わってい  る。が、恭子の死に際して初めて全曲が歌われる。大事な存在を亡くし、しかし  ここから初めてあやこの再生がスタートするのを暗示しているのだろう。  冒頭と最後に出る東大寺二月堂の修二会。「お母ちゃん、白い雫が降って来る。  暗いとこに何もないねん。全部がひとつになって溶けていくねん」・・火の粉が  ぱらぱらと降る様に重なる台詞。この業を中心に、万灯供養、窯や夕焼けの  色・・そこここで赤が象徴的に登場する。全てを焼き付くし、そこから再生され  る・・連綿と続く人間の営みのようだ。  また、楔、地蔵といった言葉の中に「家族」や集合体としての人間という意識が  込められ、生きることの素晴らしさと苦しさを暗示している。物語の途中経過は  極力排され、ミニマムな映像と台詞で進行していくところにシンプルな力強さが  感じられる作品だ。そして風になびく稲穂や船から見える波頭などの映像に日本  本来の原風景を見たようで印象的だった。  河瀬監督は「3年振りの作品で期待と不安で一杯」だったそうだが、俳優への要  求はかなり厳しかった模様。「凄い体験でした」と大司役の永澤氏も口を揃え  る。特に恭子役、山口美也子氏には「ヌード劇場で、カメラが回っていない時に  観客の前で演じて下さい」などと注文。受けてたった?山口氏も「悔しいから1  週間頑張った」のだとか。駅前で突然ストリップになる場面もあって、彼女の役  者根性もただものではない。あやこ役、中村優子氏も初主演とは思えない程大胆  且つ繊細な難しい役をこなしている。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆日本の黒い夏[冤罪]☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Darkness in the Light     2000年/日本/119min/カラー/ヴィスタ     監督・脚本:熊井啓     出演:中井貴一、寺尾聡、細川直美、遠野凪子、北村有起哉、加藤隆之     http://www.kuroinatsu.com     3月24日(土)より渋谷東急3他にて公開  松本サリン事件から11ヶ月後。高校の放送部員であるエミとヒロは事件のドキュ  メンタリー製作の為、地元TV局を訪れる。中でも当初、警察へ最初の通報をした  神部氏が、事件の被害者であるにも関わらず警察からも犯人扱いされていた点に  焦点が向けられた。彼が犯人である事を濃厚に漂わせる記事が全国を飛び交う  中、このTV局だけは事件を慎重に扱ってきていたのだが・・・。  この事件については知らない日本人はまずいないと思うが、事件の詳細について  語ろうとする時やはり記憶を支配するのは、当時の報道だろう。翌年の地下鉄で  の事件の時でさえ、サリンという毒ガスについて国民は正確な知識を得ていな  かった。ましてその数カ月前の事件だ。曖昧な情報と知識で報道していたマスコ  ミが「推定」した点を視聴者が「真実」と誤解するのは当たり前の事だ。  マスコミの報道の怖さを描いたものでは『破線のマリス』が記憶に新しいが、そ  こでは明確な悪意が見られた。が、この作品では誰も悪意ではない点が実はもっ  と怖いところなのである。悪意ではないが、視聴率やクライアント、警察の実績  といったそれぞれの立場でのプレッシャーから出来あがった「皆に都合のいい」  報道という罠が仕組まれていくのだ(そう言えばスクープ〜悪意の不在』という  同様の設定の米映画があった。勿論フィクションだけど)。  こうして第3者として事件をなぞるのは気楽だが、実際にこの悪意なき罠には  まってしまった人間の恐怖ははかりしれない。最近は「冤罪」事件が増加してい  る事を考えれば、過去にどれだけこの恐怖を味わい人生を棒に振った人々がいた  事か。そう考えれば犯人扱いされ続けたにも拘わらず、謝罪を受け入れるという  態度に出た河野氏(ここでは神部氏)の行動がどれほど寛大なものであるかがわ  かる。  ここでは敢えてドキュメンタリー的手法だけで片付けず、高校生の意見や目を通  して事件の検証をしていく、ディベート形式を採用している点がいい。彼等の目  は時に一般の目であり、時に何者にも束縛されない意見として重要だからだ。今  後の報道を背負う事になるかもしれない彼等に未来を託したような気もする。  監督は、その第1回作品『帝銀事件・死刑囚』でも捜査や報道のあり方を問い掛  けながら、世論の「犯人」である事への「期待」の怖さをも取り上げている。余  裕のある方はこちらも対比して御覧になる事をお薦めします。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   Pubzine (http://www.pubzine.com/detail.asp?id=1547)   Melma     (http://www.melma.com/mag/31/m00000031/)   マッキー!  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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □ベルリン国際映画祭情報5   □ローサのぬくもり   □星降る夜のリストランテ   □ユリョン   □日本映画名作特選:二十四の瞳 >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆ベルリン国際映画祭情報5☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ コンペティション部門から、話題となった3作を紹介する。 □「ショコラ」(ラッセ・ハルストレム監督、米)  昨年の「サイダー・ハウス・ルールズ」に続きハルストレム監督が放つ新作は、  今回も監督のあたたかなまなざしを感じられる秀作だ。  フランスの山間の保守的な田舎町にやっきたVianne(ジュリエット・ビノシュ)  と娘(「ポネット」のヴィクワール・ティヴィソン。可愛さはポネットちゃんそ  のまま!)が主人公。Vianneはチョコレート店をオープンするが、最初はなかな  か村人に受け入れてもらえない。しかし明るくおおらか、そしてどこか神秘的な  彼女の魅力で、彼女はだんだん村にはなくてはならない存在となってゆく。  個人的には以前は「なんでこんなにいい女の役がビノシュにくるのか?」と不思  議だった。しかし「イングリッシュ・ペイシェント」の看護婦ハナ同様、内面か  らにじみ出る生のエネルギーを内に秘めた女性であるこのVianneを、生き生きと  演じているビノシュは本当に美しい。彼女のパンチの感じられる陽性の魅力と、  少々エスニックな味付けがされた物語は、監督の暖色を多用した軟らかな映像と  ともにより膨らみを増し、誰もが微笑んでしまう幸せな作品となっている。上映  後の拍手は長く大きなものだった。  少々ミーハーな余談だが、ジプシー役で登場のジョニー・デップは今回もかなり  おいしい役どころ。ベネチア映画祭情報で紹介したサリー・ポッターの新作「The  Man Who Cried」の白馬に乗った影のあるジプシー役もファンにはたまらないはず  だが、今回も彼のファンなら唸ってしまうこと間違いなし。 □Iterian For Beginners(初心者のためイタリア語)(Lone Scherfig監督、デンマーク)  ドグマ映画の新作、且つドグマ初の女性監督作品であったため、注目度高い作品  であり、記者会見にはデンマークからのメディアの参加が多かったのが目につい  た。  デンマークの郊外の町にある教会に赴任してきた若い司祭は、教会のアシスタン  トにイタリア語初級レッスンに参加することを勧められる。彼を含めレッスンに  集まった6人の男女の人間模様・恋愛ひきこもごもを微笑ましいタッチで描いた  作品である。  くすっと笑えるシーンが沢山出てくる、小粋なコメディだ。ウィットやちょっと  した冗談がそこここにちりばめられているが、人の生活が簡単にはままならない  ことを語る話も含まれており、だからこそただのお気楽コメディになっていない  味わいがある。ただ、「ドグマ映画」として期待してみると、ハンディ・カメラ  の長所を生かした映像を楽しめる作品というわけではないので、ちょっと意外か  もしれない。 □Joint Security Area (Park Chan Wood監督、韓国)  1963年生まれのPark監督の3本目の監督作であり、昨年度の韓国映画賞を多数獲得  した作品。ベルリンでの評判はすごぶるよく、上映翌日、新聞やラジオ等で早速  ポジティブな内容の批評が紹介された。  私自身、見る前はこの作品に全く期待しておらず、次回上映までの「つなぎ」と  して途中退場するくらいの気持ちだったのが、ストーリーの面白さに吸い込ま  れ、最後まで席を後にすることができなかった。  韓国と北朝鮮の国境を警備する南北両側の兵士を主人公にした物語。軍事国境線  で二人の北朝鮮軍人の死体と、負傷した南北一人づつの負傷兵が発見される。南  北の仲介に入るべく、中立監督委員会から派遣されたスイス生まれ・韓国人の父  をもつソフィーは、現地に赴き調査をはじめる。ソフィーの目を通し、事件は少  しづつ明るみになってくる…。  南北の問題をダイレクトに見つめた作品であり、この問題についての基礎知識が  ある日本人には余計興味深い。互いの見解の違いを超えた「人」としての交流を  描いた部分と、悲惨な結末へ向かうやるせなさとが、分かりやすく描かれた肉厚  なドラマだ。  南北朝鮮半島問題を身近に感じていないヨーロッパ人には、歴史と事実を知る意  味でも興味深い映画であったようだ。「シェリ」以来韓国映画が注目されている  日本では、必ずや公開されるであろう。                                 hana __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆ローサのぬくもり☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Solas     1999年/スペイン/98min/カラー/ヴィスタ     監督・脚本:ベニト ・サンブラノ     出演:アナ ・フェルナンデス、マリア・ガリアナ、        カルロス・アルバレス=ノボア     http://www.alcine-terran.com     1999年ベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞、     2000年ゴヤ賞(新人女優、新人男優、監督、助演女優)     3月17日(土)よりシネ・ラセットにて公開  ローサは夫の入院で娘の住む都会にやってくる。そこで彼女の目にしたのは、酒  に溺れ生活に疲れている娘マリアだった。階下の犬と暮らす孤独な老人を偶然世  話した事から、ローサは夫の退院の日まで彼との交流を持つ。長年、暴力的で嫉  妬深い夫との生活に耐えてきた毋を軽蔑してきたマリアだが・・・。  ガリガリに痩せてすさんだ生活をしているマリアと、長年暴君の夫に仕えた忍耐  強い毋のふくよかな体型。実際の母親がどんな体型であれ、幼い頃の毋の思い出  はどこか柔らかく温かい。優しく、時に強く・・そんな毋親像がローサには全て  備わっていて、見る者に懐かしさと安堵感を感じさせる。  暴力的な家庭に育つと、またその不幸を繰り返しやすいのだそうだ。マリアの場  合もギャンブルと酒と暴力の父を軽蔑しつつも、同じような生活をいつしか辿っ  てしまっている。彼女の人間の基準は、他人を殴らない人イコールいい人なの  だ。娘にマイナスな要素ばかりを遺伝させた父に対し、ローサはマリアの隣人で  ある老人との関わりというタネを撒いて、娘に希望の芽を残していった。  この隣人がいい(カルロス・アルバレス=ノボアは映画初出演と思えない貫  禄!)。オーストリア人という事もあってか、どこか疎外感が抜けない老人はア  キレス(その名演技は一見に値する)というシェパードと住んでいる。優しい  ローサに心惹かれるこの老人は夫にない優しさ、素直さを持っていてローサも心  和む。しかし夫は何故か犬並の嗅覚を持ち、ローサが誰か「男」と会ってきた事  を見破る。ほんと、嫌な奴。しかし・・「俺は男として立派か?」こう妻に確認  するのは自信のない証拠だろうか?  「夜が明ける。又1日神様が授けてくださった」・・マリアと徹夜の話し合いの  後、老人が呟く台詞。毎日が当たり前のように過ぎると思い込んでいる我々が、  立ち止まって考えなくてはいけないと感じさせてくれる言葉だ。生前、淀川長治  氏がよく「わたしね、明日死ぬの。今日は今日しかないの。だから皆に会えて本  当によかった」と講演の度に仰っていたのをふと思い出した。  毋の撒いた愛がラストに実を結ぶ。まさにローサ(薔薇)が開花した瞬間だっ  た。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆星降る夜のリストランテ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     La cena     1998年/イタリア、フランス/108min/カラー/シネマスコープ     監督・脚本:エットーレ ・スコラ     出演:ファニー ・アルダン、マリー・ジラン、        ジャンカルロ・ジャンニーニ     http://www.alcine-terran.com     1999年モントリオール国際映画祭特別グランプリ     3月17日(土)よりシネマ・カリテにて公開  「アルトゥーロの店」は今日も厨房の仕込みに忙しい。夕暮れからは常連の教授  や予約の客で一杯になる。今夜はオーナーの姪の誕生パーティや、舞台俳優、複  雑な男性関係を精算しようとする女性、再婚した父と再会する子供達等だ。韓国  人一家もいれば、孤独な会計士、謎のキャリアウーマンなど一人で来る人もい  る。各テーブルにそれぞれの話題が進行しながら、閉店時間を迎える・・。  レストランを舞台にした作品は沢山あるが、テーブル毎のオムニバス的形式をと  りながら時間はコースと共に進行していく、という舞台のような演出である。  従ってありがちな、各登場人物の回想シーンで彼等の話題を繋げる事なくダイア  ローグだけで、観客である我々が想像して補っていく。13ものテーブルの事情を  カメラの位置をずらす事で繋げていき、更に厨房の中の人間関係をも見せる。  各テーブルでの人間模様は特に珍しいものではない。不倫を重ねる教授と女学生  のすれ違いであったり、修道院に入る決意をした娘を受け入れられない派手な毋  であったり。だが、各エピソードや台詞の中にイタリア的な部分が見られるのが  とても興味深い。2組の夫婦の話題は経済から政治に及ぶが実のところ「税金な  んて皆が払わないから強制されたくない」し、5角関係!の女性は精算するどこ  ろか彼女を中心に男4人が結託してしまう。マザコンの息子は毋に頭が上がらな  いし、オドオドした会計士は実はカツラだ。  海外旅行での注意に「男性と目があって、その後女性がトイレに立つと誘いに  乗ったと思われる」というのがあったけど、ここではそれにひっかかったプレイ  ボーイが痛い目に遭うという女性からみると痛快な場面もあった。「水がうま  いって客が言ってる」、シェフを怒らせるのが巧い?給仕係の軽口も笑える。  「食事を見ると胃より心の状態がわかる」そうだが、中に羊の脳みそのフライな  どちょっと珍しいメニューも見られ、グルメな観客も満足するだろう。酔客の幻  想ともとれるちょっぴり可愛いマジックも利いて、お腹を満たした幸福感と  「ちょっといい話」を耳にしたようないい気分で劇場を後に出来ます。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆ユリョン☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     ★★☆☆☆     1999/韓国/103分     監督:ミン・ビョンチョン     出演:チェ・ミンス/チョン・ウソン/ソル・ギョング     2000年大鐘賞(韓国映画アカデミー賞)6部門  作戦名『ユリョン』(幽霊)に強制的に参加させられた、過去を消された男達。  彼らが原子力潜水艦の本当の目的を知る時、国家と命の矛盾に葛藤しつつ選択す  る行動は・・・。果たして潜水艦に核ミサイルは搭載されているのか・・・。  自然災害とゴジラを除いた、映画至上最大の日本国危機です。潜水艦のミサイル  は東京、大阪など主要都市に狙いをつけ、鍵を回すだけで発射される状態に陥  る。  この映画、映画としては恐怖心をあまり感じないにしても、想像すればするほど  現実的な恐怖を感じる。この映画が実話になったとしよう。北朝鮮の潜水艦が日  本海で攻撃を仕掛ける。その攻撃で日本の自衛隊(という名の軍隊?)の潜水艦  を破壊してしまう。政府はどうするのだろうか?自衛隊は即座に反撃するだろう  か?  おそらく潜水艦の国籍を特定はできないにしても、アメリカと相談しながら北朝  鮮の物と判断するに違いない。北朝鮮に抗議を表明、「潜水艦は本国のものでは  ない」とシラを切られたら?おそらく現実的に日本には有事の際の明確な対応方  針すらないだろう。攻撃されても反撃すら躊躇し、目の前の危機そっちのけで政  治家は過去の戦争に言及し、無駄死にする日本人の構図が想像できる。  諸々な意味で迫力は十分だ。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆日本映画名作特選:二十四の瞳☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     1954/松竹/155分/白黒     監督・脚本:木下恵介     原作:壷井栄     出演:高峰秀子、笠智衆、田村高廣、月丘夢路、小林トシ子、浦辺粂子、        夏川静江、清川虹子、浪花千栄子  映画館でのリバイバル上映、またビデオ、DVDや衛星テレビ等で観る事が可能な過  去の作品群。現在に至っても影響を及ぼし続けているそれらの作品を、邦洋の東  西を問わずご紹介しているが、今回は、日本映画名作特選の5回目として、松竹  の名作中の名作『二十四の瞳』を取り上げる。  大監督小津安二郎や吉村公三郎、また今作の木下恵介を代表に、叙情溢れる作品  が特徴の松竹。派手なアクションや立ち回りも面白いが、たまには心で見る映画  もいい。以下、内容紹介。  小豆島の分教場に赴任して来た若き教師大石久子(高峰)。自転車で通勤し、和  服でなく洋服を着るハイカラな大石先生は、島の人から白い目で見られる。そん  な大石先生の支えは、12人の1年生の生徒たちだった。彼等の関係は、教師と生  徒を越えて親子のような間柄になる。  昭和3年から21年までの18年間の大石先生と“二十四の瞳”である生徒たちの変  化する様を、時代と照らし合わせて描いた作品。平和な時代から太平洋戦争への  突入、そして終戦という目まぐるしく変化する激動の時代と、いつになっても変  わらぬ小豆島の美しい絵画的風景が、対称的に描かれていたのが非常に印象的。  若かりし20代から40代までを演じた名女優高峰秀子が抜群に巧い。素晴らしい演  技だけでなく、特に20代を演じた時は大変かわいらしく、また美しくもあった。  彼女は、今作以外にも『カルメン故郷に帰る』、『稲妻』、『浮雲』、『無法松  の一生』などの名作に出演、50年代を代表する女優となった。  今作で名演出をした監督の木下恵介は、日本映画初のカラー作品『カルメン故郷  に帰る』を監督した事で知られる。代表作と言えば、前述の『カルメン〜』と今  作『二十四の瞳』だが、他にも『日本の悲劇』、『野菊の如き君なりき』、『喜  びも悲しみも幾歳月』などの名作を作った。  今作は、あまりにも有名な壷井栄の同名小説が基になっているが、現在頻繁に取  り沙汰されている、学校のありよう、生徒と教師、教育についてなどの答えが隠  されてる映画と思う。我が子のように生徒を思い遣り、病床には見舞いに行った  り、友達のように手紙のやり取りをして常に連絡を取り合ったり、また、悩みあ  る時は互いの心情を吐露し合うといった箇所に、見出す事が出来る。  だが、こういう良き題材に出会っても、時代が違うとか地方という人口の少ない  場所だからなど言い訳のように思う人もいるだろう。しかし、時代や場所は違っ  ても、1つだけ変わらないものがある。教師と生徒という構図である。教師なら  教育者であるという自覚を持ち、自らの知識や経験を生かし、生徒が誤った方向  に行きかけた時や答えを見出せずにいる時に、親身になって正しい方向へ導き出  すべきと思う。  人間、自分の声を他人に聞いてもらいたいという意識がある。特に、悩んでる時  はその意識が格別に大きくなる。夫婦や恋人、友達、家族すべてにおいてもそう  だが、必要な時に、もしくは必要とされる時に、近くに居て話し相手になってあ  げる事が大切である。成熟過程にある子供に対し、大人が手を差し伸べないで誰  がやるのか。種々の問題に対する、解決への糸口を今作から見つけ出して欲しい  と思う。  最後に、『二十四の瞳』から離れ日本映画について述べる。興行面で洋画に大き  く水を空けられ、惨敗の続く日本映画界だが、過去には多くの人々に感動を与え  たり世界を驚嘆させた映画が数多くあった。全盛期の撮影所は、名優、名監督に  溢れ、活気みなぎるハリウッドのような雰囲気であったという。第219号から5回  にわたりご紹介してきた日本映画名作特選。映画界と観客が一緒になって映画を  楽しんでいた時代の作品を取り上げたが、日本映画への偏見に対し、少しでも意  識改革が出来ればという願いからご紹介してきた。つまらないという固定観念の  前に、先ず見てみる事が大事と思う。映画から、恋愛、仕事、家庭などの人生に  おける答えを見出した方は多いと思う。影響を受けるのは洋画だけではない。日  本人が描いた日本映画の中にこそ、我々日本人の心が描かれているのではないだ  ろうか。                                 吉田 浩二 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   Pubzine (http://www.pubzine.com/detail.asp?id=1547)   Melma     (http://www.melma.com/mag/31/m00000031/)   マッキー!  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ScreenKiss Vol.224

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □ハリウッド映画新作情報:天使がくれた時間(仮題)   □フィツカラルド   □キャスト・アウェイ   □日本映画名作特選:ニッポン無責任時代   □日本映画名作特選:地獄門 >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆ハリウッド映画新作情報:天使がくれた時間(仮題)☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     The Family Man     ★★★☆☆     2000/アメリカ(日本4月公開予定)     監督:ブレット・ラトナー     出演:ニコラス・ケイジ、ティア・レオーニ  マンハッタンのペントハウスに暮らす、独身貴族のジャック。何不自由なく暮ら  してきた彼に唯一欠けているのは、クリスマスを共に過ごす愛する人。クリスマ  スイブの夜、たまたま助けてやった黒人の青年に『足りないもの』をプレゼント  すると言われた彼、翌朝目覚めると彼は、昔本気で愛した女性とともに家庭を築  いていたのだが…。  もはやアメリカン・コメディの定番となった『もし〇〇だったら』ネタ、古くは  『ペギー・スーの結婚』や『ミスター・ディスティニー』最近では『悪いことし  ましょ!』『ハート・オブ・ウーマン』などがあるが、どれもそこそこにヒット  するのはやはり人間ってものは常にないものねだりで、思うようにいかないから  面白い、という普遍性があるからなんでしょうか。  独身男とパパさんのファッションや暮らし振りの違いもリアルで笑える。車は  フェラーリからワゴンへ、ブランドスーツからスェットと皮ジャン姿に。下着ま  で黒のビキニ(けっこうキツイです。)からよれよれの柄トランクスになってい  る芸の細かさ。こうしてみると男も女も結婚してから自分の価値観守るのって難  しいのかもしれないですね。  ブラント指向で独身主義、仕事一筋の男性がある日家庭人に…。日本映画で作っ  ても案外面白い作品になりそうですよね。  それにしても最近ではすっかり炎をバックに叫んでいる、アクション俳優のイ  メージになってしまったケイジだが、個人的には『月の輝く夜に』など、コメ  ディの方が彼には似合っている気がするんですね。とりわけ男前でもないです  し。                                 MS.QT.MAI __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆フィツカラルド☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Fitzcarraldo     ★★★★★     1982/ドイツ/157min/1:1.85     監督:ヴェルナー・ヘルツォーク     撮影:トーマス・マオホ     音楽:ポポル・ヴー     出演:クラウス・キンスキー、クラウディア・カルディナーレ、        ホセ・レーゴイ  アマゾンの奥地に位置するペルーの町、イキトス。自分が住むこの地にオペラハ  ウスを建て、上演する夢を抱く一人の男、フィツカラルド。ある日彼は、大好き  なカルーソーのオペラを聞くため、はるばるブラジルのマナウスへ出向く。その  上演に狂喜した彼は、ついに夢を実行に移すべく、オペラハウス建設の資金を捻  出するため、ゴム園を開くという計画を立てる。そして船を購入し、その目的地  に向かうのだが・・・・・。  この作品の主役にも、やはりこの人クラウス・キンスキー。オペラを上演すると  いう夢を狂信的とも言える行動で実現させようとする、そんな男をまさに神懸か  り的に演じようにも、この人を置いて他には存在せず。「アギーレ・神の怒り」  での彼の演技が動的であるとすれば、本作ではある意味において静的とも感じら  れる。だが、演じている主人公の本質は全く同じであり、「アギーレ・神の怒  り」との共通性がこの点、それ以外でも多々感じられる。  船が進んで行くと、やがて聞こえ始める、原住民の叫ぶ威嚇と共に鳴り響く太鼓  の音。その恐怖をかき消そうとするが為に、フィツカラルドが蓄音機から流し出  すカルーソーの美しい音色。すると突然、太鼓の音がピタっと止む。アマゾンに  悠然とカルーソーが流れていく・・・・・。  圧巻は、山越えをすべく徐々に上へと上がっていく巨大な船。その光景は何とも  異質であり、それがゆえに、凄いの一言しか出てこない。そしてラストでは、ア  マゾンの大自然をバックに、船上でオペラが上演され、それを岸で住民が歓喜で  見つめる。その光景を船上で眺め、満足そうに葉巻をくわえ我に浸るフィツカラ  ルド。まさしく、この作品のパワーがここに向かって集約されていると言っても  過言ではない、強烈であり素晴らしいラスト。  映像と音楽、そしてキンスキーが導く、孤高なるヴェルナー・イリュージョン、  ここに在り!!                                   ユタカ __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆キャスト・アウェイ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     CAST AWAY     ★★★★☆     2000/アメリカ/144分     監督:ロバート・ゼメキス     出演:トム・ハンクス、ヘレン・ハント  原題は漂流するという意味で、He was cast away on an island.てな感じに使  う。  映画は飛行機の墜落で1人漂流して、無人島に流れついたチャック(T・ハンク  ス)が4年を過ごし、脱出に成功する話。主題は、生還して4年前を取り戻せる  のかという点。凝縮されたアイデアと年月の過ぎ去り方が面白い。  さて、映画の評価に関して、無人島という設定がたまらなく好きな私が冷静に評  価できるとは思えないが、「楽しめる」点では満点を付けたいくらい。しかし、  生還した後のストーリといい、初めっから最後まで「これはFedExの宣伝か?」と  も思えるほど、徹底したイメージが鼻に付く。映画に随分協力したのか、お金を  出したのか、もちろん映画を見た人には理解できるだろうが、あれを『届ける』  事が無人島で生きていく1つのmotivationだったと考えられる。  でも恋人以上に理由が必要なのか? それにしても生死をかけている状況で、箱の  中身を確かめないなんてことがあるか? たとえ箱の中身は「documents」と書い  てあっても、他の何かを一緒に入れている可能性があることはこの業界の常識  で、開けて確かめないなんてことが考えられないよ。この映画のそのあたりがダ  メ。でも、そんな実状を知らない人にはすんなり受けとめられるだろうから、そ  の点も考慮して★をつけました。輸送の業界にいると分かる、『UPS』の名前をつ  かったジョークが身にしみる。  オープニングのモスクワのシーンでは、「ER」を思い出すようなカメラワークで  患者やレジデントの代わりにパーセルやカーゴマンを追いかけていく。迫力ある  よね。  チャック(T・ハンクス)が乗りこむ飛行機は乗客には馴染みのないfreighterと  言われる荷物専用機で、しかもFedExの自社機。映画の通りパイロット以外にも数  人が座れる座席がついていて、実際に会社の出張時はそこを使用するらしい。ま  た、噂によると顧客用に無料で提供されるらしい。今まで映像では見たことがな  かった私も、よーく状況が分かって興味深い。  しかし、映画至上最も恐怖を感じた墜落シーンには呆然とした。T・ハンクスの表  情の演技が上手だからこそ感じる恐怖でした。続く嵐のシーンでは、記憶に新し  い「パーフェクト・ストーム」以上の水の恐怖が迫る。楽しめます。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆日本映画名作特選:ニッポン無責任時代☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     1962/東宝/86分/カラー     監督:古沢憲吾     出演:植木等、ハナ肇、谷啓、重山規子、中島そのみ、団令子、        松村達雄  映画館でのリバイバル上映、またビデオ、DVDや衛星テレビ等で観る事が可能な過  去の作品群。現在に至っても影響を及ぼし続けているそれらの作品を、邦洋の東  西を問わずご紹介しているが、今回は、第219号に続く日本映画名作特選の2回目  として東宝の作品をお伝えする。  東宝と言えば黒澤明&三船敏郎コンビによる傑作時代劇群が有名だが、様々な現  代喜劇を連作した事でも知られている。「社長シリーズ」「駅前シリーズ」「無  責任シリーズ」などがそれである。その中でも、「無責任シリーズ」は高度経済  成長の中におけるサラリーマンを風刺したものとして公開当時大ヒットを記録。  全4作製作されたが、こと第1作は大島渚監督も絶賛するほどの誉れの高さ。今  回は、そのシリーズ第1作目にあたる『ニッポン無責任時代』をご紹介する。主  演の植木等の無責任ぶりが全開! 以下、内容紹介。  平均(たいらひとし)というとぼけた男が、洋酒会社にもぐり込み正社員として  採用される。上司からは嫌われるが社長の信頼を得る事になり、アレコレ手を下  しあっさり役員に昇格。外部からの圧力による社長交代劇の時もうまく世渡り  し、さらに昇進。あまりの昇進ぶりに、元上司との間に上下の立場を逆転させて  しまう。しかし、新社長の策略に遭い会社を辞めるはめになる。だが1年  後・・・・。  無責任の上に荒唐無稽なストーリー。バカ映画になりそうな題材だが、主演であ  る植木等の魅力が作品の格上げに大いに貢献している。植木等による植木等の為  の映画といってもいい内容。劇中、植木により披露される「スーダラ節」や♪サ  ラリーマンは〜、で始まる有名な歌の数々も作品にマッチし効果を挙げている。  近年、一般的評価の高いバカ映画の『オースティン・パワーズ』や現在公開中の  『ギャラクシークエスト』などを好まれる方は、今作『ニッポン無責任時代』を  大いに気に入るのではないかという感想を持つ。ファッション性やアート性とい  う半ば表面的な部分ばかりが目立つ近年の作品には見られない、世相を反映させ  且つ現実社会を笑ってみせたという点において、今作は風刺映画として、より一  層の奥行きを感じる。とにかく一見の価値あり。                                 吉田 浩二 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆日本映画名作特選:地獄門☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     地獄門     1953/大映/88分/カラー     製作:永田雅一     監督・脚本:衣笠貞之助     原作:菊池寛     出演:長谷川一夫、京マチ子、山形勲     1954年アカデミー衣装デザイン賞、外国語映画賞     1954年カンヌ映画祭グランプリ  映画館でのリバイバル上映、またビデオ、DVDや衛星テレビ等で観る事が可能な過  去の作品群。現在に至っても影響を及ぼし続けているそれらの作品を、邦洋の東  西を問わずご紹介しているが、今回は、日本映画名作特選の3回目として大映の  作品をご紹介する。  大映は、小説家菊池寛が社長を務めた事でも知られる。その菊池寛のもとで育っ  た永田雅一が、1947年に社長に就任した後の大映はめざましく、海外映画祭で  数々の賞を受賞した。今回ご紹介する『地獄門』もその例に漏れることなく、ア  カデミー外国語映画賞とカンヌ映画祭グランプリのダブル受賞という偉業を達成  した。以下、内容紹介する。  時は平安時代。平家と源氏の2者が争う平治の乱の最中に出会った盛遠(長谷  川)と袈裟(京)。盛遠は袈裟の美しさに惹かれ激しい恋心を抱く。戦において  武勇に秀でた盛遠は、平清盛から恩賞を授かる事になる。希望を申せと言う清盛  に、盛遠はためらいもなく袈裟という女性を妻にめとりたいと申し出る。しか  し、この盛遠の願いは叶わなかった。袈裟は人妻であったのだ。諦めきれない盛  遠は、執拗に袈裟に迫る。彼の目に余る行動が袈裟の夫(山形)の目にとまり、  盛遠と袈裟の夫の2者の間で確執が起こる。  平家と源氏が対立する時代背景の中に、双方平家に仕える男たちの間の対立を描  いた点は面白い。源氏に寝返る兄と平家を守り抜く弟の対象を絡めていたのもよ  い。また、夫婦間の信頼関係というのを浮き彫りにしてみせた点などは、現代人  にも相通じる事柄として考えさせられる。  今作は、海外映画祭で賞を受賞したという事以外にも、イーストマン・カラーを  使用した最初の作品としても知られる。そのカラー映像の中に、平安時代という  絢爛たる様式美を表出させたのは画伯の和田三造で、見事アカデミー衣装デザイ  ン賞を受賞した。  原作は菊池寛の「袈裟の良人」。これを脚色した監督の衣笠貞之助は、戦前から  映画界で活躍。始めは女形俳優として映画界入りしている。女形とは(オヤマ)  と言い、いわゆる女を演じること。日本映画草創期は、歌舞伎のように男だけが  役者だったのだ。後に監督に転身してからは、先駆的な芸術作品を作った事でも  知られる。戦前の日本映画史には必ず名前が出て来るほどの人物。  出演の長谷川一夫は、林長ニ郎の名でデビュー。二枚目俳優の代名詞的存在。戦  前、映画会社の所属を変えた時に暴漢に襲われ顔に傷を受ける。その時、真っ先  に鏡を取り、傷の様子を確認したという。病院へ行こうと慌てふためく周囲の人  に、「俳優は顔が命」と言い放ったというエピソードを有名。  共演者の京マチ子は、“世界のマチ子”として絶大なる地位を確立。出演作が海  外映画祭で受賞しまくりという無敵ぶり。1950年『羅生門』、53『雨月物語』、  それと今作の『地獄門』と続いた快進撃は他の俳優には見られない。  ある意味、この時期が最も大映に勢いがあった時。勝新太郎や市川雷蔵、若尾文  子といった俳優陣や増村保造、新藤兼人といった監督が60年代になって活躍する  が、日本映画史上に輝く名作を連発したという意味で述べた。  4回目となる次回は、東映の作品をご紹介する。                                 吉田 浩二 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   Pubzine (http://www.pubzine.com/detail.asp?id=1547)   Melma     (http://www.melma.com/mag/31/m00000031/)   マッキー!  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ScreenKiss Vol.223

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □処刑人   □見い出された時   □ユリョン   □ラウル・ルイス監督記者会見   □NEXTFRAME2001 Cプログラム >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< {magclick} >>☆1☆処刑人☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     THE BOONDOCK SAINTS     ★★☆☆☆     1999/アメリカ・カナダ/110分     監督:トロイ・ダフィー     出演:ウィレム・デフォー、ノーマン・リーダス、        ショーン・P・プラナリー  舞台はボストン。Irishのお祭り、St. Patrick Day。教会ミサから映画は始ま  る。2人の男は『公平』と『心理』の文字がそれぞれの手首に刻まれ、首筋にマ  リア様のタトゥー。啓示でも受けたように、悪を抹殺するべく立ち上がる。そこ  へ事件の奥深さを感じたFBIのポール・スメッカーが事件を鋭く調査し始める  が・・・。  どんな話でもすごくオーバーに演出されたら、その映画はコメディーになるで  しょ。この暴力映画もそんな感じで、視線の向きを変えれば単なるコメディーだ  よね。コメディーと言ってもさ、セリフが笑えるなんてことはなくって、退屈な  んだよね。タランティーノばりの銃撃シーンと、ヘルツォーク監督映画のような  狂った演技、ガイ・リッチー監督的な編集のお遊び、そんなものがごちゃまぜに  なってる作品だよ。ただ、どれを取ってもできの悪い作品。  スメッカーは殺人事件の現場でディスクマンのスイッチをいれて、オペラを聞き  ながら指揮でもするように現場検証を進めるけど、この滑稽さはたしかに笑え  る。もろに男らしい彼の女装姿とか、しかもストッキングの股をおっぴろげて男  を誘うもんだからおかしいよ。ここまで役者って自分を捨てられるもんかね?あ  れ、もしかして本物のゲイ? 彼が狂ったように事件の経緯を思い描くところなん  て、もうアホらしくってたまらん。そのアホらしさがこの映画の魅力になるんだ  けどね、残念なのはそれだけだってことかな。  町の人に彼らの行動に関してインタビューしながら終わるこの映画は、確かに思  想的には危険かもね。言葉の暴力もきっつい。それでも、PG-12指定で上映するほ  どのもの? 映論も検閲をしているわけだから、その内容や基準を明確に積極的に  公開しないとダメ。検閲している人って誰がどういう教育を受けて検閲している  のさ? HOME PAGEでも作ってさ、どこがどうして引っ掛かったのか全部説明した  ら? そしたら検閲している人の公平さが見えるでしょ。『公平』と『心理』って  いう言葉を思いだそうよ。せっかく人間正直に生きようってこの映画が教えてい  るんだからさ。どこが悪いのかきっちり説明しないのは「臭い物に蓋を」の誰で  も分かる危険思想でしょう。  ちなみに「検閲する人」になるには、どうすればいいの? 結構うらやましい職業  だと思っている人多いでしょ。僕は遠慮するけどね。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ {magclick} >>☆2☆見い出された時☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     LE TEMPS RETROUVE     1998年/フランス・ポルトガル・イタリア/163min/カラー/ビスタ     監督・脚本:ラウル ・ルイス     出演:カトリーヌ ・ドヌーヴ、エマニュエル・ベアール、        ヴァンサン・ペレーズ、マリ=フランス・ビジェ、        パスカル・グレゴリー、キアラ・マストロヤンニ     3月3日(土)〜シャンテシネで公開  病の床につく晩年のプルースト。裕福なブルジョアの一人息子だった彼は、その  思い出を女中に口述筆記している。ジルベルトとの初恋、美しいその毋オデッ  ト。嘗ての恋人アルベルチーヌ。ジルベルトの夫、サン・ルーの愛人遍歴とその  死。サン・ルーの愛人で音楽家のモレル・・・プルーストの頭に様々な場面が去  来する・・・。  今、フランスやイギリスではちょっとしたプルーストブームなのだそうだ。英国  ではこの冬猛威を振ったインフルエンザのお陰?もあって、寝込んだついでに大  作に挑戦する人が多かったとか。CD-ROMからコミックまで登場している。  名作、特に大作となるとちょっと手をつけるに勇気がいる。が、映画となれば  たった数時間シートに座るだけでこうした作品に触れる事が出来るわけだから、  こんなお気軽な文学体験はない。特に今回は原作に忠実というから、益々楽が出  来る訳だ。実際、想像していた以上に面白かった。その複雑な人間関係もチラシ  の相関図を頭に入れておけば比較的判りやすいし、登場人物も曲者だらけで実に  人間的だ。  貴族社会のお話と言えばヴィスコンティ。衣装のきらびやかさ等はどっこいの感  じだが、自身が貴族という重みで軋んでいた彼に比べ、この作品ではどこか客観  的な視線を感じる。特に何でもありの恋愛の世界もさほど奇異にも感じないのは  こんなところにあるのかもしれない。  プルーストの回想を繋ぐのが、感覚的なもの・・音の響きやタオルの感触・・で  ある点や、シルクハットの底に仕込まれたミラーや、手鏡、あるいは覗き窓な  ど、そこここに仕掛けた光が、観客を彼の感覚に取り込んでしまう。そこでラス  トの「マドレーヌの味を思い出した途端、死の恐怖から解放された」という彼の  一言が利いてくるのだ。  プルーストの歩くシャンゼリゼはどこかキリコの絵のような不安感があり、不安  な気持ちで病床にある現実のプルーストは逆光で顔が暗いが、側の女中の背後に  はドアの形に切り取られた真っ青な空がある。これが、まるでマグリットの絵画  を彷佛させるような青さなのだ。彼の心象風景と絵画的効果は場面毎に謎ときを  するような面白さがある。シンボリックに挿入されるヴィーナス像探しも楽し  い。  それにしてもこの季節、冒頭でプルーストが花粉に弱いらしい事を発見して、つ  い親しみを感じてしまった私でした。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ {magclick} >>☆3☆ユリョン☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Phantom The Submarine(英題)     1999年/韓国/103min/カラー/ビスタ     監督・脚本:ミン ・ビョンチョン     出演:チェ ・ミンス、チョン・ウソン、ソル・ギョング     http://www.nifty.com/yuryong/     2000年大鐘賞(韓国アカデミー賞)         6部門(主演男優、新人監督、照明、編集等)     3月3日(土)より渋谷シネパレス他にて公開  演習と実戦を混同した艦長を殺害した罪で銃殺されたイ・チャンソク。目が覚め  るた時、彼は431というコードネームだけを持ち「幽霊(ユリョン)」と呼ばれる  原子力潜水艦乗組員だった。乗組員は全員過去を抹消された男ばかり。核ミサイ  ルの標的は日本。間もなく艦長が殺害され、犯人の副艦長202が指揮を取る。あく  までミサイル発射にこだわる彼に断固反対した431は・・。  大惨事となったクルクス、そして今回のえひめ丸。潜水艦の事故って結構身  近・・と思っていた処へこんな映画。まさに水面下の恐怖。こ〜んな近場の深海  で「有り得そうな事」だけに、日本人の私としては、結構ハラハラしてしまいま  した。これが、遠いアメリカなんぞで見る人々は皮膚感覚的な違いがあるのでは  ないだろうか。  潜水艦ものと言えば『Uボ−ト』『クリムゾン・タイド』古くは『イエローサブマ  リン』?まで様々だが、一様に「密室」が人間を狂わせるようだ。しかし、ここ  でのクーデターを起こした202は冷静だ。しかも431が言うところの「教祖様」的  カリスマ性を持つ。「正義」で突進する431より魅力的な位だ(演じるチェ・ミン  スは韓国でも長年の人気俳優だそうだが、知的でセクシーだ)。  そして、過激な愛国者である彼の発言にも一理ある。韓国の歴史を踏みにじった  アメリカや日本に敵意と怒りを抱いているのだ。だが、愛する祖国から裏切られ  た時、彼が一番の犠牲者かもしれない。歴史をいう大物を相手にした彼等の闘い  だけに、アクションやサスペンスのシーンをふんだんに盛り込んだ後の結論的部  分に少しインパクトの弱さを感じた。  時々潜水艦の横をゆったりと泳ぐクジラの映像が印象的だ。彼等は頭のいい哺乳  類で、無駄な殺戮はしないという。潜水艦とほぼ同じサイズでいながら、その内  部は全く正反対の事を内包している人間とクジラ。大きな海を彼等のように摩擦  なく穏やかに棲み分けする知恵を、人間は何時になったら得られるのだろうか。  それとこの映画のもう一つの魅力は心地よい音楽。これだけでも劇場に来た甲斐  があります。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ {magclick} >>☆4☆ラウル・ルイス監督記者会見☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  ■ラウル・ルイス(Raoul Ruiz/1941〜)  チリ生まれ。15歳から戯曲を書き始め、62年迄に目標だった100作品を完成。映画  製作を開始してからは、その独創性が世界に注目されるも73年に発表した作品が  検閲で発禁処分を受けてフランスに亡命する。以来数々の作品を発表、世界各地  で多くの賞を獲得。年間3本のペースで映画製作を続けており、最新作は『Combat  dユamour en songe』。  『見い出された時』はマルセル・プルーストの大作「失われた時を求めて」の最  終篇で、彼の作品の日本初公開となる。  黒のシャツに茶のネクタイという渋いいでたち。表現豊かな手と目。シルバーヘ  アと口髭が素敵な監督は、今回が初来日。会場からの質問には真摯に答え、その  言葉の端々からその博学ぶりが伺える。  映像化不可能と言われた作品だが、かなり原作に忠実。創作部分はプルースト自  身の覚書きや草稿を元にしたり、原作の濃度を高める事によって得た。彼の作品  は幻想的な作風で知られているが、今回の作品も例外ではない。しかし、今回は  特に鏡など、プルーストの時代に使われた撮影技術なども取り入れてノスタル  ジーを感じさせるものにしたという。  映画を見ている時の人間の脳は、夢を見ている時の脳の状態と酷似しているらし  い。だから、カットも単なるストーリー繋ぎだけでなく現実や夢といった様々な  次元での機能を持つようにしたという。中でも頻繁に登場するヴィーナス像はシ  ンボル的に使用し、見ている者に様々な考えを想起させ、同時に次のシーンの繋  ぎとしての役割も果たしている。シルクハットと手袋が床一面に置かれている印  象的な場面は、夢想的であると共に当時の流行を表現し、且つ葬式をも思い出さ  せるような演出だ。  C・ドヌーヴ、J・マルコヴィッチ、エマニュエル・ベアール等豪華なキャスティ  ングだが、一人、語り手であるプルースト本人だけあまり知られていない俳優を  起用したのも、監督の狙いがあったようだ。  プルースト自身、当時有名な貴族に囲まれる生活をしており、彼等に憧れや驚き  を抱いていた。そこで、観客も昔から知っている大物俳優を配する事でプルース  トと同じようなメランコリーを感じる事が出来るのだ。実際、指名された俳優か  ら「商業的な映画でないのに何故私が?」とよく聞かれたそうだ。その度に彼は  以上のような説明をしたと言う。  アメリカの商業主義的作品が横行する昨今、彼がこの古典的でアートな作品こだ  わったのはアメリカの支配的映画製作に対抗しようという気持ちもあったから  だ。アメリカも嘗ては良質の映画を作製していた。が、優れた映画の基準がモ  ノ・・最良のモノが集まっていっれば「いい映画」と言われる・・の置かれるよ  うになってからは、ある哲学者が言うように「アメリカの映画は無意識を呼ばな  い」ものになってしまった。つまり、映画には一つの解釈しか許されなくなって  しまったのだ。  彼はチリで受けた検閲で公開禁止処分になり、その後フランスに亡命。ここで国  自体でアメリカとは距離を置いた作品づくりに協力している事を知り、フランス  で活動を始めたのだ。  監督自身はプルーストに接したのは16歳位の頃。たまたま初めて読んだのが、こ  の最終章だったという。個人で「失われた時」の全訳を刊行した鈴木道彦氏の、  この映画を原作を知らない人が見る事をどう思うかとの質問には「プルーストの  名前さえ知らない人はまず映画を見ないだろう。読んでなくてもイメージを持っ  ている人は見てから、興味が涌いて原作に挑戦するかもしれない。そしてまた映  画を見るだろう。芸術が多角的に入り込むのが映画だから、こうした相互関係が  得られるかもしれない。知らない人は理解出来ないだろう、という悲観的な見方  ばかりでなく楽観的に考えればいいと思う」との事だった。  記者会見は日仏会館、フランス人を含む関係者は仏文の先生方が一杯・・という  中(しかも「大体原作を知らない人が判るわけないですよ」と囁きあっている声  が背中に響く・・)でこの時点では映画も未見なら、原作は当然?読んでない筆  者は凄く居心地が悪かったが、監督のこの最後の言葉にとても救われた気分がし  ました。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ {magclick} >>☆5☆NEXTFRAME2001 Cプログラム☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  プログラムC(短編9本)から気になった作品を紹介します。  映画の質は学生が作ったもの、自主制作作品と考えると想像以上に凝っていて、  テクニックといい、センスといい確かに今後の作品が楽しみな監督がいる。 ■「Waking Mele」(監督:Anne Misawa)  ロケーションにこだわりを感じる。ヘアースタイルや洋服のセンスが面白いし、  劇中の写真にも凝っている。ただ、メッセージの意味が伝わらない。 ■「Challenge Cup」(監督:Arkadiusz Jakubowski)  車椅子の父。2人の息子はバイクレーサーだった父が乗っていたバイクに憧れ  る。2度とバイクに乗れない父はバイクを売りはらい、同時に2人の子供は憧れ  と遊びを失ってしまう。子供はサッカーボールに興味をもち、父のトロフィーと  交換してしまう。父のバイクに憧れて育った2人の息子が、興味の対象を変える  瞬間。そんな短い瞬間を描いた映画で、アイデアと映像、演技がスゴイ。でも8  分という短い時間ではバイクを売るまでの過程や息子達の感情が分かりにくかっ  た。後2分足して父とバイクと息子達のショットを加えてほしい。 ■「Sub !」(監督:Jesse Schmal)  舞台は噴水広場。小さな潜水艦が噴水の中から現れる。レストランで愛犬をいた  わる金満女、女をナンパするバイカー達、サッカーをするグループ、窓から声援  する博士。謎のちびっこ潜水艦の艦長の身に起こった不幸を追うアニメーショ  ン。おもしろい。笑える。アニメーションだからこそ一切説明の必要ない不思議  な世界。そこでとんでもないことが次々と起こる。明確なセリフはなく、唸り声  が感情を表し、癖のあるイラストがキャラクターの行動にマッチする。アイデア  とデザインが一致した作品。 ■「Tongues & Taxis」(監督:Michael Overbeck)  猫(?)を飼っている社会に不満だらけの男。舌を噛み切ってしまい、両腕がひ  ん曲がってしまった。腕を直しに病院に行くが、そこで医者は噛み切った舌を  誤って放射性廃棄物用の方に捨ててしまう。放射能を浴びて巨大化した舌は彼の  不満そのままで、社会を破壊していくが、飼い主に忠実な賢い猫が新型の巨大ア  イボ型タクシーを操り、舌と対決。なんていう破天荒なストーリーだろう。決し  て可愛いキャラクターデザインではないが、猫が魅力的。町の景色や、シンプル  な人物に注目したい。傑作。 ■「Vanishing Point」(監督:Jonathan Howard)  線路で撮影している不気味なカメラ小僧に恐怖を感じて逃げた女性。カバンをベ  ンチに忘れ、戻ってみるとそこには1本のフィルムが。現像して自宅で1枚1枚  見てみると、自分を追いかけているような写真が。そして、最後の1枚には、今  その写真を見ている自分が映っていて・・・。サスペンス・ホラーです。怖い、  怖い。決して何かが起こっているのではなく、その先を常に想像しながら見てし  まうから怖くなってしまう。最近頻繁にニュースになっているストーカー的な恐  怖が描かれるわけだが、写真をつかったアイデアがいい。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   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