第20回東京フィルメックス 開催決定!〈11/23(土・祝)〜12/1(日)〉

特別企画として歴代受賞作品の人気投票上映も!

2000年12月に記念すべき第1回が開催された国際映画祭「東京フィルメックス/TOKYO FILMeX」は、アジアを中心に、新進気鋭の監督たちの作品を集め、どこよりも早く、ここでしか観られない注目作品がラインナップされる唯一の国際映画祭でもあります。
そのフィルメックスが、今年も11/23(土・祝)〜12/1(日)まで有楽町朝日ホールほかにて開催されることが正式に決定致しました。記念すべき20回目を迎える今年は、特別企画として歴代受賞作品の人気投票上映を行うことも決定。特設サイトから投票を受け付ける形で、過去のコンペティション部門受賞作品を対象に、人気上位作品を上映致します。

《歴代フィルメックス受賞作品人気投票》実施概要

【投票方法・期間】 
歴代の受賞作品(コンペティション部門上映作品が対象)より、第20回東京フィルメックスにて再び上映を希望される1作品をお選びいただきます。投票方法は以下のURLより、1人1作品・1度のみ受け付けております。投票期間は8/22(木)〜9/10(火)までとなります。※上映本数については、現段階では何本上映できるか未定です。また、権利クリアや上映素材などの事情により、投票が多く集まった作品でも上映を見合わせることがございますので、予めご了承ください。

日本語版 questant.jp/q/filmex-awardedfilm     
英語版 questant.jp/q/filmex-awardedfilm-e

【対象作品】 
 (GP=最優秀作品賞、JP=審査員特別賞、SM=スペシャル・メンション、AA=観客賞、agnes b.=アニエスベー賞、SJ=学生審査員賞)

第1回GP『ふたりの人魚』(監督:ロゥ・イェ / 中国)
第1回JP『ジョメー』(監督:ハサン・イェクタパナー / イラン)
第2回GP『フラワー・アイランド』(監督:ソン・イルゴン / 韓国)
第2回JP『少年と砂漠のカフェ(映画祭題:デルバラン)』(監督:アボルファズル・ジャリリ / イラン・日本)
第3回GP『ブリスフリー・ユアーズ』(監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン / タイ)
第3回JP『右肩の天使』(監督:ジャムシャド・ウスモノフ / タジキスタン)
第3回SM『死んでもいい』(パク・ジョンピョ / 韓国)
第4回GP『香火』(監督:ニン・ハオ / 中国)
第4回JP『ハナのアフガンノート (映画祭題:ジョイ・オブ・マッドネス)』(監督:ハナ・マフマルバフ / イラン)
第5回GP『トロピカル・マラディ』(監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン / タイ)
第5回JP『亀も空を飛ぶ (映画祭題:タートルズ・キャン・フライ)』(監督:バフマン・コバディ / イラン・イラク)
第6回GP『バッシング』(監督:小林政宏 / 日本)
第6回JP『あひるを背負った少年』(監督:イン・リャン / 中国)
第6回agnes b.『SPL〈殺破狼〉』(監督:ウィルソン・イップ / 香港・韓国)
第7回GP『天国へ行くにはまず死ぬべし』(監督:ジャムシェド・ウスモノフ / タジキスタン・フランス)
第7回JP『アザー・ハーフ』(監督:イン・リャン / 中国)
第8回GP『テヒリーム』(監督:ラファエル・ナジャリ / イスラエル)
第8回JP『天使の眼、野獣の街 (映画祭題:アイ・イン・ザ・スカイ)』(監督:ヤウ・ナイホイ / 香港)
第9回GP『戦場でワルツを(映画祭題:バシールとワルツを)』(監督:アリ・ファルマン / イスラエル)
第9回JP『木のない山』(監督:ソヨン・キム / 韓国)
第9回JP『サバイバル・ソング』(監督:ユー・グァンイー / 中国)
第10回GP・agnes b.『息もできない』(監督:ヤン・イクチュン / 韓国)
第10回JP・AA『ペルシャ猫を誰も知らない』(監督:バフマン・コバディ / イラン)
第11回GP『ふゆの獣』(監督:内田伸輝 / 日本)
第11回JP『独身男』(監督:ハォ・ジェ / 中国)
第11回AA『Peace』(監督:想田和弘 / 日本)
第12回GP『オールドドッグ』(監督:ペマツェテン / 中国・チベット)
第12回JP『ムサン日記~白い犬』(監督:パク・ジョンボム / 韓国)
第12回SM『ミスター・ツリー』(監督:ハン・ジェ / 中国)
第12回SM『無人地帯』(監督:藤原敏史 / 日本)
第12回SJ『東京プレイボーイクラブ』(監督:奥田庸介 / 日本)
第13回GP『エピローグ』(監督:アミール・マノール / イスラエル)
第13回JP『記憶が私を見る』(監督:ソン・ファン / 中国)
第13回SJ『あたしは世界なんかじゃないから』(監督:高橋 泉 / 日本)
第14回GP『花咲くころ』(監督:ナナ・エクチミシヴィリ、ジーモン・グロス / グルジア・ドイツ・フランス)
第14回SP『ハーモニー・レッスン』(監督:エミール・バイガジン / カザフスタン・ドイツ・フランス)
第14回SM『カラオケ・ガール』 (監督:ウィッサラー・ウィチットワータカーン / タイ・アメリカ)
第14回SM『トーキョービッチ,アイラブユー』(監督:吉田光希 / 日本)
第14回AA『イロイロ ぬくもりの記憶』(監督:アンソニー・チェン / シンガポール)
第14回SJ『トランジット』(監督:ハンナ・エスピア / フィリピン)
第15回GP『クロコダイル』(監督:フランシス・セイビヤー・パション / フィリピン)
第15回JP・SJ『彼女のそばで』(監督:アサフ・コルマン / イスラエル)
第15回SM『シャドウデイズ』(監督:チャオ・ダーヨン / 中国)
第16回GP・SJ『タルロ』(監督:ペマツェテン / 中国)
第16回JP『ベヒモス』(監督:チャオ・リャン / 中国)
第16回SM『白い光の闇』(監督:ヴィムクティ・ジャヤスンダラ / スリランカ)
第16回SM『クズとブスとゲス』(監督:奥田庸介 / 日本)
第17回GP『よみがえりの樹』(監督:チャン・ハンイ / 中国)
第17回JP『バーニング・バード』(監督:サンジーワ・プシュパクマーラ / スリランカ・フランス)
第17回AA『私たち』(監督:ユン・ガウン / 韓国)
第17回SJ『普通の家族』(監督:エドゥアルド・ロイ・Jr / フィリピン)
第18回GP『マルリナの明日 (映画祭題:殺人者マルリナ)』(監督:モーリー・スリヤ / インドネシア)
第18回GP『見えるもの、見えざるもの』(監督:カミラ・アンディニ / インドネシア)
第18回SJ『泳ぎすぎた夜』(監督:ダミアン・マニヴェル、五十嵐耕平 / 日本・フランス)
第19回GP『アイカ(原題)』(監督:セルゲイ・ドヴォルツェヴォイ / カザフスタン)
第19回JP『轢き殺された羊』(監督:ペマツェテン / 中国)
第19回SM『夜明け』(監督:広瀬奈々子 / 中国)
第19回SJ『ロングデイズ・ジャーニー、イントゥ・ナイト(仮題)』(監督:ビー・ガン / 中国)
/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
「第20回東京フィルメックス/TOKYO FILMeX 2019」
 11月23日(土・祝)~12月1日(日) 有楽町朝日ホールほかにて開催

フィルメックス 新人監督賞・シナリオ賞

新人監督賞グランプリは二ノ宮隆太郎さんの「逃げきれた夢(仮題)」、シナリオ賞グランプリは廣原暁(さとる)さんの 「アンナの黒い犬」が受賞!

受賞者

 日本映画界の次代を担う新しい才能を発掘する「フィルメックス新人監督賞・シナリオ賞」の授賞式が6月28日、東京・六本木のキノフィルムズ試写室で開かれた。新人監督賞グランプリは二ノ宮隆太郎さんの「逃げきれた夢(仮題)」、シナリオ賞グランプリは廣原暁(さとる)さんの 「アンナの黒い犬」が受賞した。

 「フィルメックス新人監督賞・シナリオ賞」は、「木下グループ新人監督賞」を継承して今年スタートした映画賞。撮影や編集のデジタル化で映画製作が身近になる一方で、若い映画作家が次のステップに踏み出すのが難しい現状を受けて、商業映画のフィールドでオリジナル企画の実現を目指す監督や脚本家を支援する。

 新人監督賞は商業映画の実績がない新鋭監督が対象で、シナリオと過去の映像作品をもとに選考。シナリオ賞はプロ・アマチュアを問わず、シナリオのみで選んだ。新人監督賞のグランプリ作品は賞金50万円のほか、木下グループが5000万円を上限に製作費を提供、劇場公開に向けて企画開発や製作・配給を支援する。

  新人監督賞の応募作96作品からグランプリに選ばれた二ノ宮さんは初長編「魅力の人間」で第34回ぴあフィルムフェスティバル準グランプリを受賞し、長編第2作「枝葉のこと」が第70回ロカルノ映画祭新鋭監督コンペティション部門なとに選出された。受賞作の「逃げきれた夢(仮題)」は定時制高校の教頭の男性が認知症を発症していることに気づき、今まで距離を置いてきた家族や友人との関係を見つめなおす物語。授賞式で会見した二ノ宮監督は「この企画は初めてテーマをもらって書いた作品。テーマを下さった方々に感謝するとともに、とにかく特別な映画を作らなければと思っています」と意気込みを語った。

 シナリオ賞の131作品からグランプリを受賞した廣原さんは「世界グッドモーニング!!」でバンクーバー国際映画祭グランプリを受賞。2017年には共同脚本を手掛けた監督作「ポンチョに夜明けの風はらませて」が全国公開された。受賞作の「アンナの黒い犬」は。海辺の町で起きた自動車事故を起点にした物語。廣原さんは「実在のひき逃げ事件を題材に7〜8年前から書き始めたのですが、なかなかで納得のいくものにできず、いい加減あきらめようかと生殺しのような状態で抱えていました。今回この賞を知り、映画作りの仲間と月1回くらい集まりながら意見を聴いて完成させました。この受賞で、自信というか『映画化してもいいんだ』という声をいただいたような気がしています」と喜びを語った。


 新人監督賞の準グランプリは金允洙さんの「怪鳥とトランペット」、飯塚花笑さんの「トイレ、どっちに入る?」、酒井善三さんの「狩人の夜明け」が受賞。シナリオ賞の準グランプリには内田伸輝さんの「特別」、松本稔さんと足立紳さんが共同執筆した「弱虫日記」、宮瀬佐知子さんの「オロンガポ」が選ばれた。

シナリオ賞 グランプリ 廣原暁「アンナの黒い犬」

「この企画は7〜8年くらい前にあるひき逃げ事件を題材にして書き始めたのですが、なかなか自分で納得のいくものにできず、何度も何度も触りながらいい加減諦めようかと思い、生殺しのような状態で抱えていたのですが、今回この賞があることを知って、応募しようと思い、映画作りの仲間と月1回くらい集まりながら意見を聴いて完成させました。賞をいただいて自信というか『映画化してもいいんだ』という声をいただいたような気がしています。本当にありがとうございました」

シナリオ賞 準グランプリ 内田伸輝さん「特別」

「光栄に思います。この作品は去年こつこつと書き溜めて、ワークショップをやりながら書いていった作品です。現在第2稿の段階で応募しましたので、まだまだ改稿を重ねていって絶対映画化したいと思いますので、皆様ぜひご注目下さい」

松本稔さん「弱虫日記」(共同脚本の足立紳さんは欠席)

「今日は共同執筆の足立紳監督が来られないため私一人で出席させていただきました。元々原作小説があり、講談社文庫から出版されています。とても面白い小説で、これを足立紳監督が映画化したらすごく面白い映画になると思っていたところ、一緒にシナリオを書いてくれないかとお誘いいただいた。書き始めるとすごくエキサイティングな体験で、すごくシナリオに仕上がった。『14の夜』の足立監督の腕ならいい作品にできると思う。この賞をきっかけに映画化に向かえればうれしい。皆様にも原作やシナリオを読んでいただき読ませていただき、ご協力や励ましの声をいただけると嬉しいです」

宮瀬佐知子さん「オロンガポ」

「この作品はフィリピンと函館を舞台に国際共同制作を目指しています。私は10年以上前にフィリピンでドキュメンタリー映画を撮っていて、その頃からずっと書き続けていました。プロデューサーの方たちにも見ていただいたのですが、『難しいのではないか』と言われ続けていて、去年これで最後かなと思って書き直したものです。今はいろいろな監督に付かせていただき現場を走り回っているのですが、この作品できちんと企画を成立させることを頑張りたいと思っています。賞をいただいても企画が成立するのは難しいということは日々感じておりますのできちんとひとつずつやるべきことをやって成立させたいと思っています。今日は本当にありがとうございます。」

新人監督賞 グランプリ 二ノ宮隆太郎さん「逃げきれた夢(仮題)」

「本当にありがとうございます。この企画は初めてあるテーマをもらって書いた作品です。テーマを下さった國實(瑞恵)さん、石原(仁美)プロデューサー、本当にありがとうございます。とにかく特別な映画を作らなければと思っています。本当にありがとうございました」

準グランプリ

金允洙さん「怪鳥とトランペット」

「この脚本はある役者さんを想定してあて書きしました。その役者さんは脚本が書きあがったその日に舞台上で本番中に亡くなるという離れ業をやってのけました。もともとこの企画を考えたときに、いろいろな人が死んで、人の死に引きずられてはいけないなと思いながら書き始めたのですが、書き終わりも人の死で終わるという何ともいわくつきの脚本になりました。その役者さんは中嶋しゅうという方です。この脚本を映画化しないことにしゅうさんに顔向けできないので、何とか前に進めればと思います。ありがとうございます」

飯塚花笑さん「トイレ、どっちに入る?」 (欠席)

酒井善三さん「狩人の夜明け」

「自分と仲間で映画を製作して、これなら面白い作品になると思えるシナリオができたのですが、プロデューサーに持っていっても無名の人間では難しいことは肌身にしみてわかっていました。評価していただきありがたく思っていますが、もちろんまだスタートラインに立ったわけではなく、製作にどうしてもこぎつけなくてはいけない。それにはまず自分たちが絶対に面白いと思えるものを作れる体制を作らなければならないと思っています。今後ともどうぞよろしくお願いします」

日本映画名作鑑賞会

□11月2日(火)◇11:00~ トークショー新藤兼人監督、俳優の三國連太郎氏、映画評論家の草壁久四郎氏

第21回モスクワ国際映画祭グランプリ作品『生きたい』の主人公を演じた、三國連太郎氏をゲストに迎え、今なお現役監督として活躍し続ける新藤兼人監督、「世界えの映画祭をゆく」の著者であり、映画評論家でもある草壁久四郎氏の三者対談を予定。

◇12:00~『生きたい』 119分日本の古い民話「姥すて伝説」と現代の老人問題を交錯させて描く人間ドラマ。(ScreenKiss Vol. 26参照) 

◇14:00~『裸の島』95分1961年モスクワ国際映画祭グランプリ作品人間の生きていく厳しさが感動的に描かれている。台詞は一言もない。

□11月3日(水)◇11:00~『本能』 103分人間の一切の装飾を捨てた原始にかえって、性本能から愛の深淵を追求する野心作

◇13:15~『人間』 116分4人の漁民の遭難を背景に飢餓と不安をのりこえて生き抜こうとする人間の真の姿を描く。

□11月4日(木)◇11:00~『裸の十九才』 117分希望に胸膨らませ上京した少年は、大都会のメカニズムの車輪に巻き込まれ、遂には殺人を犯してしまう。

□13:30~『北斎漫画』 119分春画の大家としても知られる葛飾北斎と娘、お栄の一生、ふんけいの友、滝沢馬琴との交流を描く。

□11月5日(金)◇11:00~『ある映画監督の生涯 溝口健二の記録』 150分溝口健二と一緒に仕事をした俳優、スタッフ、友人たちのインタビューを通して、溝口の人生を描こうとしたドキュメンタリー作品。

◇14:00~『原爆の子』 100分終戦以来、広島を離れていた孝子は、当時の園児達に会ってみたくなり、消息を訪ね歩くが・・・。

□11月6日(土)◇11:00~『新藤兼人監督 講演会』

◇12:00~『愛妻物語』 96分新藤兼人監督が自ら書き下ろしたシナリオによる監督第一回作品。

◇14:05~『午後の遺言状』 112分別荘に避暑にやって来た大女優が出会う出来事の数々を通して、生きる事の意味を問うドラマ。

□11月7日(日)・8日(月)休映

□11月9日(火)◇11:00~『第五福竜丸』 110分日本人漁夫がビキニ環礁で遭遇した水爆実験の被害事件を描いている。

◇13:20~『竹山ひとり旅』 123分津軽三味線の名人、高橋竹山の放浪の半生、苦難の半生を追って風雪の中に生き抜いた竹山のこころを描く映画詩。

□11月10日(水)◇11:00~『落葉樹』 105分老作家が少年時代を回想する中で、亡き毋への追想と思慕が描かれる。

◇13:15~『薮の中の黒猫』 108分平安末期の伝承説話に発想して、争乱の中の民衆の人間像を幻想的なイメージで描く。

□11月11日(木)◇11:00~『かげろう』 103分一つの猟奇犯罪を巡って瀬戸内海の島の美しさの陰に潜む因習と貧困、女の愛憎の執念を描く。

◇13:15~『縮図』 135分我が国の封建制の典型である芸者の世界をリアルなタッチで描き出したものとして注目された作品。

□11月12日(金)

◇11:00~『さくら隊散る』 110分被爆で命を落とした移動演劇隊「櫻隊」の足跡を再現ドラマと縁の人々の証言で描くドキュメンタリー。

◇13:20~『賛歌』 111分盲目のお琴と佐助、二人の愛の世界は闇の中にあった。愛の「献身」と「掠奪」の中に人間のエゴイズム、愛の極限を見事に描き出している。谷崎潤一郎原作。

□11月13日(土)◇11:00~『鬼婆』雑草のようなたくましさで自由奔放に生き抜いた、民衆の力強い生命力を描いている。

◇13:20~『墨東奇譚』 111分永井荷風の半生を描いた作品。

《11月16日(火)》

◇12:00~『銀河の魚/クジラの跳躍/ファンタスマゴリア』 全66分監督:たむらしげる声の出演:永瀬正敏、利重剛、永井一郎

絵本などを中心に活躍する作家、たむらしげるのファンタジーアニメ。ガラスの海に住む老人が、ある日半日かけて行われるクジラの跳躍に遭遇する。

◇13:30~『てなもんや商社 萬福貿易商社』 97分監督:本木克英出演:渡辺謙、小林聡美、香川照之

腰掛け気分で貿易会社に就職した女性が成長していく樣を描いたコメディ。(ScreenKiss Vol. 13参照) 

◇15:30~『頑張っていきまっしょい』120分 監督:磯村一路出演:田中麗奈、真野きりな、中嶋朋子

’76年の四国、松山。悦子の高校にはボート部がない。それなら、と仲間を集めて発足。が、新人戦で大敗。コーチもつき、2年め、2回目の新人戦に挑む。

□11月17日(水)

◇12:00~『大怪獣東京に現わる』 133分監督:宮坂武志出演:桃井かおり、本田博太郎、角替和枝

東京に謎の巨大原子怪獣が出現したニュースで、パニックに陥る福井県の住民達。九州からのカメ怪獣の出現で、原子怪獣は福井に向かった!そして・・・。

◇14:30~『しあわせになろうね』 115分監督:村橋明郎出演:渡瀬恒彦、有森他美、風間杜夫

不景気で解散を余儀なくされた山室組。組長も組員も解散後の「しあわせ」な生活を夢みていたのも束の間、組員が対立している組長の殺害をしてしまった!解散どころでなくなってしまった彼らの運命は・・・。

◇16:45~『卓球温泉』 110分監督:山川元出演:松坂慶子、牧瀬里穂、桜井センリ

夫婦の会話もなくなった主婦、園子。ラジオDJの「家出でもしゃちゃえば?」の一言で、本当に家出をして、さびれた温泉町へやってきた。町興しとしての一大イベント、卓球大会へ向けて、園子も一役かう事になって・・・。

□11月18日(木)

◇12:00~『UNLUCKY MONKY』 106分監督:サブ出演:堤真一、吉野公佳、大杉漣

銀行強盗を計画した男は、別の強盗からの金を入手するが、偶然女性を刺殺。金を埋めた、同じ場所に敵対組織の死体を葬ってしまった村田組の男達と出会うが・・・。

◇14:10~『生きない』 100分監督:清水浩出演:ダンカン、大河内奈々子

借金苦に疲れた人々の二泊三日の沖縄ツアー。保険金目当ての自殺ツアーの添乗員、新垣。ところが、一人だけツアーの真実を知らない女性がバスに同乗しており・・・。ダンカンが初の映画脚本を手掛けた作品。

◇16:10~『リング』監督:中田英夫出演:松嶋菜々子、中谷美紀、真田広之

巷に勃発する原因不明の突然死。見た者を確実に7日間以内に死に追いやるという、呪いのテープの存在の噂は、人々の間で急速に広まった。偶然、そのビデオを見てしまった浅川は、夫に相談するが、彼もまた見てしまい・・・。続編『らせん』と共に公開されたホラー。

□11月18日(金)

◇12:00~『The Artful Dodgers(アートフル・ドヂャーズ)』 96分監督:保田卓夫出演:いしだ壱成、西島秀俊、佐藤タイジ

WowWow製作による「J・MOVIE・WARS」シリーズの1本として、ニューヨーク大学映画科出身の保田卓夫が監督デビューした作品。前編NYロケのインディーズ作品。

ニューヨークで毎日を「アートフル」=やりたいように、「ドヂャーズ」=すりぬけて生きている売れない画家、ポルノ小説家、ストリートミュージシャンの3人。今年も御寒いクリスマスを迎えようとしている彼らの元に一人の少女が現れて・・・。

◇14:00~『Beautiful Sunday』 93分監督:中島哲也出演:永瀬正敏、尾藤桃子、ヨネヤママコ、山崎努

とある、マンションの日曜日。住民達はキャッチボールをしようとしている、会話のない夫婦、鏡にの自分に陶酔するOL、ストーカー芝居をする男、奇妙な老夫婦、そして変な大屋。老夫婦は宇宙へ帰り、殺し屋はゴミ捨て場で死に、また1週間が始まるのだった。

◇16:00~『中国の鳥人』 118分監督:三池崇史出演:本木雅弘、石橋蓮司、王麗黎

翡翠輸入の為の中国出張へ出た商社マン。彼に同行したヤクザ。案内人に連れてこられたのは雲南省の奥地。そこでは鳥人になる為の学校があった。信用を得る為鳥人になろうとする、商社マンだったが・・・。

□11月20日(土)

◇12:00~『キリコの風景』 105分監督:明石知幸出演:杉本哲太、利重剛、小林聡美

詐欺の前科がある村石。彼は、別れた妻を探して函館に来た。彼には人々の心を癒すという不思議な力があり、行く先々で人々を癒していくが・・・。

◇14:15~『落下する夕方』 106分監督:合津直枝出演:原田知世、渡部篤郎、菅野美穂

江國香織の原作を『幻の光』のプロデューサー、合津直枝の監督デビュー作。恋人から突然別れを言い出されたリカ。彼の心を奪ったのは不思議な少女、華子。何故かリカの部屋に住み着いた華子と、それを追ってきた彼との3人の生活がはじまるが、ある日華子が急死してしまう。

◇16:20~『ユキエ』 93分監督:松井久子出演:賠償美津子、ボー・スベンソン、羽野晶紀

ユキエは朝鮮戦争時、米軍パイロットだったリチャードと結婚。バトンルージュに嫁してからは1度も帰国していない。2人の息子も独立したが、リチャードは旧友に騙され財産を失う。名誉回復に奔走する彼の唯一の理解者だったユキエが突然アルツハイマーになってしまう。正気と病気の狭間に、ユキエ自身も苦しむが・・・。

吉目木晴彦の芥川賞受賞作「寂寥郊野」の原作を新藤兼人が脚本にまわり、プロデューサーの松井久子がメガホンをとった作品。愛する者への「スロー・グッドバイ」を描いた夫婦愛の物語。

気持ち悪系が苦手な筆者は、当然『リング』は未見ですが、こちらの「新しい風」シリーズ15本のラインナップもなかなか。これだけまとめて見られる機会は滅多にありません。

特に「新藤兼人の世界」で幕を開けた、今回の「日本映画名作鑑賞会」。彼が脚本にまわった『ユキエ』は特集ラストに相応しく、しっとりとした味わいがあるでしょう。皆様、ふるって御応募くださいね。そして、めでたく優待に当たったあなた、ご感想をお待ちしています。

鳥野 韻子

オランダ映画祭 ’99

オランダ船リーフデ号が大分県に到着したのは、1600年の4月。2000年は日蘭友好400年に当たります。そこで ’98年より3年間に亘り開催されている「オランダ映画祭」。今年は2回目です。東京を皮切りに順次全国を巡回する予定。

オランダ映画といえば、最近は『アントニア』『キャラクター・孤独な人の肖像』に続き、『アムス→シベリア』『ドレス』等が公開されています。

今回は日本初公開作品のプレミア上映4本他、滅多に見られない「短編アニメーション・アンソロジー」やアートフィルムの総集編「ダンスフィルム」などの作品が上映されます。コンクな5日間、是非足を運んでみては?

昨年の第1回目の時、ふらりと出掛けた筆者は、結構その面白さと珍しさに引かれて今回も楽しみにしているところです。勿論、上映後はレポートをお届けします。

■スケジュール

期間:9月22日(水)~9月26日(日)
会場:赤坂・草月ホール(地下鉄銀座線・半蔵門線 青山一丁目)
料金:前売り 1回券¥1,200
3回券¥3,000 チケットぴあにて発売中
当日  1回券¥1,400
3回券¥3,600

お問合せ:
オランダ映画祭実行委員会事務局 ぴあ(株)映画事業部内
TEL 03 (3265) 1425 
(月曜~金曜 10:00~18:00 土日、祭日休み)

■作品紹介
□『失われたトランク』1998年/95分
ベルリン映画祭正式招待作品
監督:エロン・クラッペ
出演:マクシミリアン・シェル、イザベル・ロッセリーニ

70年代初頭、19才のチャヤは乳母としてユダヤ教徒との家に働く。5才の失語症の少年とその両親の心をつかんでいく。そんなある日、少年がチャヤにだけは話をするようになるのだが・・・。

俳優としての活躍も目覚ましい、エロン・クラッペの監督デビュー作。

□『密航者』1997年/90分
’97年マンハイム国際映画祭グランプリ受賞
監督:ベン・ファン・リースハウト

ウズベキスタンとロッテルダムの合作映画。近隣の綿向上での過度の灌漑から、すっかり干上がってしまった湖。男の住む漁村は、ソビエト崩壊後、壊滅的な貧困に瀕している。アメリカへの密航を計画した彼が辿りついたのはロッテルダム。

優しい家族の元で、ベランダに住まわせて貰っていたが、ある日強制送還された彼の見たものは、水をたたえた湖だったが・・・。

□『三人のプレーヤー』1998年/90分
監督:エディ・エストール

アムステルダムで人気のジョーダンを舞台とした、3部作のラスト。オランダ映画界を徹底的にパロった、オランダ版「ザ・プレイヤー」。

□『19.99ギルダーの夜』1997年/90分
監督:マリー・ドミニカス

1000年をテーマとした、才能ある若き監督達による4つの長編映画「ルート2000プロジェクト」シリーズの1本。

2000年直前の、1999年最後の日に、高級ホテルが企画したサービスとは、新婚カップルを豪華なスイートに、たったの19.99ギルダーで泊めるというものだったが・・・。

□『短編アニメーション・アンソロジー』:全5作品
世界的なアニメーター、ポール・ドリエッセンの新作をはじめとする、オランダアニメの総集編。長編映画に並映する作品群と、7月末から開催された「第7回キンダー・フィルム・フェスト・ジャパン」で上映する作品群の2種類のプログラミング。

◇『3人のお嬢さん』1998年/10分30秒
監督:ポール・ドリエッセン

3人の紳士が3人の令嬢を救おうと奮闘するが、物事は悪い方向へ向かってしまい・・。

◇『バイオレンス・ガール』4分
監督:クルスティー・ムスクール

暴れまわり、激怒する小さな女の子。彼女の怒りを鎮める事が出来るのは・・・?ドアの開く音がして・・ママが帰ってきた。

◇『ふくろうのうた』1998年/11分12秒/モノクロ
監督:ティス・プーツ

ふくろうと女の子を中心に、古いゴシック教会の修復と、そこに棲む動物達の生活を工事の進行に合わせて展開していく。

◇『グレッグ・ローソン短篇集』1997年/1分24秒
監督:グレッグ・ローソン

◇『こわいのはどっち?』『恐怖の映画館』『大都会』『海』『腹ぺこのうた』
監督はCGを駆使して製作するコミカルなショート&ショートを得意とする、新進アニメーター。パートナーのリー・ロスとの共同でアニメスタジオを経営している。作品集の形で上映するのは、今回がワールドプレミア。

◇『フーガ』1996年/11分
監督:ハンツ・ネセスティン

ピアノを弾いていた男は窓辺に彼の過去が現れるのを見る。子供の頃の夢が蘇る。メランコリックな男の人生を描くアニメ。

□『ダンスフィルム』: 全5作品
現代オランダのダンス・シーンが生んだダンスフィルムの秀作を一挙上映。ステージライヴでもなく、ミュージカルでもなく、映像とダンスの創り上げる芸術世界。

◇『橋を渡る』1999年/9分/モノクロ
監督:ノード・ヘ・ケンス

1999年ロッテルダム映画祭でワールドプレミア上映され好評を博した。

アレックス・コックスの『3人のビジネスマン』と併映されたダンス・バージョン。実景の中で踊る3人のビジネスマン。向こう岸へ1番早く渡れた人は?

◇『アナザー・アナザー』1999年/8分
監督:ベア・デ・ヴィッサ

ルディ・ヴァン・ダンツィングの自宅での振り付けの模様を挿みながら、足の振出しを純化してみせる。

◇『密室のタンゴ』1998年/14分 
1998年オランダ映画祭金の仔牛賞受賞(最優秀短篇映画)
監督:クララ・ファン・ホール

居間のパーティは、炭坑の梺のアパートに場面が変わり、2組の夫婦が踊るタンゴは実は幻想にすぎない孤独なものだった。

◇『ブラインドサイド』1999年/25分
監督:マリー・ドミニカス

◇『19.99ギルダーの夜』と同じ監督の手によるダンスフィルム。
アメフトチーム、ザ・アムステルダム・クルセイダーズとクリスティーナ・デ・シャテル・ダンス・カンパニーのダンサーが出会い・・・。

◇『海のソナタ』1998年/5分
監督:ヤニカ・ドライスマ

監督はダンサー、女優。海を背景に、水の上での重力、肉体的限界、時間、場所等の制限を受けずに踊る。

鳥野 韻子

Four Fresh! ’99+2 後編

映画美学校の生徒さん達のフレッシュな作品を紹介する、Four Fresh!。

今年は第一期高等科生の作品を加え『Four Fresh! ’99+2』としてユーロスペースにて公開中です。

後編は、Bプログラム作品3本をご紹介致します。

後日、『意外と死なない』と『薄羽の蝶』の監督のインタビューを掲載します。

スケジュール等詳細はScreenKiss Vol.44を参照ください

■Bプログラム9月25日(土)~10月1日(金)

◇『薄羽の蝶』カラー/16mm/23分(+2)

監督・脚本:原瀬涼子出演   :上野友希、辻本裕子、児玉数夫

シナリオ、演出において、女性ならではのシャープな感性が評価された作品

ストーリー:友人の結婚式に出席しても、どこか虚しい気分の由美子。電話の祖母は彼女を幼馴染みの友人と間違えている。そんな祖母に逢いたくないと、母の説得を振りきり、祖母の誕生日に口実を設けてしまう。が、その日、ふと電車で席を譲った老人から水色の紙で作った蝶を手渡される。その途端、何とも言えない気分が由美子を襲い、彼女は祖母のもとに急行する。

コメント:蝶のように、花びらのようにキラキラと祖母の周囲に舞い落ちるもの。これは彼女の美しい思い出かもしれない。まるで、「花のもとにて我死なん」と言った西行のような、祖母に対する黄昏の表現なのかもしれない。

ぼけた祖母を叱る叔母。ひたすら念仏のように「ごめんなさい」と繰り返す祖母。叱るほど心を閉ざし、益々ぼけに逃げるようになるという。相手を理解する心が老人介護の第1歩とはいえ、なかなか出来ない事ではある。

由美子はラストで、自分を孫と言い張らず、祖母の思いたい相手・・幼馴染み・・に成り変わり返事をしてあげる。電車の中の一片の蝶が由美子の心を変えたように、この事が祖母の心を穏やかにする事は間違いない。美しい画面と繊細さを備えた秀作だ。

◇『犬を撃つ』カラー/16mm/32分 (Four Fresh! ’99)

監督・脚本:木村有理子出演   :堀江慶、山内知栄、糸井光琳

しっかりとしたシナリオと的確な演出が高い評価を得た作品

ストーリー:大学生の裕紀は、子供の頃の“あの日”のまま空家となっている実家に戻る。同じく毋に呼び出された姉の麻紀も訪れていた。毋は夜になってもやって来ない。

子供の頃姉の見た“あの日”の光景は何だったんだろうか。確実なのは、その日以来父の姿を見ていない事。台所で寝込んだ裕紀は、怪しい物音に引かれ、庭に出てみると・・・。

コメント:まるで絵画のような光と影の使い方は見事だ。逆光による影、闇と雨、雫などの水の音が無気味にマッチして、怖さを演出している。サスペンスタッチの手法は、確かにこの「Four Fresh!」の選考基準である「観客を動揺させる」を充分満たしている。是非次回の+2で新作を見たいものだ。それにしても、誰かこのタイトルの意味を教えてください。

◇『集い』カラー/16mm/30分 (Four Fresh! ’99)

監督・脚本:遠山智子出演   :富田瑛子、廣瀬美葵、堀田文子

個性あるシナリオと卓越した映像センスが高く評価された作品

ストーリー:

出口ならいくらでもあるんだよ・・・・。出口が判らないままに、少女、宇辺千は、とある家に辿り着いた。その家に住む奇妙な住人達。マシュマロに憑かれている女、秋崎。火燵に執着する男、平田。千を眠る姿で迎えた家の主である、老女、小野。その住人達によって、千は、それが当然であるかのように受け入れられ、自らも家の住人になっていくのだが・・・。

コメント:不条理劇風の何だか無気味な作品だ。いきなり滑り込んでしまった別世界。そこで、普通の子なら、泣いて駄々をこねる筈が、千は決して泣かない。食事時の行儀が悪くて、叱られても、食べるものは、しっかり食べる。

出口へ案内してくれた秋崎の手を自らの意志で振りほどき、さらに住人におさまってしまう樣は、まるで安倍公房の『砂の女』のようだ。ほとんどの舞台が火燵という設定もユニーク。

故意的とはいえ、登場人物の台詞が聞き取りにくいのが、残念だった。老女役の堀田文子さんの、とても初出演と思えない堂々とした演技に拍手。

どれもなかなかの力作で圧倒された。出演者も、勿論、校内で調達してる事も多いが、プロに混じって全く別の世界の仕事のプロが俳優に挑戦してたりして、とてもユニーク。

こういった作品を昼間に公開するのは、難しい事かとは思うが、レイトショーだと、客層、観客数も限定してしまうので勿体無い気もする。実は筆者も、レイトだと帰宅の足の心配等でどうしても腰が引けてしまってい、興味があっても行けなかったというのが現状。

こうした作品はやはり、商業ベースに乗らない自由さもあり、だからこそユニークな面が見い出せるといった事を考えると、レイトショーというのも仕方ないが。ただ、この中から誕生した未来のプロも、最初のこうした「fresh」な感覚を大事にしていって欲しいものだ。

鳥野 韻子

Four Fresh! ’99+2

映画美学校の生徒さん達のフレッシュな作品を紹介する、<Four Fresh! >が、昨年に続き、今年も渋谷のユーロスペースでこの秋、レイト公開されます。監督、撮影は勿論、製作等に至るまで全て、学校の生徒によるものです。この機会に、是非新しい才能をみつけに出掛けてみませんか?

作品については、2回に分けてご紹介します。後日、『意外と死なない』と『薄羽の蝶』の監督のインタビューを掲載します。

□スケジュール

◇日時    :9月18日(土)~10月 1日(金)Aプログラム:9月18日(土)~ 9月24日(金)Bプログラム:9月25日(土)~10月 1日(金)

上映時間  :連日21:00~

◇劇場    :ユーロスペース渋谷駅南口下車2分、JTBさくら通り上がるTEL 03-3461-0211

◇料金    :前売り鑑賞券 ¥800当日一般 ¥1000、学生 ¥900

劇場窓口、チケットぴあにて発売中

□イベント情報9月18日(土):Aプロ初日3作品監督による舞台挨拶 9月24日(金):Aプロ最終日3作品の監督トークショー 9月25日(土):Bプロ初日3作品監督による舞台挨拶10月 1日(金):Bプロ最終日3作品の監督トークショー

詳細は映画美学校 TEL 03 (5205) 3565

□Four Fresh! ’99+2とは?97年にスタートした映画美学校(アテネ・フランセ文化センターとユーロスペースの共同プロジェクト)の、初等科から誕生する4本の短編映画が「Four Fresh!」。初等科は16mmは初めての人対象で基礎から学ぶ、実践的なコース。その中のシナリオ課題と、ビデオ課題の総合評価で選ばれ、10日間の撮影と、約1ヶ月の編集で完成させたもの。

選考基準は「完成度の高い作品より、未知の可能性を感じさせる作品」、「観客を納得させるのではなく、動揺させるようなもの」。

このようにして、年令、経歴も様々な生徒達による“劇場公開を前提とした短編劇映画”として「Four Fresh! 99+2」が誕生した。今年の「+2」というのは、第一期高等科生による、さらなる技術的飛躍を目指した2本の実習作品を講師陣(筒井武文、塩田明彦、高橋洋、等)の高い評価のもと、併映される事になったもの。

今回上映される『意外と死なない』『薄羽の蝶』は今年のPFF(ぴあフィルムフェスティバル)の「特集1・日本映画の未来を観よ!」の中でも公開した。

なお、昨年の「Four Fresh!」からは『怯える』(古澤健監督)が、クレルモンフェラン国際短編映画祭に、『鼻の穴』(稲見一茂監督)がオーバーハウゼン国際映画祭に招待されるなど、高い評価を得ている。

□作品紹介Aプログラム:9月18日(土)~9月24日(金)

◇『意外と死なない』カラー/16mm/42分監督・脚本:大九明子出演   :億田明子、けーすけ、愛染恭子

シナリオ、演出力ともに独特のセンスが評価された作品

ストーリー子供の頃から“痛い”事の大嫌いな月子は小学校教師。抜けた歯を見せる子、予防注射に泣く子。そんな時必ず頭を過るのが、月子の「痛い思い出」。中学、高校での性教育や、初体験。その“痛い”初体験以来ストーカーと化した、嘗ての恋人。そして今、“出来ちゃった結婚”しようとしている、同僚マユの日に日に目立つお腹を見る度、危険な衝動に駆られる彼女だが・・・。

コメント月子の「イ~テテテ」は女性特有の痛みで再現されている場面が多く、見ている側としては、多分女性の方が感覚的に理解出来る気がする。こうして考えると、女性は結構「痛い」一生を余儀無くされているようだ。

渡辺淳一氏が嘗て、『解剖学的女性論』の中で、女性は男性と異なり、「痛くないですよ」と安心感を与えるだけで、実際はかなりの痛みに耐えられると言っていた。しかし、月子には通用しなかったわけだ。

が、彼女の痛みへの怒りは、マユへの暴力的幻想に集約されるが、もっともしぶとく、ある意味で暴力的なのはマユの方かもしれない。

それにしても、にたついてる癖に存在感のあるストーカー男や、ちゃらんぽらんな教師達など、なかなかのキャスティング。月子役はテレビ出演等タレント活動もしている監督自身。無理矢理高音をひねり出して「小さい秋みつけた」を熱唱?してみたり、途中登場するミニチュアダックスのウエンズ君も堂々配役に名を連ねているところなど、茶目っ気のある方とお見受けした。

◇『黒アゲハ教授』カラー/16mm/30分監督・脚本:福井廣子出演   :水谷郷、倉沢愛、山崎剛太郎

シナリオの独特な世界が高く評価された作品

ストーリー定年を迎えた金森教授の研究室で、本の整理を手伝うマモ君。古本の甘い匂いは、幼少時の“物憂げ坂上”を彷佛とさせた。幻聴に悩むカナコは、そこでの幼馴染み。

そこで良く見た黒アゲハと、まるでアゲハ蝶のような美しい肌の金森教授。そして花の蜜の様な古本。カナコはバスで金森教授を補虫網で捕らえる。古本屋でアルバイトするカナコと立ち寄ったマモ君と教授。そこには黒アゲハが舞っていた。

コメントScreenKissの常連さんはお気付きでしょうか?この作品で金森教授を演じているのは、嘗て「バックステージ」にご登場頂いた、字幕翻訳の山崎先生です。(バックナンバー20参照)

まさにぴったりの役処で、これが俳優初仕事と思えないほどはまってました。ただ、外出のシーンでは、トレードマークのソフトがなく、何となく普段の魅力が出し切れなくて残念だった。

「古い書物の端っこの甘くなったところだけが、黒アゲハの食べ物なの。活字を混ぜてはだめ。教授の寿命を縮めるから」こういった“嗅覚”“味覚”。アゲハが舞い、眩しいようなバスの中の“視覚”。そして蝶の羽のような“触覚”。まさに「感覚的」な美しい作品。

偶然、試写会で隣に座られた山崎先生は、しきりと照れていらしゃいましたが、場内が明るくなり、前の方の席にいた女性達がふと振り返って「あ、あの教授役の人だ。すご~い、若いね」と感心していました。先生は「最初で最後の映画出演」などと仰っていますが、この分ではオファーが殺到?するかも。

この作品のロケーションには、先生の御自宅も使われたそうです。実はその辺の事情も含め、先生には今、インタビュー第2弾を交渉中です。乞う御期待!

◇『よろこび』カラー/16mm/32分監督・脚本:松村浩行出演   :遠山智子、西山洋一、泉雄一郎

音、光、構図、キャメラの動き等、徹底した映画表現に対するこだわりが高い評価を得た。

ストーリー水辺で笛を吹くグループに献金した為、殴られた父。父を殴ったグループと偶然出会ったアオシギ。彼女は昼間、「リズム社」で規則的にドラムを叩く仕事をしている。退職した同僚の後に入社した“自称”ロカビリー崩れが、新米の日給¥1,000也を父同様“施し”たため殴られたのだ。が、このグループと共に、退屈な毎日を脱却すべく行動を共にするが・・・。

コメント不思議な感覚の映画だ。父と猫のいる家庭の雰囲気も、少しばかり現実味がないし、「リズム社」の仕事も怪しい。そこの女社長がそれ以上に怪しい。アオシギが勉強する、天文学ラジオ講座もそれ自体怪しい。不思議なキャラクター達とアオシギの生き方に『よろこび』は見いだせるのか。

主演のアオシギ役は『集い』の監督。視線がなかなか決まっている。ちなみに、今回の6作品の内、これが唯一の男性監督作品。

Bプログラムについては、後編でご紹介します。

鳥野 韻子

PFFアワード99

□『あおい夏』1998年/カラー/8mm/25分

監督・脚本・編集:渡辺充浩出演:中村雪子、高田信吾、土屋直子

◇ストーリー夏のだるい日射しの中で、延々繰り広げられる男女4人の人間関係。それぞれが、変化を求め、それでいて離れられない青春のひとコマ。

◇コメント思う事を素直に表現出来ない、相手への接しかたが、そして自分自身の事さえ、よく分かっていない。そんな若者の心境を、夏の時間の中に凝縮させた。男女2人が塀越しに飲む一杯の水。相手との距離を反映しているようで面白い表現だった。ちょっと間抜けな音楽もご愛嬌だ。ただ、惜しむらくは、台詞が聞き取りにくかった点だろう。

□『シアワセの記号』1998年/カラー/Hi-8/85分

審査員特別賞・ブリリアント賞(日活)受賞

監督・構成:三好曉 出演:高岡敬子、杉崎竜人、神谷光治

◇ストーリー街で見かける“幸せそうな”若者は、どうして幸せなんだろうか?何を基準に幸せと言い切れるのだろうか。そんな素朴な疑問からスタートした監督は、大勢の若者にその質問をぶつけていく。そうした若者の中から一人の女性に長時間密着して、彼女と監督自身の信頼関係が生まれる頃、ひとつの結果が見えてくる。ドキュメンタリー形式の作品。

◇コメント作製していたのが、昨年だったため丁度今年の7月が、いわゆる「世紀末説」。そんな絡みもあって、“今が楽しければ充分”という若者達の刹那的な回答が目立っていた。そんな彼らの答を、今年7月に見ているというのも、不思議な気分だった。

多くの大人が「今どきの若者は・・」と眉根を寄せるだけで、彼らだって個々に悩んでいるものの、現実と対峙する勇気が少しばかり足りないだけなのだ。

「どうして?」と執拗に質問する監督。究極の自分探し。密着取材された一人の女性の成長記でもある。(ラスト近くで事実は小説よりも・・・を実感する彼女の身辺の変化には見ている側も驚きだった。その後の彼女についても気になる)

ただのドキュメンタリーに終わらず、途中、高校教諭や幼稚園教諭の談話、そしてニュースや漫画を巧みに取り入れているところが秀逸。ハンディカメラのぶれが惜しいところだ。

□『5月2日、茶をつくる』1998年/カラーDV/25分

グランプリ受賞

監督・脚本・撮影・編集・小嶋宏一出演:山崎祐作、萩原豊、澤井真也

◇ストーリー専門学校に通いながら、家業でもある、茶つくりを師匠に習っている祐作。進路もなかなか決まらず、鬱々とした思いを託すように茶作りに力を込める。そして、八十八夜の5月2日、師匠と共に新茶の仕上げにかかる。

◇コメント一面の茶畑や、ひたすらに茶を手で摘む作業・・・出だしはまるでNHKのドキュメンタリーフィルムのような雰囲気だ。茶つくり名人の草履と、祐作の踵を潰した運動靴の対比。焦躁感と不安を無心に茶作りに没頭していく事で見事に昇華させていく過程が簡潔に描かれている。背景に見える「茶手揉道場」「一葉入魂」といった額からも緊張感が伝わる。手揉みのシーンは茶の香りが漂ってきそうだ。

茶の仕上がりの所で初めて入る音楽と、寡黙な名人と出来たての一杯を飲み干した後の「うまいっす」の一言がとても効果的。題材選びも良かった。

□『ウワバミの絵』1998年/カラー/8mm/31分

監督・脚本・演出・出演:山下真由子出演:樋口わかこ、森美華、吉田絵理

◇ストーリー男友だちから貰った1冊の本、「星の王子様」。大人には帽子にしか見えないが、ウワバミが象を飲み込んでいる絵なのに・・・。そんな柔らかな心を取り戻すように東京タワーへ向かうマユコ。その下の公園には、公園番付?をしている3人の女の子がおしゃべりをしている・・・。

◇コメント『シアワセの記号』にも見られたような、他者との関わりに不器用な、現代の若者をよく表現している。針ねずみのように、一定間隔を保っていなければ相手も自分も傷ついてしまう、それでいて一人ではいられない...。結構な年令の女の子が塊で、公園のブランコ目指して走りより、我がもの顔に使用する樣は、そんなアンバランスさを描いているのだろうか。

説明が多すぎる感じもするし、演出の為か台詞が見事に棒読みなのが気になった。

□『福田さん』1998年/カラー/DV/41分

監督・脚本・出演:宇田敦子出演:福田史、内山ありさ、玉井章子

◇ストーリー福田さんの日常を切り取った、4話のエピソードから構成されている。

「日曜日」実家から送られた蟹を、友人を招待して一緒に食べる。「かけら」友人の手作りの茶腕を割ってしまい、別の茶碗をプレゼントするまで。「バドミントン」引っ越しの為1度捨てたバドミントンで、友人と童心にかえって遊ぶ。「何でもない日」部屋に遊びに来た友人と、お菓子とお茶で話をする。

◇コメントこれといった音楽もなく、淡々と福田さんの目を通した日常を描いているだけのものだが、“こういう人いたよね”と、子供時代や学生時代等を通じて思い出せるような気分になってくる。お人よしで、ちょっと割が合わないような立場で、でもそばにいるような...。友人役で出演している監督本人も、気負わない演技でグーでした。

『失跡-1998年の補足』1998年/カラー/DV/45分

企画賞(TBS)受賞

監督・脚本・編集:横川兄弟出演:平田亜希子、大九明子、岡本真太郎

◇ストーリー恋人に裏切られたOLケイ。自分をターゲットとした殺し屋を雇った途端、彼女の日常は一変した。漠然とした日々を送っていた時と異なり、常に緊張を強いられるが、生活に張りが出てくるが・・・。彼女は逃げ切れるのだろうか?

◇コメント設定は、あのカウリスマキの『コントラクト・キラー』か?という思いも頭をかすかに過ったものの、中心は逃走劇。屋上から、下水道から、彼女は走る、走る・・冒頭でも恋人の裏切り現場を押さえるために、自転車を漕ぎまくっていたし、見ている側も疲れそうな感じだ。まったく、トライアスロンのようにタフさを競うのが、殺し屋から逃走だったとは・・・。

下水道の場面は、少し長過ぎて『第3の男』風の緊張感が薄れてしまったのが残念。空家に来たカップルが彼女の隠れてるベッドの上でよろしくやっている間、刺さるスプリングにじっと耐える様は、『愛情萬歳』のリー・カンションみたいで笑える。

全体に抑えたトーンとヒロインの台詞が極端に少ないのは、スリリングさの演出に役立った。出演者の一人、大九明子さんは、『意外と死なない』で監督デビューし、7月のぴあフィルムフェスティバルでは、特集上映“日本映画の未来を観よ”の中で上映された。ちなみに監督の横川兄弟は複数の人間でなく一人。

□『にくいあなた』1997年/カラー/16mm/23分

技術賞(IMAGICA)受賞

監督:継田淳出演:伊藤賢治、前川拓也、鈴木由実子

◇ストーリー大学生ばかり狙う連続殺人鬼と、切腹のアングラ映画を作製しようと集まった、所謂アーチスト志望の学生達。女優志望の女は、リアルさを出すために本当に腹を切ると言い出すし、撮影担当の男は“自分の感性が許さない”と土壇場で降番。そこへ、例の殺人鬼が押し入って・・・。

◇コメント「寂しかったから」という殺人鬼はじめ、皆どこか自己中心的で、おかしい。が、その変さ加減を“こだわり”とか“才能”だとかと勘違いしている。監督は、こうした“クリエイター志望の勘違い連中”に向けて、冷ややかな視線を向けているんだそうだが、こうした連中はどこの世界にも存在している。

大袈裟に言えば社会全体の風潮とも言える、こうした世界を巧くまとめた作品だ。それにしても、殺人鬼のマスクが非常にちゃちくて面白い。『カンヌ映画祭殺人事件』というおバカな映画、ご覧になった事のある方、どこか似てると思いませんか?

□『昼下がり』1998年/カラー/β-cam/52分

監督・脚本・撮影・編集:小野靖之出演:鹿島直弘、新川勝博、加藤恵子

◇ストーリー精神を病んでい入院中だった親友、岡村の妻と関係してしまった岸。退院後も岡村は岸を頼りにしているが、どこか邪険にされる。2人の住む地域で交番のピストルが盗まれ、自警団が結成される。自警団に参加した岡村だったが...。

◇コメント実は、この作品選考に漏れたのが筆者的には非常に残念だった。テーマは友情、コミュニティ、弱者への対応、と結構盛り沢山。岡村は自警団に迎え入れられ、自分なりの場所を得られたと感じ始めた途端、入院の過去を責められた挙げ句、彼らの中にいた犯人の隠蔽にまで使われてしまう。

狭いコミュニティの中に潜む狂気。脈々と続いている“内輪”意識と“排他性”。ここには、ルコント監督の『仕立て屋の恋』に似た恐怖がある。いつ被害者が、加害者にされるかもしれない現実。そこそこのサスペンスフルな演出と、はっきりしたキャラクター描写はなかなかだ。

□『他、3本。』1998年/カラー/DV/48分

審査員特別賞&音楽賞(TOKYO FM)受賞

監督・脚本:川合晃出演:伏原正康、江籐公威、藤田裕樹

◇ストーリー映画館を舞台に、ヤクザと彼らに借金を返せない男、殺し屋、麻薬売人が拳銃、麻薬、それぞれの受け渡しに使用したトイレを軸に大騒動。一方、映画館の受け付けでも、何やら男女関係のすったもんだが・・・。この2人で時間経過を刻みながら、話は一気にラストに突入。

◇コメントスピーディな展開と、それぞれの役者のはまった演技に思わず身を乗り出したくなる作品。これは、文句なしに面白い。今回見た作品中では、一番完成度が高いように思う。ひょっとして、このまま公開してもイケるんではないだろうか。

それぞれの独立したエピソードが、きちんとひとつに纏まる展開は、計算され尽くした脚本の勝利。借金男がトイレに立て篭り、逃げ出す算段をするところや、ラリッた殺し屋が、日本刀のつもりで吸引具(と、いうのだとうか)を使ってパフォーマンスする樣は、先が分かっていても可笑しい。

ストーリーの展開や小道具が、確かに『パルプフィクション』的ではある。ラストで、仕方なく死人を背負って歩く羽目になる麻薬売人の様子を、台詞だけに止めたのは大正解。内容で想像するだけで、観客それぞれにラストシーンが浮かんでいるはず。『太陽がいっぱい』ではトムに実際、死人とお友達を演じさせていたけど。

ファーストシーンから、映画それ自体を使って遊んでいるが、ミュージッククリップ風なラリラリシーンもなかなかで、彼の次の作品も今から楽しみだ。

□『バッド デット』1998年/カラー/8mm/23分

監督・脚本・撮影:郡司正人出演:菊池徹、福原大介、岸田研二

◇ストーリー大学の授業料を使い込み、同級生の菊池に50万の借金をしている福原。利息が膨らみ、菊池の取り立ては日増しに厳しくなる一方だ。友人、岸田の紹介で怪し気なバイトに出掛けるも、ほうほうのていで退却。何故か菊池に肩入れし、福原に不利な発言を繰り返す謎の女。彼女を誘拐して借用書を破棄させようとするが・・・。

◇コメント無表情で無言、とんがったヘアスタイル・・とくれば菊池の感じはまさに「レニングラード・カウボーイズ」。さては、カウリスマキを意識したか、と思ったのも束の間、鈍臭い福原の存在が妙なリズムを刻んでくれていた。タイトルは、「まずい借金」とでもいうのだろうか、まさにダイレクトで可笑しい。アイデアは面白いが、笑いの質をもっと洗練してくれれば、もっと良かったのに。

□『PORTAMENTO(ポルタメント)』1998年/カラー/DV/24分

監督・脚本・撮影・編集・音楽・効果:林拓身出演:木村一郎、織原恵美、加藤淳一

◇ストーリーA「お中元のお返しは届いたか?」→B「おいしかったです」→C「いつも変な機械が来るんだよな」→D「湿気が凄いの(くぐもった声)」・・・と電話を媒介に、6部屋の住人が繰り広げる行動を、尻取りのようなゲーム感覚で連係させていくストーリー。それでいて、ラストシーンは再びファーストシーンに戻っている不思議な作品。

◇コメント実に手が込んでいる。電話の主を俯瞰で捉える様子は、乱歩の「屋根裏の散歩者」や『硝子の塔』のような、覗き見的感覚をひき起こす。途中挿入される野球のシーンも一瞬本当のTVと錯覚してしまったし、おかしな機械も現実に存在していても変でないし・・・と言った全編に漂うフェイクさが面白い。

DVで撮影し、全てMac内で編集されたという制作方法は、今後増えるのではないだろうか。実は、この作品も筆者的には一押しだった。短い時間に要領よくまとまっているし、映像もスタイリッシュ。監督の更なる躍進を願っています。

□『風は吹くだろう 』1998年/カラー/DV/111分

準グランプリ受賞

制作・監督・脚本・編集・出演:白石晃士、近藤太出演:笠井曉大、松梨智子、佐野敬子

◇ストーリー一時同じ劇団に所属していた、夕希子と町田。2人は同じマンションの隣通しとなっていたが、夕希子の浮気が原因で別れた。映画監督志望の町田は、2人の出会いから別れまでをドキュメンタリーとして考証していく事を思い付き・・・。

◇コメント初めのうちは、ふられた男の未練たらたら的な、情けないビデオ・・・と誤解してしまう。映画は自己満足の賜物とはいえ、究極の自己満足作品だ、と。が、これが曲者。とりあえず、別れた原因糾明と冷静な自己判断、そしてそれらの虚しさから、もともと脆い男女関係に対するこうした行動の馬鹿らしさ、といったものをあぶり出している。音も映像に合っている。

フィクションとノンフィクションの境界が不鮮明になっていくにつれ、脚本の巧みさに騙されていた事に気付く、という手のこんだ作品だ。

□『ランナーマン』1998年/カラー/16mm/15分

観客賞受賞

制作・監督・脚本・編集・出演:中村隆太郎出演:達弘介、足立学、藤原洋介

◇ストーリーその高校の弱小陸上部は、大会に出たいが部員が不足だった。そこへ、今迄見た事のない“生まれながらのランナーマン”を自負する男、田中が入部する。自己の実力の過信からか、体調管理で失敗した田中は、大会でも惨敗。果たして陸上部の未来は・・・?

◇コメント大袈裟なアクション、臭い台詞、いきなり登場する派手な背景・・・と、この作品の魅力は、そうしたわざとチープな感覚。今時の映画と異なり、CGを使用せず、オーソドックスな手法で、人間が演じているところが、逆に新鮮。出演者も決して巧いとはいえない演技だが、ラストも『ディディエ』みたいで、結構爽やかな印象を残している。

□『夏将軍 』1998年/カラー/DV/40分

監督・脚本:木下涼子監督・撮影・編集:上田啓嗣出演:葉隠みどり、蔵谷貴輪、冨田恵実

◇ストーリーケーキ屋でバイトする志麻子。定職もなく、ぶらぶらと1日を過ごす少女。その少女と同居している、料理上手な女性。志麻子は思い立って、夏休みを過ごすべく、島に独り旅する。素朴な島民や単調な時間の流れでの中で、リフレッシュした彼女にはまた、いつもの日常が待っている。

少女は身体が女性への1歩を踏み出し、同居人はありったけの料理を彼女に残して姿を消す。「好きな人に、好きな料理を食べてもらうのが、私の幸せ」と。

◇コメント『あおい夏』にも見られたようなだるさと、季節の変わり目に向かう区切りという晩夏の時を主人公それぞれの心境と対比させている。バックミュージックが、一昔前のテレビドラマのような感覚で、夏のひとときを表現している。ここに登場する3人の女性は、生活環境こそ異なるが、何か新しいことが起こるのを待っている。そうした意味では、志麻子以外は生活内容を明かしていないところは賢明な設定だったといえよう。

□『テーブルトーク』1998年/カラー/8mm/85分

審査員特別賞受賞

監督・脚本:三内徹脚本・出演:中野良一出演:こんみゆき、松谷要作、鈴木葵

◇ストーリー料理の巧い兄と学生の妹は、マンションの一室で仲良く暮らしている。そこへ、父の居所を探して、葵という少女が尋ねてくる。父の知らせた住所が兄妹の部屋だったのだ。葵に同情した兄は“第3者を家に入れない”という暗黙のルールを破り、暫く彼女を同居させる。妹はそんな兄に反発して、恋人の元へ外泊の日が続く。2人で続けてきた、当たり前の生活に微妙な変化が訪れて・・・。

◇コメント『秘密と嘘』にインスパイアされたという、この作品。何でもない生活を延々と写していく、という手法は似てはいるものの、第3者の少女の2人の生活への馴染み方が、安倍公房原作の『ファミリー』みたいで少々無気味な気がした。

部屋で定位置のカメラが捉える椅子とテーブルの位置が、兄妹間の状況を表すように、話の進行に従って微妙に変化している。同様に、洗濯物からもそんな様子が伺える。そうした細かい工夫の積み重ねが、この作品に深みを与えている。

□『プロゴルファー虎木』1998年/カラー/S-VHS/48分

エンターテインメント賞(レントラックジャパン)受賞

◇ストーリー下着泥棒の頻発に「下着窃盗犯捕縛方」が設置され、長官の時田と下着泥の老舗、駒沢一家の助次郎が協力して犯人逮捕に全力をあげる。助次郎は、兄の伝蔵が老舗の家名を汚す仕事をしているのを恥じての協力だったが・・・。

◇コメントのっけからギャグ満載で・・結構・・疲れる。それでいてバックには、“ペールギュント”などのクラシックが優雅に流れる、このギャップ。画面繋ぎが早く、矢継ぎ早のギャグで、ストーリーのちぐはぐさが薄れている。お遊びがそのまま映画になった感じだ。

監督は余程のカンフー好きとみえて、時田(監督本人)と西日暮里の対決シーンがえらく長い。ジャッキー・チェンばりのアクションは、かなり練習した模様。それだけでも努力賞ものです。

16本、合計726分(約12時間)の鑑賞は、結構へたばってしまいました。が、最初の選考の段階では、何と440時間分(応募総数914本)、その中から約40時間分の作品に絞られた上、最後にこの16本に絞られたというから、審査員の皆様のご苦労が、骨身にしみて理解したわけです。

しかし、それだけにきっと“あと一歩”のところで、惜しくも選に漏れてしまった作品もあったでしょうから、ここだけの話、「何だこの程度か~」という安心感を求める為にも1度御覧になられるのに、いい機会だと思います。

また、今迄観客サイドだけだった方も、ひょっとして、これを機に作り手になってみたくなるかもしれません。

何れにせよ、百聞は一見にしかず・・です。

鳥野 韻子