シネマノート

今回は29日の公開が近い「RONIN」とその試写を行った“第37回優秀外国映画輸入配給賞”について報告。この受賞式は去る4月22日(木)日比谷の東商ホールにて行われた。

1)第37回優秀外国映画輸入配給賞とは

平成10年4月1日から平成11年3月31日までの一年間に、作品的に優秀で、かつ新分野を開拓し、日本映画の発展に大きく寄与すると認められた外国映画を日本に輸入公開した配給会社を表彰する会。

審査員は社団法人え外国映画輸入配給協会により選出された10名。今年は昨年までの淀川長治氏に代わって品田雄吉氏が審査委員長を務め、東宝東和、フランス映画社、KUZUIエンタープライズ等65社も輸入作品を検討の上選出した。

結果は以下の通り

通商産業大臣賞 ユナイテッド・インターナショナル・ピクチャーズ・ファー・イースト「ディープ・インパクト」「プライベート・ライアン」「トゥルーマン・ショー」等

受賞者コメント:武者 滋 会長1993年の「ジュラシック・パーク」以来の受賞で嬉しい

特別賞日本ヘラルド「L.A.コンフィデンシャル」「セントラル・ステーション」等、興業的好成績

受賞者コメント:坂上 常務今回“特別賞”を受賞出来たので、来年は通産大臣賞を狙いたい

ブエナ・ビスタ・ジャパン「アルマゲドン」の驚異的ヒット

受賞者コメント:中島 常務「アルマゲドン」は公開18週間で872万人の動員があった

奨励賞ザナ・ドゥー「踊るマハラジャ」 シネマライズで23週間の続映という長期興業

受賞者コメント:市川 篤史 社長この作品の発見者、エドキジュンさん、配給に尽力したJCA、PRの日本TV、そして夏という大事な時期に上映を受けてくれたシネマライズ、各氏に感謝

*今迄こんな受賞式が行われている事も知らなかった私は、観客の中に結構常連さんがいたのにまず、吃驚した。何となく受賞の常連らしい、恰幅のいい、大手の配給会社代表に混じって「踊るマハラジャ」の社長は若く、とても謙虚で好感が持てた。今後も、小規模でも大ヒットを狙っていい映画を配給してほしいものだと思う。

2)特別試写会「RONIN」ジョン・フランケンハイマー監督 122分

物語パリ。あるバーに集った互いに素性を知らない、各国の秘密工作のプロ。そして、クライアントとのコンタクトをとる唯一の女性とコーディネーター。彼等の任務は厳重な警備を突破しての、ある、スーツケースの略奪。漸く得たスーツケースを巡り、今度はその奪い合いが続く。裏切りと破壊。最後に目的を達成出来るのは一体誰か・・。

*タイトルからは、どうしても、オーストラリアで映画を見た時「Ronin film」だかいう配給会社のイントロがおかしくて、映画館で大笑いして顰蹙をかったのを思い出してしまう。しかし、「フレンチコネクション2」や「終身犯」等で良質なアクションや人間心理を見せてくれたフランケンハイマー監督と、観客動員に欠かせないデ・ニーロとレノ。やはり期待した。

確かに日本文化に造詣が深いといわれる監督だけあって、「RONIN」の説明も正しいし、それを冷戦時代に活躍した秘密工作員達に置き換えたところなどは面白い。途中それを象徴するかのように、御丁寧にも四十七士の話まで盛り込んでいる。

この変の、欧米系の好きな「禅」的静の部分と、かなりの部分を当てているカーチェイスや爆発シーンとの対照もダイナミックだ。舞台を色々に移しながらも、互いを信用出来ない密室殺人的要素。その中でも芽生える友情と恋愛。

これだけの要素がありながら、何となく見終わってふと、虚しくなってしまうのは、要するにあまりに詰め込み過ぎて、全体がぼやけてしまった印象なのだ。

お利口だったのは、観客にも登場人物達にも最後まで、命を賭けたスーツケースの中身を明らかにしなかった事だ。ここで、実はただの金だったり、情報を満載したチップだったり、を見せてしまうと見る側が知らないうちに自分なりに理由づけしてしまう。これを避ける事で、より、人間関係や彼等の心境を浮かび上がらせることには成功していると思う。

冒頭で“浪人”の解説をしてくれるのだが、日本人の我々でさえ、本来の意味は死語と化している時代。果たして監督の意図をあちらの方々はどのくらい理解したのだろうか。

女性の出番の少ないこの作品。2人の対照的な女性を配しているのも面白い。一人はこのところ、「ダロウェイ夫人」や「トゥルーマンショー」でも自己主張のはっきりした役処の多いナターシャ・マケルホーン。ここでもクライアントとの連絡係のタフな女性を演じている。

もうひとりの意外な女性は、嘗てオリンピックで、その華麗な演技で旋風を巻き起こしたカタリーナ・ビット。ラストの方で花を添えている。

それにしても、こんな工作員の方々って実際活躍してるんでしょうか。こんなに壊しまくったら、世界のトップニュースになってしまうよね。

鳥野 韻子