ラスト・アクション・ヒーロー

★★★★

映画だけが友達の少年が、ふとしたことから映画の中に迷い込み、憧れのヒーロー(シュワちゃん)と共に冒険を繰り広げて行く、というまさに映画ファンのための映画。

映画の中が舞台なだけに、ゲスト出演も豪華。また映画のパロディ的な要素も多々みられ、映画オタクな私やあなたにとってはそれを見つけるのも楽しみの一つになることでしょう。やはりハリウッド映画は夢がなくっちゃ!と思わせる一本。

ちなみに余談ですがこの映画でシュワの娘を演じたブリジット・ウィルソンという女優さん、アメリカ娘!って感じでなかなか可愛かったのに、その後B級映画でしかお目にかかっていない。極めつけは松田聖子のハリウッド進出作「サロゲート・マザー」。

とほほ…

MS. QT MAI

エントラップメント

★★★

日本人にとって泥棒といえば「ルパン三世」ではなかろうか。また、ルパン三世の映画版といえば「カリオストロの城」ではなかろうか。あの脚本にはほれぼれする。

泥棒が主役の映画「エントラップメント」の魅力は、あのわくわくするような泥棒のテクニックであってしかるべきだろう。007シリーズのように道具が主役となり、我々には欲しくもない重要機密フィルムを盗み、お国のために働く姿、帰国すればゆっくりできる英雄とは違い、こんな道具があっても不思議ではないと思われる程度の泥棒の7つ道具を使いつつ、だれでもほしがる金銀財宝を盗んでいく。しかも世界中でインターポールの指名手配犯人だから、安住の地はない。それが泥棒とスパイの違いで、映画の違いだろう。

オープニングでいきなりその泥棒のテクニック、道具を駆使し、見事なアイデアでレンブラント(絵画)を盗んでいく。わくわくする泥棒劇の始まり。

一気に引きつけるハリウッド流のテクニック。しかしそれが次第にキャサリン・ゼダジョンズ(ジン役)がショーン・コネリー(マック役)に体を見せ付けるお色気シーンに続いていく。トレーニングと称して、ハリウッドでいわれる「ホモセクシャル映画と思わせないための演出」となってくるのだ。つまり全く男性が女性に魅了されるシーンがないと、その男性はホモの設定だと思われるらしい。それを避けるためだ。

実際そんなシーンがなくてもいまさら毛嫌いする人もいないだろうし、反面そういったシーンを期待してくる客もほとんどいないだろう。

あの長ったるいトレーニングの場面では多少飽き飽きするが、引き続き行われる泥棒のテクニックに期待をしながら待ちわびた。

しかしながら、その後の映画はただのダイ・ハードであった。あのビルに忍び込む賊のように、ジン&マックが美術館にはいりこむ。あのビルで独り孤独に逃げながら戦っていたシーンは、ジン&マックが逃げ惑うシーンにつながるようだ。

結局はこの映画も、ある程度は楽しめるようにできているお決まりの構造で、それがハリウッド映画の気軽さでもあり、つまらなさでもある。

最後にあのキャサリンのメイクに関して一言。常にどのような状況下でも目の上下に黒いラインをいれて、同じようなメイクをバッチシほどこしている。

化粧の臭いが漂うようなあの色はなんとかならないのだろうか。状況や時と場合によってはメイクに大きな変化をつけていればそれほど違和感を感じないだろうが、あれでは緊張感もどこかに吹き飛んでしまう。

立野 浩超

ハムナプトラ

なぜこんなに面白くなかったのか考えるのもいやになる。

まずはテンポに問題があるのではなかろうか。アクションとコメディーを融合した映画にとってはつぎつぎとくるハプニングによりひきつけられて、いったんそれを休みお色気シーンを持ってきたかと思うと、次の悪役登場となる。こういった展開のスピード感が必要だが、この映画は休みの部分が多いこと、各ハプニングにそれほど驚きがないこと、お色気がないことが原因ではないだろうか。

レイチェル・ワイズの魅力は十分であることは、最近公開が続いている彼女が出演している映画をみればよく分かる為、女優の選択に不満はない。この年代の役をこなせる雰囲気が彼女の顔にあり、イギリスを代表する女優にそだっていることに間違いはなく、「輝きの海」のような文学的な役と共に、こうやってキャメロン・ディアス風のコメディータッチもこなせるいやみのない女優だ。

主演のブレンダン・フレイザーには金をかけずにCGに金をかけたというニュアンスも気にいった。ブレンダンが今後大きく飛躍するかどうかはまだ分からないが、1人の役者に数十億円もの金をつぎこみセットすらおろそかになるよりも、よっぽど評価にあたいする取り組みだろう。残念ながら、

脚本家、監督たちが目指したであろうインディ・ジョーンズには遠く及ばない内容だった。CGに関して言えば、砂のCG表現が難しいということを考えてわざわざ見れば「すごい」と言えるのだろうが、そんなことをいちいち考えて見ないのでやはりこの程度でこんなにお金がかかってしまうのかと疑問を持ってしまう。

それではどうしてアメリカではある程度の興行収入(約50億円)をあげることができたのか。その答えはここしばらくこの手の冒険物がなかったことでタイミングが良かったということ。私もインディ・ジョーンズ以来冒険物にたいするあこがれがあり、ハムナプトラのチラシの文句である「インディ・ジョーンズから10年」。まるで続編のような言葉ではないか。これにつられてついつい遅ればせながら見に行ってしまうというような人が多いはずで、かつ子供にとっても悪影響がある映画ではなく家族づれで人数をかせいだのではなかろうか。

とにかく、冒険物はファンがいて、彼らが1回観にいくだけである程度かせげるのだろう。

立野 浩超

ラン・ローラ・ラン

★★★

一言でいうと実に面白い作り方をしている。音楽のスピード感と画面のスピード感が一致している点は強く評価できる。また走っているローラを追いかけたり並走するカメラワークもスムーズで、同時にローラの表情もいい。大して美人ではない(美人には写っていない)ローラ役のフランカ・ポテンテは走りながらも顔で演技を続けていて、息か汗でもかかってしまいそうだ。同時に自分が息切れてしまうような錯覚に捕われるほど。

これは99年サンダンス観客賞を受賞しているだけあって、観客が一様に驚きと興奮を感じることは確かだ。

ストーリーは20分の出来事を3回繰り返すのだが、各回ともに多少の違いで笑いを誘いながらその内大きな結果の違いが生じて行く過程は楽しめる。

ドイツ、オランダ辺りの最近の映画は独特の雰囲気がある物が多い。明らかにその他の国でとられた映画とはストーリー展開や人物の特徴が違い、この映画も同様にテクノ、又はサイバーパンクSF的な印象が強い。ローラの赤髪も目を引くものがある。走り去っていくローラにとって、目立ちすぎるほどの真赤な髪は常に観客の目を釘付けにするために必要な小道具といったところか。監督のコンセプトをうまくまとめた映画だった。

ただし、3回も繰り返されるとさすがに変化しない繰り返し部分は飽きがきて、退屈さを感じる。変化しない部分を時間的に短縮してさらに凝縮することができなかったのだろうか。走り続ける事でスピード感を常に保っていたという事は、その重要性を感じてのことだろうが、81分という時間が十分なスピード感を保つことができる時間とは思えない。81分以下にすることができない理由があったのではなかろうか。

立野 浩超

交渉人

★★★

ハリウッド大作-刑事物をみた。

ハリウッド大作の中でも特に刑事物は私の趣味ではないのだが、確かにこの手の映画は何も考えることなくただ観ているだけで楽しめる。そういった事の難しさは世界各国の映画人がよく分かっているだろう。さて、事件の真相が明らかになる後半まではまったく悩む必要なくただ眺めているだけで素直に楽しめた。それはストレスを解消する為の一番安上がりな方法ではなかろうか。

この映画の批評で目立つのはサミュエル・L・ジャクソンとケビン・スペイシーの演技のすごみだが、確かに彼らは演技のできる役者で、この手の映画に必要なおおげさな表情の中にもじつに新鮮な表現力を感じる。日本の役者と違って顔色をほとんどかえることなく感情の変化を表現できる。

テレビではおすぎ(信頼できる映画批評を書く数少ない人の一人)が「題名が読めなくても、出演者を知らなくてもお薦め」と言っているが確かに彼ら2人を目当てにいく人は少ないだろう。そうすると客引きの為には”宣伝で勝負”とばかりに、短いコマーシャルのなかで全ての目玉シーンを出してしまい、実際観に行って盛りあがるたびにコマーシャルのくり返しでがっかりすることがある。昔でいえば「キャノンボール」という映画が日本では有名ではないだろうか。あれはコマーシャルシーン以外のアクションがなかったといってもいい。

この映画ではそんなこともなかったが、反面シュワルツネッガーばりに目玉アクションがいくつもある映画ではない。どちらかというと、ダニー(S・ジャクソン)がこのビルの中で自分の置かれた犯罪者としての立場をいかに脱出するかという先の読めない展開が売りとなっている。つまりサスペンス映画だ。

又、この交渉人という設定自体は、刑事物の映画で犯罪者に言葉で説得するシーンを考えるとごく普通に見られるシーンで、それに目新しさを感じるということはあるまい。そうすると、単純に濡れ衣をきせられた刑事、ビルのアクション、新犯人探しとごくありふれた物となっていく。その点でやはりただのハリウッドの娯楽物といえる映画だ。

しかし、3つ★がつくのはやはり単純明解でかつ、ハッピーエンドが待っているお決まりのパターンにしっかりはめ込んで、それでいてついつい先を読みつつもはずれていくその楽しさといったところが評価に値するからだ。「悪人はなんとなく彼だと思ったよ」という声を聞いたが、実際観終わったからそう言えるだけで、もし後半15分を観せないで彼らに予想を聞けば、まったく訳の分からない答えになるだろう。

自己紹介や趣味の欄に、”映画好き”と書く人のなかにはこの手の映画しか観ていない人がいるようだが、今後そんな人たちにも薦めることのできるヨーロッパ映画を探して紹介したい。残念がら今上映されている映画の中には特にその手のお薦め映画はみあたらないが。

立野 浩超